「君と暮せば毎日がちょっといい日」

るみ乃。

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「鬼も内……ふたりも内」

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 恵方巻勝負は、蒼汰の勝ちだった。

「っしゃああ! 悠真、負けな!」
「……声大きい」
「勝ったからええねん。今日は節分やし、負けた方が鬼や」

 そう言って、蒼汰は勢いよく鬼のお面を俺に押しつけてくる。
 準備良すぎだろ。

「はい、被って」
「……分かった」

 面を被ると、視界が狭くなった。
 その瞬間、蒼汰が一歩下がって、豆を構える。

「いくでー。鬼は外ー!」
「ちょ、近い――」

 ばしばしと当たる豆。
 全然痛くはないけど、蒼汰が楽しそうすぎる。

「待て、そんな本気で投げるな」
「本気ちゃうし! ほら、もっと動かんと!」
「鬼にも人権あるぞ!でも……動いたら鬼失格なんだろ」
「……あ、せやった」

 自分で決めたルールを忘れるあたりが、蒼汰だ。
 最後の一粒を投げ終わる前に、
 蒼汰がふっと動いて、俺の手首を掴む。

「……もうええわ!はい、終了」

 急にそう言って、豆を放り出す。
 次の瞬間、距離が一気に詰まった。

「……なに」
「鬼、じっとして」
「……」
「……」

 数秒の沈黙。
 額を俺の肩に軽く預けた。
 それだけ。
 抱きしめるわけでも、キスするわけでもない。
 ただ、体重を少しだけ預けてくる。
 額を押しつけたまま、もぞもぞ動く。
 完全に落ち着きがない。

「……蒼汰」
「な、なんや」
「鬼は動くなって言ったの、お前だろ」
「そ、それは……例外やん!もぉ……」

 そう言って、蒼汰が腕を回してくる。
 ぎゅっと抱きつくほどでもなく、逃げられない程度。

「……あったかいなぁ」

 小さくそう言う声が、妙に素直で。
 反射で、背中に手を回してしまった。

「あ」
「……鬼、捕まえた」
「ちゃうわ! 悠真が鬼やん!……まだ、鬼はじっとしてや」
 そういいながら、最後の一粒を俺の口に入れた……

「鬼も内、福も内……」
「……鬼も内って」
「当たり前やん、……好きやもん」

 そう言うと、蒼汰は小さく笑った。
 蒼汰に振り回されながら、
 しっかり捕まえられてるのは、俺のほう……
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