「君と暮せば毎日がちょっといい日」

るみ乃。

文字の大きさ
83 / 150

「年末、埃と恋」

しおりを挟む
 年末の大掃除は、だいたい戦争や。
 開始十分で、俺はもう後悔してた。

 同棲を始めて、数か月。
 引っ越した当初は「物、少な」って笑ってたのに……
 いざ掃除を始めたら全然ちゃう。

「……なあ、こんなにあったっけ」
「増えたなぁ。自然に。二人分だし」

 悠真は、ほんまに当然みたいに言う。
 たしかに、数か月前にはなかったマグカップが二つ、
 スリッパが二足、歯ブラシの替えもきっちり二人分。

 洗面所には、俺の雑な置き方の整髪料と、
 やたら几帳面に並んだ悠真のスキンケア。
 クローゼットには、
 俺のパーカーの間に、いつの間にか悠真のシャツが馴染んでる。

 引き出しを開けたら、
 俺の充電器と悠真のケーブルが絡まってて、思わず笑う。

「蒼汰、また手止まってる」
「いや……数か月で、二人のもん増えすぎやん」
「ああ。もう、すっかり二人の部屋やな」

 さらっと言うのが、ずるい。

 昼前には二人ともジャージ姿で、髪もぼさぼさ。
 俺が「これ捨てよ」って言った小物を、悠真がさっと回収した。

「それは残す」
「理由は?」
「初めて一緒に出かけた日に買った店の紙袋」

 紙袋て。
 覚えてるとこ、そこなんや。可愛すぎやろ。
 俺のほうが忘れてたのに。

 高いところを拭こうとして背伸びしたら、後ろから腰を支えられる。

「落ちるぞ」
「……近い」
「今さらだろ」

 耳元で言うの、ほんま反則。

 結局、掃除は全部終わらんかった。
 埃を残したまま、こたつに避難して、みかんを食べる。

「来年は、もっと増えるんかな」
「たぶん」
「物?」
「……生活」

 そう言って、悠真が俺を引き寄せる。

 恋も生活も、気づいたらちゃんと積もってた。
 そんな年末が、俺は結構好きや。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

黒獅子の愛でる花

なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。 中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。 深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。 サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。 しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。 毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。  そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。 王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。 王妃は現在、病で療養中だという。 幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。 サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…

とあるΩ達の試練

如月圭
BL
 吉住クレハは私立成城学園に通う中学三年生の男のオメガだった。同じ学園に通う男のオメガの月城真とは、転校して初めてできた同じオメガの友達だった。そんな真には、番のアルファが居て、クレハはうらやましいと思う。しかし、ベータの女子にとある事で目をつけられてしまい……。  この話はフィクションです。更新は、不定期です。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

僕たち、結婚することになりました

リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった! 後輩はモテモテな25歳。 俺は37歳。 笑えるBL。ラブコメディ💛 fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。

定時後、指先が覚えている

こさ
BL
職場で長く反目し合ってきた二人。 それでも定時後の時間だけは、少しずつ重なっていく。 触れるはずのなかった指先。 逸らさなかった視線。 何も始まっていないのに、 もう偶然とは呼べなくなった距離。 静かなオフィスでゆっくりと近づいていく、 等身大の社会人BL。

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

イケメンオジイついに交際したことを忘れる

彩根梨愛
BL
天然雰囲気冴えない系イケメンの高校生、綾野蒼に知らん間に彼氏が出来ていた話。

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

処理中です...