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1章 はじまり
入学式は眠い
しおりを挟む春休みも明け、ついに新年度の生徒たちが入ってくる。
そう、新入生だ。
その新入生らが入って最初に経験する行事とはなんだと思う?
そう、入学式だ。
そして今オレがいるのは体育館。入学式なうである。
道端に咲いていた桜は散り、新緑が眩しい季節となりました……などと長ったらしい文章を読む教頭。いつもの事だがそんなこと、新入生たちには耐えられない苦行だろう。意識が他に飛んで周りを見回すものもいれば寝ている奴もいる。在学生の大半は寝ているのでそれよりはマシと思うほどに退屈だ。
教頭が話し始めてから約二十分弱。聞いている側からは体感一時間はすぎているような気もする。
内容が詰まっていればこうはならないがいかんせん、形式ばったことしか言わないので本当につまらない。
教頭はまだまだ喋り続け、ついには自身の身の上話まで話し始めたところでオレは寝た。
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しばらく寝たあと肩を叩かれたのでぱっと目を開ければ
『────……以上で入学式を終わります。新入生の皆さんは自身の担任となった教師の指示に従って動いてください。在校生の皆さんは各自教室へ戻りましょう』
入学式が終了していた。ちなみに司会はオリちゃん。目が合った時はウインクしてくれたり結構ノリノリでやっているようで何よりだ。
オレは肩を叩いてきた設楽 大和を見て「ありがとー」と言っておく。それにヤマトはピースで返してきた。
ヤマトは体育教師なのでよく暇な時は保健室に入り浸っている。なので同僚の中では結構仲がいいやつだ。
ここで豆知識、彼は辛いものが大好きでありそのうえ大食いなのでよく食堂で彼専用の激辛メニューと書かれた品が十数品あり、それを一食で食べてしまうほどに彼の胃はおかしい。
そんなこんなでヤマトが暇だと言いおしゃべりことになったので一緒に保健室へ向かった。
することになったのに……いざ保健室へ着くと怪我人が何十人も押しかけていた。しかもその全員が新入生だ。記憶が正しければ1年S組、トアノアのクラスの子たちだった。チワワのような小柄な生徒ばかりが怪我をしている。
ヤマトには近くで待っててと伝え急いで応急手当を施す。主に痣を顔や腕につけていた子達が多かったが、中には強い力で殴られたような顔半分ボコっと腫れていて口の中まで切れて血が出ている子もいた。
とりあえず湿布で何とかしたけど腫れていたりしてる子たちには保冷剤も渡しておく。それにしたって痛そう。
そう思いながら手当を全員分終わらした。
この怪我どうしたの?そう問いかけるとボーっとしてたのが嘘のように皆話し始めた。
「転入生が、!」
「殴りかかってきたんですぅ!」
「急に暴れだした、痛かった僕関係ないのに」
「今先生が二人がかりで抑えてくれてるの」
「先生が僕を庇ってくれたから、グスッ怪我を」
「隣のクラスはまだいなかったので風紀に助けを呼びました!!」
「アンチだよあの子。同人誌でグチャえろにしてやろうかブツブツ……」
若干呪いを吐いているような子もいたけど、それよりもトアノアのどっちかが殴られちゃってる可能性が出てきて少し焦りがオレの中で生まれる。
「え、どうしよヤマト。トアノアが」
「一旦落ち着け。ここは俺に任せて行ってこい」
「うん、ありがとう!」
とりあえず風紀に通報したらしいから、保健室にいる子達はヤマトに任せてオレは現場に向かうことにした。
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