「君と暮せば毎日がちょっといい日」

るみ乃。

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「二連休、月明かりと恋人時間の温泉デ-ト③」

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 外湯から帰る頃には、
 夜の空気がきゅっと引き締まって、どこか澄んでいた。
「部屋の露天、入ろ?」
 振り向いた蒼汰の目が、月明かりみたいにきらっとしている。

「お前が一番張り切ってるな」
「当たり前やん。……二人専用やで?」
 その言い方があまりにも嬉しそうで、つい表情が緩んだ。

「……でも食事が先だぞ」
「あっ、忘れてたぁ」
 そんなやり取りをしていたら、ちょうど料理が運ばれてくる。
 普段は俺が作った夕飯を二人で食べてるから、
 こうやって旅館の食事を並んで食べるのが妙に新鮮だった。

「うわ、これおいしいな」
「うん、悠真のいつもの飯も好きやけど、旅館のは“ご褒美”って感じ」
 そんなこと言われて、箸が止まりそうになる。

 食事を終えて露天の扉を開けると、
 月明かりに照らされた湯気がふわりと揺れていた。

「……すご」
 蒼汰の感嘆は、湯気に吸い込まれるみたいに静かだった。

「さっきの外湯とはまた違うな」
「特別感……悠真と二人ってだけで倍増!!」
 湯に肩まで沈めると、外気で頬がほどよく冷えて、
 全身の力がゆるゆる抜けていく。

 蒼汰は湯縁に寄りかかりながら、じーっと俺を見る。

「……なに」
「別に……もっと近くいってもいい?」
「……すでに来てるだろ」
 くすっと笑って、俺の腕へそっと頭を寄せる。
「……幸せだなぁ」
「……せやな。ほんまに」
 二人の声が、静かな山の夜に溶けていく。

 風呂を出て浴衣に着替え、布団に入る頃には、
 部屋の灯りが柔らかく揺れていた。

 蒼汰は小瓶ビールを二つ取り出して、うれしそうに掲げる。
「二連休に、かんぱーい」
「……はいはい」
 瓶を軽く合わせたあと、蒼汰はふわっと笑って布団へごろり。

「酔ってる?」
「ちょっと。……ぎゅーしてほしいくらいには」
 浴衣越しに伝わる体温と、ほのかな酒の匂い。
「ぎゅーしてくれる?」
「言わなくてもするわ」

 腕を回した瞬間、
 蒼汰の指がそっと俺の浴衣をつまんで、ぎゅっと寄ってくる。
 胸元に落ちた吐息がくすぐったくて、
 そのくせ胸の奥がゆっくり満たされていく。

 照れた笑いと温もりが重なって、
 休みの夜は、そっと抱き締めたまま、
 甘いまま、ゆっくりと更けていった……
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