また逢う日まで

ゆきまる。

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再会

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「…!!」

3年間、会いたかった憧れの人が目の前にいる。

そのあまりの衝撃に体が固まってしまった。











「っ?!」

無言で立ち上がったコウガさんがこちらへ歩み寄ったと思った途端何かに包み込まれる感覚と塞がれた視界。

そして唇に感じる柔らかな感覚。

抱きしめられ、キスをされていると気付いたのは数秒後。

「んっ、ん、!?」

「ずっと…会いたかった」

唇を離したコウガさんはその瞳で真っ直ぐ俺を見つめる。

その瞬間、目の前にいるのはコウガさんのはずなのにコウガさんではない名前が脳内に流れ込んでくる。

「こ、が、らし…」

そう呼べば俺を抱きしめる腕に更に力が入る。

「お、れ…わた、し、やっと会え、」

そうして今まで見てきた、しかし記憶に残らない得体の知れない夢が自分の前世の記憶だと理解した。

自分が人間でありながら、妖であるこがらしと永遠の契りを交わした事も、何度も生まれ変わっては再会する事も、ひとつ前の生では再会出来なかった事も、全てを思い出した。

「ぁ、こ、凩、ずっと会いたかった、でも、また忘れて、!」

「紫乃、大丈夫…いいんだそれは、仕方のない事だから、」

「でも、でも、」

「はは、いつもこの会話から始まるな」

そう優しく微笑んだ凩はまた強く抱きしめてくれる。

「う、っ!」

しかし、凩の事を思い出せば思い出すほど頭痛が増していく。

俺は、

私は、

僕は、

「紫乃、大丈夫。無理をしなくていい、今のお前はアイドルの山江紫乃だ。贄にされた“しの“でも、貧しく病弱だった”シノ“でもない」

それはかつての記憶。

「コウガさん、凩、」

「ああ、好きな方で呼んでくれ」

一気に流れ込んで来た記憶の波に抗うように”山江紫乃“としての記憶を手繰り寄せる。

その間もコウガさんは優しく抱きしめてくれていた。



「おーおーお熱いねぇ」

「そりゃそうでしょ、百数十年ぶりなんだから」

その話し声にふと我に帰る。

「あ、凪…千里せんりさん、」

それは紛れもなく共に入室した凪とコウガさんの相方である千里さんのものだった。

「初めまして、紫乃くん!それにしても俺のことも知ってくれてたの嬉しいなぁ」

「当たり前じゃん!紫乃がどんだけseekの事推してるか分かってる??」

「だってどのインタビューでもコウガさんコウガさんだったからさ」

「あんたの事もちゃんと応援してるんだから心配すんなってば」

初めまして、と返そうとしたのも束の間、凪と千里さんの間に入るタイミングを失ってしまった。

ただ一つの疑問を抱き、凪をジッと見る。

俺の視線に気付いたのか凪が「あ、」と言ってこちらに向き直り衝撃の事実を伝えてきた。



「あー、俺も人間じゃないんだよね」







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