「君と暮せば毎日がちょっといい日」

るみ乃。

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「トイレットペーパー問題」(蒼汰視点)

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 なくなってる。
 いや、正確には……
 芯だけが、律儀にカラカラ回ってる。

 なんでやねん。

 悠真って、基本なんでもきっちりしてる人間やのに。
 ゴミの日も覚えてるし、洗濯のタイミングも完璧やし、
 調味料の位置もミリ単位で揃えとる。

 なのに……
 なんでトイレットペーパーだけ替えへんの。
 しかも、すぐ横にあるねん。
 手伸ばしたら届く距離に新品あるねん。

「悠真ぁ~!!」

 リビングに向かって声かける。

「なに」

 いつもの落ち着いた声。

「なくなってるで」
「最後使った人やろ」
「いやいや、気づいた人やろ」

 静かな攻防。
 少し間があってから、悠真が顔出す。

「……俺じゃない」
「ほな誰やねん」

 二人暮らしやぞ。じっと見合う。
 ちょっとだけ気まずい沈黙。

 そのあと、悠真が小さくため息ついて、
 無言で取り替える。

 カチャン、ってホルダーに差し込む音。

「ありがと」
「別に」

 そう言いながら、ちょっとだけ耳赤い。
 たぶん、ほんまは忘れてただけやろ。

 あんなにきっちりさんやのに、
 なんで俺の前やと、たまに抜けるんやろな。
 最初は意外やったけど。

 今は……ちょっと嬉しい。
 完璧な人が、
 俺の前ではちょっとだけ雑。

 それってさ。
 信用されてるってことやんな。

「次なくなったら、ちゃんと替えといてや」
「気づいた人がやる」
「また言う」

 小さく笑う。

 きっちりしてる悠真も好きやけど、
 たまに抜けてる悠真は、もっと好きや。

 ……まあ次なくなってたら、
 たぶんまた俺が替えるんやけどな。
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