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『銀の守り手と黒曜の皇子』
知ってしまった想い(白銀視点)
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血の気が戻った黒曜さまの唇が、わずかに動いた。
その柔らかさに、私の中で、何かが弾けた。
「……っ」
黒曜さまは、はっと我に返ったように、
私の肩を掴み、強く引き離した。
「白銀……何をしている……!」
荒い息。揺れる瞳。
「命令だ。すぐに、出ていけ」
その声は、震えていた。
私は、その場に立ち尽くす。
唇には、まだ……黒曜さまの感触が、残っている。
高揚に熱を帯びたままの身体。
視界が、少し、滲む。
「……黒曜さま」
名を呼ぶと、彼の表情が、さらに歪んだ。
「見るな……」
拒むように、顔を背ける。
ああ……この方は、私が何をしようとしたのか、
すべて、わかっている。
『禁忌』
銀族が、己の身と引き換えに、
主を完全に浄化する――
“交わり”という名の救命。
「……私は」
声が、自然と低くなる。
「私は、どこにも行きません」
黒曜さまが、息を呑む。
「……私を、抱いていただけませんか……」
静まり返る部屋。灯りが、揺れた。
「だめだ。それは、できぬ」
「……どうしてですか」
黒曜さまは、拳を強く握りしめた。
「それは……おまえが、一番わかっているだろう」
ゆっくりと、こちらを見る。
その瞳に宿るのは、欲でも、恐怖でもない。
深い、決意。
「おまえを、失いたくない」
胸が、締めつけられた。
「太子さま」
私は、あえて、そう呼んだ。
「私は、あなたを守るために、遣わされた身です」
「それでもだ」
声が、低く、鋭くなる。
「おまえを犠牲にしてまで生きる皇太子など、
俺は……なりたくない」
この方は、最後まで、
私を“守る”おつもりなのか……
「……嫌です」
気づけば、そう口にしていた。
「お許しを」
自分でも、止められなかった。
私は一歩近づき、指先を、黒曜さまの衣に滑らせる。
震えるほど、近い。
彼の身体が、確かに、反応しているのがわかる。
「白銀……!」
その名に、叱責と、懇願が混じる。
「やめろ……それ以上は……」
拒んでいるのに。
触れてはならぬと、誰よりも理解しているのに。
それでも……
黒曜さまは、私を突き放しきれない。
私は、知ってしまった。
この方が、どれほど深く、
私を想っているかを。
そして同時に、この一線を越えれば、
もう、戻れないことも。
……それでも
私は、あなたを守る。
それが、禁忌であっても。
その柔らかさに、私の中で、何かが弾けた。
「……っ」
黒曜さまは、はっと我に返ったように、
私の肩を掴み、強く引き離した。
「白銀……何をしている……!」
荒い息。揺れる瞳。
「命令だ。すぐに、出ていけ」
その声は、震えていた。
私は、その場に立ち尽くす。
唇には、まだ……黒曜さまの感触が、残っている。
高揚に熱を帯びたままの身体。
視界が、少し、滲む。
「……黒曜さま」
名を呼ぶと、彼の表情が、さらに歪んだ。
「見るな……」
拒むように、顔を背ける。
ああ……この方は、私が何をしようとしたのか、
すべて、わかっている。
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銀族が、己の身と引き換えに、
主を完全に浄化する――
“交わり”という名の救命。
「……私は」
声が、自然と低くなる。
「私は、どこにも行きません」
黒曜さまが、息を呑む。
「……私を、抱いていただけませんか……」
静まり返る部屋。灯りが、揺れた。
「だめだ。それは、できぬ」
「……どうしてですか」
黒曜さまは、拳を強く握りしめた。
「それは……おまえが、一番わかっているだろう」
ゆっくりと、こちらを見る。
その瞳に宿るのは、欲でも、恐怖でもない。
深い、決意。
「おまえを、失いたくない」
胸が、締めつけられた。
「太子さま」
私は、あえて、そう呼んだ。
「私は、あなたを守るために、遣わされた身です」
「それでもだ」
声が、低く、鋭くなる。
「おまえを犠牲にしてまで生きる皇太子など、
俺は……なりたくない」
この方は、最後まで、
私を“守る”おつもりなのか……
「……嫌です」
気づけば、そう口にしていた。
「お許しを」
自分でも、止められなかった。
私は一歩近づき、指先を、黒曜さまの衣に滑らせる。
震えるほど、近い。
彼の身体が、確かに、反応しているのがわかる。
「白銀……!」
その名に、叱責と、懇願が混じる。
「やめろ……それ以上は……」
拒んでいるのに。
触れてはならぬと、誰よりも理解しているのに。
それでも……
黒曜さまは、私を突き放しきれない。
私は、知ってしまった。
この方が、どれほど深く、
私を想っているかを。
そして同時に、この一線を越えれば、
もう、戻れないことも。
……それでも
私は、あなたを守る。
それが、禁忌であっても。
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