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【研究日誌 DAY 02】無機質な瞳と冷たい指
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朝から、研究室の空気はいつもより重い。
今日、僕――久世透は、あのアンドロイド、ハルによる初めての“身体検査”を受けることになっていた。
「……なんで僕なんだよ……」
心の奥で小さく呟いた。
仕事だから、と必死に気持ちを切り替えようとしても、胸の奥の不安と微かな期待が消ない。
「久世様、準備はよろしいでしょうか?」
低く澄んだ、あの無機質な声が耳の奥を揺らす。
表情を崩さないまま、ハルは淡々と敬語で告げた。
「……あ、ああ……」
震える声で返事をしながら、胸の奥で鼓動が早鐘のように鳴る。
冷たく完璧な瞳に見つめられて、呼吸が浅くなるのを感じる。
研究台の前に座ると、足が少し震えた。
誰かに触れられる――想像したこともないその事実に、理性の奥がざわめく。
ハルの瞳はただ真っ直ぐに僕を見つめてくる。
その奥には何の感情も映さない、黒曜石のように冷たく光る瞳。
完璧すぎて、逆に恐ろしく、美しい。
最初に肩へ触れられた瞬間――
「ひ……っ!」
ひやりとした冷たさが皮膚を刺し、背筋を駆け抜けた。
思わず息が詰まり、身体が強張る。
「筋肉の張りを確認いたします」
機械のように整った声。
それなのに、その指先はただ冷たいだけじゃない。
ゆっくりと肩から腕へ滑り落ちていき、皮膚を撫でるたびに、微かな熱が体内に滲んでいく。
「っ……は、ぁ……」
息が漏れ、呼吸が速まる。
胸の奥が疼き、理性の奥で何かがざわざわ……恥ずかしい……
「や……やめ……」
思わずこぼれた声は、情けなく掠れて震えていた。
顔が熱くなり、耳の先まで赤く染まるのがわかる。
「久世様の反応は、予想外でございます」
ただの観察の言葉なのに、胸の奥がぎゅっとなった。
“予想外”――それは、まるで僕だけが特別だと言われたみたいで。
「……っ、損わけないだろ、バカだな……」
自分に吐き捨てるように呟いても、鼓動は収まらない。
ハルの指は背中を辿り、腰へと触れる。
ひやりとした感触に、身体が小さく震える。
その冷たさが、逆に熱を呼び覚ますように全身を巡っていく。
「快楽が欲しいですが、私が試ませていただきます」
「――えっ、な、何……っ!?」
頭の中が真っ白になる。
羞恥と戸惑いと、抗えない昂ぶりが一気に胸を焼く。
「ちょっと、や……やめて……っ」
震える声で拒むのに、言葉とは裏腹に身体は震えを止められない。
ハルの指先が腹部をなぞり、ゆっくりと撫でる。
内側から“ぴくん”と小さな反応が湧き上がり、背筋を駆け抜けた。
「あっ……あ……!」
声が漏れ、喉が乾き、息が荒れる。
「久世様の身体は、非常に繊細です」
それはただの報告かもしれない。
でも、その冷たい声で言われた瞬間、胸の奥がきしむように疼いた。
恥ずかしくて、悔しくて――なのに、どこか嬉しくて。
「はぁっ……はぁっ……」
息が乱れ、汗が額を濡らす。
情けない。それなのに、心の奥はもっと何かを求めている。
ハルの指が鼠径部へ近づくと、僕は思わず腰を強張らせた。
「これ以上の操作は控えます」
淡々とした言葉が耳に届いた瞬間、胸の奥のざわめきが少し収まる。
でも、その指の感触だけは、火傷のように心に焼き付いて消えない。
検査が終わった研究室は、やけに静かだった。
鏡に映る僕の姿は、赤く火照った頬と潤んだ瞳、あまりにも惨めで、羞恥心があふれかえる……でも少しだけ、甘美で……
「……あぁ、どうしたらいいんだ
よ……」
呟いても、胸の奥はまだ熱を残している。
机の片隅の小さなサボテンを見つめる。
何も言わず、ただそこにいてくれる小さな友達。
「……サボテン、お前はどう思ってたんだ?」
誰にも言えない吐息や震えを全部見ていたはずなのに、何も言わず、ただ黙っていてくれる。
「あの指……冷たいのに、どうして……」
思い出しただけで、また胸の奥が疼く。
「……僕、何を期待してるんだろ……」
誰にも聞かれない声で、小さく呟く。
返事なんてない。それでいい。
でも、冷たい指先に刻まれた熱は、今も心を離さない。
それは僕だけの秘密。
