「君と暮せば毎日がちょっといい日」

るみ乃。

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鍋料理が教えてくれた距離

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「今日、鍋な」

 そう言った瞬間、蒼汰の目がキラキラ。
 分かりやすい。
 テーブルにカセットコンロを出して、
 餃子と野菜を並べる。
 今日はピリ辛。
 少しだけ豆板醤を多めにした。

「餃子鍋?」
「そう。辛いの」
 赤く色づいたスープが煮えてくる。
 湯気が上がるたび、蒼汰がそわそわしてる。

「鍋ってさ、冬だけのもん?」
「別に決まりはないだろ」
「でも冬の顔してるやん」

 蒼汰はさっそく餃子を取って、
 口に運んだ……

「っ、あつ!」
「冷ませ」
「俺、戦闘能力が高いねん、大丈夫」

 猫舌のくせに強がってる……
 というか餃子と戦ってどうする気なんだよ。
 一口食べて、目を丸くする。

「うま……」

 俺も食べる。
 皮のもちっとした食感と、
 肉の旨み。あとから来る辛さ。
 ちょうどいい。

「めっちゃ、暑なってきた」

 首元をぱたぱたしてる
「悠真、辛さたしたん?」
「少しだけ」
「やっぱり!」

 顔が赤い。
 辛さのせいか、
 それとも鍋の湯気のせいか。
 箸が同じ餃子に伸びる。

「あ」
「あ」
 数秒止まる。
「半分にするか」
 割った餃子から湯気が立つ。
 同時に口に運ぶ。

 辛い。うまい。

 向かい合って鍋をつつく時間って、
 思っているより落ち着く、同棲初めての冬知った……。

「やっぱ鍋、冬だけちゃうな」
「うまければ関係ないだな」

 本当にそう思う。
 外が暖かくなっても、
 こうやって同じ鍋を囲む時間は変わらない。

「夏は?」
「冷房つければいい」
「強いな」

 汗をかきながらも、箸は止まらない。
 鍋の中の餃子はどんどん減っていく。
 季節が変わっても、
 蒼汰が「うまい」と言う限り、
 鍋はまだまだ活躍だな。
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