怠惰な王子様は悲運な教育係を溺愛する

初瀬

文字の大きさ
18 / 24
第3章…不機嫌な王子様

【10】昔よしよししてくれたあの子が、今は押し倒してくるなんて(2)

しおりを挟む
 シャルロの舌が歯列を割って口腔に滑り込んでくる。
 歯の裏側まで隈なく舐められ、くすぐったさの混じった快楽にフランツは体を震わせた。

 シャルロはフランツの舌を根元から吸い上げると、さらに貪るように深く舌を忍び込ませた。
 互いの舌がこすり合わさるたびに、身体の中からどうしようもない欲情が湧き上がる。

 倒錯した陶酔感に包まれて、フランツは思わずシャルロの背中に腕を回して縋りついた。
 ふたりの身体は隙間がないほど密着して、むず痒い刺激が下腹部に広がっていく。
 無意識のうちにさらなる快楽を求めるように腰がうごめいた。
 フランツはシャルロの下半身に硬くなった自身が当たっていることに気付いて、離れようと体をくねらせた。

 シャルロはフランツの淫らな痴態を堪能するように目を細めると、片手でフランツの帯革(ベルト)を外しにかかった。帯革が床に落ちる音がやけに大きく響いた。
 それから手早く上着の前をはだけると、フランツの胸に舌を這わせて小さな突起を甘噛みした。反対側の突起も爪先で弾くように刺激されて、フランツは上擦った声を上げた。

「……っン」

 執拗に胸の突起を責められ、思わず身体がびくりと震えた。
 シャルロはそのまま舌を滑らせながら、ゆっくりと下腹部へと降りていく。
 猛りを帯びたフランツのそれを手に包み込むと、下着から解き放たれた先端からは、とろとろと先走りの蜜が零れ落ちていた。
 シャルロは唇をそっと近づける。
 それを察したフランツは、これから何が起こるのかを思い描き、慌てたように目を見開いた。

「シャルロ様……!そんなこといけませんっ!」
 
 フランツはシャルロの肩を突いて押しのけようとしたが、シャルロは無視して、尖らせた舌先で尖端の割れ目をグリグリと刺激した。

「……っ!ほ、本当にだめです。シャルロ様にこんなことさせられません」

 フランツは逃れようと腰を浮かせたが、シャルロは許さなかった。
 そそり立つフランツのそれを浅く含み、蜜が溢れ出す先端をちろりと舐め上げる。

 主人に奉仕されているという背徳感と罪悪感がさらなる興奮を呼び起こす。 

 シャルロは上から下まで何度も舐めあげた。そのたびに、ちゅくちゅくと卑猥な水音がして、フランツの羞恥心を駆り立てる。

「シャルロ様、お願いですからもう止めてください……!」

 フランツの哀願も虚しく、シャルロは止めるどころか、根元を強く握り激しく唇を上下させた。強烈な快楽が噴き上げて、フランツは大きく背中をしならせた。
 このままではシャルロの口の中で達してしまう。それだけは避けたかった。フランツは瞼をぎゅっと閉じて耐えた。
 しかし、根元まで含まれて強く吸われた瞬間、全身がわなないてフランツはシャルロの口に中に欲望を放った。

 シャルロは美しい顔を少し歪めると喉を上下させて、フランツの淫液を飲み込んだ。

「なんてことを……!」

 フランツは狼狽した。

「覚えておけ。私がこんなことをするのはお前だけだ」

 シャルロはそう言うと唇を拭って、フランツの顎を指で捉えた。

「だから、お前も私以外に許すな」

 フランツはシャルロの紺碧の瞳を見つめて頷いた。


「……私にもさせてください」

 フランツは恥ずかしそうに小声で言った。

「何を?」

 シャルロがとぼける。

「お分かりでしょう」

 フランツはそっとシャルロの股間に手を添えた。薄布越しでも、熱く硬く盛り上がった男の熱が伝わってくる。
 フランツが唇を尖らせると、シャルロはくすりと笑みを漏らし、ゆったりと体勢を整えて長椅子に腰を下ろした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

給餌行為が求愛行動だってなんで誰も教えてくれなかったんだ!

永川さき
BL
 魔術教師で平民のマテウス・アージェルは、元教え子で現同僚のアイザック・ウェルズリー子爵と毎日食堂で昼食をともにしている。  ただ、その食事風景は特殊なもので……。  元教え子のスパダリ魔術教師×未亡人で成人した子持ちのおっさん魔術教師  まー様企画の「おっさん受けBL企画」参加作品です。  他サイトにも掲載しています。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

水ノ瀬 あおい
BL
 若くして王となった幼馴染のリューラと公爵令息として生まれた頃からチヤホヤされ、神童とも言われて調子に乗っていたサライド。  昔は泣き虫で気弱だったリューラだが、いつの間にか顔も性格も身体つきも政治手腕も剣の腕も……何もかも完璧で、手の届かない眩しい存在になっていた。  年下でもあるリューラに何一つ敵わず、不貞腐れていたサライド。  リューラが国民から愛され、称賛される度にサライドは少し憎らしく思っていた。  

ヤンデレ王子と哀れなおっさん辺境伯 恋も人生も二度目なら

音無野ウサギ
BL
ある日おっさん辺境伯ゲオハルトは美貌の第三王子リヒトにぺろりと食べられてしまいました。 しかも貴族たちに濡れ場を聞かれてしまい…… ところが権力者による性的搾取かと思われた出来事には実はもう少し深いわけが…… だって第三王子には前世の記憶があったから! といった感じの話です。おっさんがグチョグチョにされていても許してくださる方どうぞ。 濡れ場回にはタイトルに※をいれています おっさん企画を知ってから自分なりのおっさん受けってどんな形かなって考えていて生まれた話です。 この作品はムーンライトノベルズでも公開しています。

かわいい王子の残像

芽吹鹿
BL
 王子の家庭教師を務めるアリア・マキュベリー男爵の思い出語り。天使のようにかわいい幼い王子が成長するにつれて立派な男になっていく。その育成に10年間を尽くして貢献した家庭教師が、最終的に主に押し倒されちゃう話。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

処理中です...