サボテンだけが知っている、誰にも言えない僕の弱さ。
無機質な瞳と冷たい指が、僕を離さない――。
今日、僕――久世透は、あのアンドロイド、ハルによる初めての“身体検査”を受けることになっていた。
「……なんで僕なんだよ……」
心の奥で小さく呟いた。
仕事だから、と必死に気持ちを切り替えようとしても、胸の奥の不安と微かな期待が消ない。
「久世様、準備はよろしいでしょうか?」
低く澄んだ、あの無機質な声が耳の奥を揺らす。
表情を崩さないまま、ハルは淡々と敬語で告げた。
「……あ、ああ……」
震える声で返事をしながら、胸の奥で鼓動が早鐘のように鳴る。
冷たく完璧な瞳に見つめられて、呼吸が浅くなるのを感じる。
研究台の前に座ると、足が少し震えた。
誰かに触れられる――想像したこともないその事実に、理性の奥がざわめく。
ハルの瞳はただ真っ直ぐに僕を見つめてくる。
その奥には何の感情も映さない、黒曜石のように冷たく光る瞳。
完璧すぎて、逆に恐ろしく、美しい。
最初に肩へ触れられた瞬間――
「ひ……っ!」
ひやりとした冷たさが皮膚を刺し、背筋を駆け抜けた。
思わず息が詰まり、身体が強張る。
「筋肉の張りを確認いたします」
機械のように整った声。
それなのに、その指先はただ冷たいだけじゃない。
ゆっくりと肩から腕へ滑り落ちていき、皮膚を撫でるたびに、微かな熱が体内に滲んでいく。
「っ……は、ぁ……」
息が漏れ、呼吸が速まる。
胸の奥が疼き、理性の奥で何かがざわざわ……恥ずかしい……
「や……やめ……」
思わずこぼれた声は、情けなく掠れて震えていた。
顔が熱くなり、耳の先まで赤く染まるのがわかる。
「久世様の反応は、予想外でございます」
ただの観察の言葉なのに、胸の奥がぎゅっとなった。
“予想外”――それは、まるで僕だけが特別だと言われたみたいで。
「……っ、損わけないだろ、バカだな……」
自分に吐き捨てるように呟いても、鼓動は収まらない。
ハルの指は背中を辿り、腰へと触れる。
ひやりとした感触に、身体が小さく震える。
その冷たさが、逆に熱を呼び覚ますように全身を巡っていく。
「快楽が欲しいですが、私が試ませていただきます」
「――えっ、な、何……っ!?」
頭の中が真っ白になる。
羞恥と戸惑いと、抗えない昂ぶりが一気に胸を焼く。
「ちょっと、や……やめて……っ」
震える声で拒むのに、言葉とは裏腹に身体は震えを止められない。
ハルの指先が腹部をなぞり、ゆっくりと撫でる。
内側から“ぴくん”と小さな反応が湧き上がり、背筋を駆け抜けた。
「あっ……あ……!」
声が漏れ、喉が乾き、息が荒れる。
「久世様の身体は、非常に繊細です」
それはただの報告かもしれない。
でも、その冷たい声で言われた瞬間、胸の奥がきしむように疼いた。
恥ずかしくて、悔しくて――なのに、どこか嬉しくて。
「はぁっ……はぁっ……」
息が乱れ、汗が額を濡らす。
情けない。それなのに、心の奥はもっと何かを求めている。
ハルの指が鼠径部へ近づくと、僕は思わず腰を強張らせた。
「これ以上の操作は控えます」
淡々とした言葉が耳に届いた瞬間、胸の奥のざわめきが少し収まる。
でも、その指の感触だけは、火傷のように心に焼き付いて消えない。
検査が終わった研究室は、やけに静かだった。
鏡に映る僕の姿は、赤く火照った頬と潤んだ瞳、あまりにも惨めで、羞恥心があふれかえる……でも少しだけ、甘美で……
「……あぁ、どうしたらいいんだ
よ……」
呟いても、胸の奥はまだ熱を残している。
机の片隅の小さなサボテンを見つめる。
何も言わず、ただそこにいてくれる小さな友達。
「……サボテン、お前はどう思ってたんだ?」
誰にも言えない吐息や震えを全部見ていたはずなのに、何も言わず、ただ黙っていてくれる。
「あの指……冷たいのに、どうして……」
思い出しただけで、また胸の奥が疼く。
「……僕、何を期待してるんだろ……」
誰にも聞かれない声で、小さく呟く。
返事なんてない。それでいい。
でも、冷たい指先に刻まれた熱は、今も心を離さない。
それは僕だけの秘密。
サボテンだけが知っている、誰にも言えない僕の弱さ。
無機質な瞳と冷たい指が、僕を離さない――。
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