6 / 8
白井芸能事務所
しおりを挟むブー、ブー、ブーーーーー
「っ!」
8時を知らせるスマホのアラームを勢いよく止め、飛び起きる。
(今日はseekとの対談だ!)
事務所へは20分もあれば到着すると言うのに、まるで遠足に行く子どものようだと思ったがそれほどまでに今日の対談が楽しみで仕方がない。
はやる気持ちを抑えながら少し早いが準備に取り掛かり、いつもより丁寧に朝食を作ってみたりして時間を潰すことにした。
「そろそろ行くか…」
時計を見れば10時を指していた。
少し早めについても大丈夫だろうとそのまま家を出る。
「紫乃おはよ~今日はまた一段と早いじゃん」
いつもより気持ち早歩きで事務所に到着すると中にはすでに凪がいた。
「おはよ。そういう凪も早くないか?」
「ふふん、誰かさんが楽しみで早く来るんだろうな~って思ったから話し相手にでもなってあげようかなって」
ニヤリといたずらっ子の様な笑顔をして凪はそう答えた。
「…そりゃどーも」
ユニットを組んで2年、凪は俺のことをよく理解してくれている。
そういえばユニット組もうって言ってきたのも凪だったな、なんて思い出に浸りつつ、凪の優しさに甘えようと他愛のない話をする事にした。
そんなこんなで数十分凪と話していると部屋にノックの音が響き、マネージャーが姿を現した。
「二人ともおはよう。随分早く到着してたみたいだね」
「あ、おはようございます」
「おはよーございます」
「それじゃあ早速打ち合わせしようか」
そう言って座ったマネージャーと対談についての打ち合わせを進めていく。
「流れは今説明した通りで、今から車で向かうけど準備は大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「よし、じゃあ行こうか!」
一通り説明を受け白井芸能事務所へと向かう。
1時間ほど車を走らせ、都心部から離れてしばらくすると突然視界が開け大きなビルが見えて来た。
「白井ってこんなとこにあるんすね…」
「本当だよねぇ」
「駐車場は…」
初めて見る白井芸能事務所。
今まで疑問に思ったことは無いが思い返せば事務所の様子がメディアに出たことはなく、それもこんな人里離れた場所に立っているとは…と考えているうちに車が停車する。
「さ、じゃあ二人とも行こうか」
マネージャーのその声を合図に車を降りて事務所に入ると玄関ロビーの正面にいる受付の女性がにこやかに「ようこそいらっしゃいました」と声を掛けてくれた。
「本日対談の予定でアポを取っておりましたエイクアのconnectですが…」
「はい、お伺いしております。ご案内致しますね」
受付の方はそう言って俺たちの先頭を歩き、案内されてとある一室の前で立ち止まる。
「ではconnectのお二人はこちらにお入りください」
「え?俺たちだけですか?」
対談ならばマネージャーも同席するはず、と思っていると俺たちだけでの入室を促され首を傾げる。
「先に白井社長と話すことがあってね、すぐ行くから待ってて」
俺の疑問はマネージャーからの言葉で解決し、それならばお先に、と開けられたドアを潜り入室する。
「お、来た来た」
「…」
そこにはすでにseekの二人が待っていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる