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王子様の反応は・・・
「キャァァァ!!ペンタン様が!!ペンタン様の頭がーっ!!」
急に女性の悲鳴が上がったと思ったら、その女性は失神してしまったらしく、その場で倒れてしまった。
周囲の人が慌てているが、つられたように数名の女性も、後を追うように意識を失ってしまった。
「あー・・・、やってしまったわ。初めて見る人にはショックが大きかったか・・・」
依然、頭以外ペンタンの着ぐるみ姿の由美は、広間の慌ただしさを申し訳なく思う。
ペンタンの頭がポロッと取れて、私の頭が出てきたんだから怖いよね。
首から下がペンタンのままっていうのが、また気持ち悪いだろうし。
中途半端な状態が一番良くないと判断し、残りもさっさと脱いでしまおうと思うが、頭部以上に背中のファスナーのハードルが高かった。
また王子の手を借りようと王子を見ると、ペンタンの頭を持ち、由美を見ながら固まっている。
「女神だ・・・」
王子が呟くが、由美には聞こえない。
「あの、王子様?人使いが荒くて悪いんですけど、今度は背中のファスナー下げてもらえますか?あ、ペンタンの頭はその辺に置いちゃって大丈夫ですので。」
由美の声で我に返った王子は、手にしていたペンタンの頭に一度柔らかく微笑みかけると、集まっていた衛兵の一人に、打って変わって厳しい口調で声をかけた。
「そこのお前、ペンタン様の頭部を持っていろ。丁重に扱えよ?傷を付けたら、命はないと思え!!」
「はっ!!」
衛兵達は、由美がペンタンを脱ごうとした時点で、万が一王子に危害を加えられないようにと、二人の傍で待機をしていたようだ。
ペンタンの頭を託された憐れな衛兵は、必死の形相で抱えている。
あらら、可哀想に・・・
ちょっとくらい落としても平気ですよ?
安心させる為に衛兵に笑いかけようとしたが、王子が由美と衛兵の間に立ち塞がって邪魔をした。
「ファスナーとはなんですか?」
「ああ、首の後ろに出っ張りが見えます?小さい取っ手みたいな。それをピーっと下に引っ張ると脱げるので。」
角度を変えて、少し背中を見せるが、王子は戸惑っている。
「私に女性の服を脱がせと?こんな多くの者の目がある場所で?それなら二人きりの時に・・・」
ん?何か変なこと言ってるぞ。
二人きりの方が怪しいでしょ。
「服なら中にも着ているから大丈夫です!!」
由美が力いっぱい答えると、「では、失礼して・・・」と言いながら背後に回り、ファスナーを下まで下ろしてくれた。
由美の体とペンタンの間に隙間ができ、由美は腕を抜く。
あー、涼しい。
やっぱり着ぐるみは暑いよね。
上半身は完全に会社の制服姿に戻った由美は、ペンタンの足も外し、あとは下半身に溜まっているペンタンの脱け殻さえ跨いで外に出れば、全て脱ぎ終わる。
思えば、随分長い間着っぱなしだった気がする。
跨ごうと足を上げかけた由美だったが、ふいに制服のタイトめなスカートが気になった。
これ跨いだら、スカートの中が見えちゃうかも?
ペンタンはポッチャリ体型のペンギンなので、脱いでも形があまり崩れないようになっている。
一瞬躊躇したその時、王子の長い腕が近付いてきたかと思うと、由美は脇の下から持ち上げられていた。
え?浮いてる?
すぐに地面に下ろされ、ペンタンから出るのを手伝ってくれたことを悟る。
「あ、ありがとうござ・・・」
顔を上げ、王子にお礼を言いかけたが、王子に頬を撫でられ、言葉に詰まった。
なんで?
顔がやたらと近いし!!
王子は少ししゃがみ、大きな手で由美の頬を撫でると、ペンタンを着ていたせいで乱れた由美の髪を優しく直してくれる。
わわっ、やっぱり背が高いのね。
しゃがんでも目線が私より全然高いもの。
しかも何よりこのサラサラの長い銀髪と青い瞳!!
切れ長の目、通った鼻筋に薄い唇なんて、パーフェクトじゃない。
スラッとしてるのに持ち上げてくれたときも安定感があったし、案外力持ちなのかも。
テレビや映画でも見たことのない抜群の容姿に見惚れていると、髪を整え終わったのか、王子が満足そうに微笑んだ。
「これでいい。ああ、可憐だ・・・。まさか、ペンタン様からこんな可愛らしい女性が現れるなんて、私は夢でも見ているのだろうか。」
へ?
なんか、少し前に同じような場面を見たような。
ペンタンの中からだったけど。
デジャブ?
ペンタンだけでなく、ペンタンを脱いだ由美にまで熱い視線を送ってくる王子に、またしても由美は動揺を隠せないのであった。
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