「君と暮せば毎日がちょっといい日」

るみ乃。

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「雪の日の朝」(蒼汰視点)

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 目ぇ覚ました瞬間、部屋がやけに明るかった。

「……やっぱ雪積もった」

 カーテンの隙間から白が見えて、ちょっとテンションが上がる。
 隣を見ると、悠真はまだ寝てる。
 朝の、油断しきった顔。

「悠真、起きて」
「はや……まだ寝る」
「雪やで」
「……後で見る」

 後で、なんてあるか。
 俺は布団をめくって、容赦なく冷たい手を伸ばす。

「うわっ!?」
「おはよぉ~さぁ~ん!!」
「蒼汰!!」

 一気に目ぇ覚めたな。よし、成功。

「外、めっちゃ積もってるねん」
「……ほんとだ」

 窓に近づいて、二人で並ぶ。
 早朝の雪はまだ踏まれてなくて、きれいで、静かや。

「遊びに行こ」
「早朝から?」
「俺、今日休みやし」
「……寒いぞ」
「知ってる」

 それでも悠真は、結局着替える。
 文句言いながら、ちゃんとマフラーまで巻いて。

 外に出た瞬間、空気がきんと冷たい。
 俺は即、雪を掴んで丸めた。

「待て蒼汰」
「もう遅い!」

 投げた雪玉は、悠真の肩に命中。
 珍しく、ちょっと悔しそうな顔。

 次の瞬間、反撃が来た。

「っ、冷た!!」
「先にやったのはお前だ」

 子どもみたいに笑って、追いかけて、
 足跡だらけにして。
 外でひと通り走り回って、息が白くなったころ、
 俺はしゃがんで雪を集め始めた。

「なあ悠真、雪だるま作ろ」
「……本気か」
「休日やで」

 呆れた顔しながらも、悠真は結局しゃがむ。
 こういうとこ、ほんま素直。
 雪を丸めて、転がして、
 だんだん大きくなっていく白い塊。

「ちょ、でかすぎひん?」
「ええやん、立派なやつにしよ」
「倒れるぞ」

 言いながら、悠真はちゃんと支えてくれる。
 無言で息合わせてる感じが、妙に楽しい。
 上の玉を乗せるとき、ちょっとバランス崩れて、
 俺の方に雪が崩れた。

「うわっ」
「危な……!」

 悠真が咄嗟に腕を伸ばして、
 二人まとめて雪の中に倒れ込む。

「……何してるんだろうな、俺たち」
「雪だるま作ってる」

 顔のすぐ横、近すぎる距離。
 冷たいはずの雪の上やのに、変にあったかい。

 起き上がって、作業再開。
 目は小石、鼻はそこらへんの枝。

「これ、口いるか」
「いるやろ」
「笑ってるやつ?」
「うん」

 完成した雪だるまは、ちょっと歪で、
 でもちゃんと二段で、なんか愛嬌ある。

「……悪くないな」
「やろ?」

 俺はスマホを取り出す。

「写真撮ろ。記念に……せっかくやし」

 並んで立って、シャッターを切る。
 雪だるまの横で、ちょっと照れた悠真。

 画面を見せると、
 悠真は小さく笑った。

「……いい休日だな」
「うん」

 冷えた指先が、そっと触れる。
 雪だるまは黙って立ってて、
 俺らは静かに笑ってた。

「……朝から何してるんだろうな」
「楽しいからええやん」

 手袋越しに触れた指が、あったかい。
 雪の日の朝、休日。

 遊んで、笑って、帰ったらきっと、温かいコーヒー飲む。
 そんな一日が、始まった。
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