「君と暮せば毎日がちょっといい日」

るみ乃。

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「梅とスカイツリー」(蒼汰視点)

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「外、出ぇへん」
 少しあったかくなってきた休日
 悠真と久しぶりのデ-トに出かける。

 俺はカメラ、
 悠真はスケッチブック。

 じゃぁ、梅を見に行こかって。
 庭園に入った瞬間、ふわっと甘い匂い……

「あっもう咲いてる」

 白とピンクの梅の向こうには、
 す-っと伸びるスカイツリ-。
 俺はすぐにカメラを構える

「わぁ、めっちゃここええなぁ」

 東京の真ん中に、こんあとこあるんやなぁ
 何枚かとってふと悠真を探す。
 ベンチでスケッチしとる……真剣な眼差し。

 ……梅より、そっち撮りたい。
 気づかれんように、そっとレンズ向ける。

 “カシャ”
「今、俺撮っただろ」
 顔上げもせずに言う。
「なんで分かんねん」
「気配」

 のとき。
 ぴゅうっと風が吹いて、
 悠真のスケッチブックのページがばさっとめくれる。
「あ」
 次の瞬間、紙が一枚ふわっと舞った。
「ちょ、待て!」
 俺も走る。

 梅の木の下で、二人して紙追いかけるとか、何してんねん。
 ドラマのワンシ-ン見たいやん……
 やっと拾って振り返ったら。
 悠真と、思いきりぶつかる。

「うわっ」

 胸と胸がぶつかって、思ったより近い。
 一瞬、時間止まったみたいになる。

「……大丈夫か」
「そっちこそ」

 距離、近いまま。
 梅の匂いと、外の少しあったかい空気と、
 悠真の匂い。やば、なんかソワソワするやん

「あっ、冷たっ!!」
 悠真の指先が首筋を撫でた……
「指先、冷たくなってきた」
 見たら、スケッチしてたせいで手袋外してる。
「アホ。なんで外してんねん」
 俺はカメラを首から下げたまま、悠真の手を取る。

「蒼汰こそ……」
 悠真は両手で、俺の手を包む。
 手の中に向かって、
 “はぁ―”って息吐いてくる。
 ……ずるい。
「ほら、ポケット入れとけ」
 そう言ってコートのポケットに、二人分の手を押し込む。
 ポケットの中で、指が絡む。
 無意識なんか、わざとか……

 梅はまだ満開じゃない。
 けど、枝の先にちゃんと花がついてる。

「春、もうすぐやなぁ」
「まだ二月だぞ」

 俺はカメラを持ち直して、片手でシャッターを切る。
 梅と、スカイツリーと悠真。
 たぶん今日いちばんの一枚。

 ポケットの中のぬくもりは、
 梅より先に、ちゃんと春を待ってる。
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