公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優

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99話

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ツゥ___

鼻付近に、違和感を感じ手で拭った。

    血だ。鼻血出てる。

ドクン ドクン ドクン

ティアナの心拍数がどんどん速くなった。

  ドキンっ___ッ!

   「うっ  ゴホッゴホッ」

   っ?

ティアナの喉から赤黒い液体が、溢れ出た。一際、大きな咳とともに、口元を赤く染める。塞いでいた手を見るとら暖かい血が手に付着していた。

   苦しそうな咳をしているティアナを全員は、驚愕した顔で見ていた。

   どうして、血が___?

その途端、ティアナは膝から崩れ落ちた。彼女の身体が地面に触れ小さく揺れた。鼻からは、血が止めどなく流れ出ている。
   
    「ティアナっ!」

  あれ、なんで地面が近いの。目がだんだん重く___

先程まで、月明かりが照らしていたがティアナが目を閉じた瞬間、ティアナの頬に1粒の水が弾んだ。その途端、ポツポツと不穏さを漂わせるような大粒の雨が降り始めた。

     「ティアナ!」
     「医者と神官を全員叩き起こせっ!」

皆がそれぞれ、ティアナの名前を呼んでいた。しかし、意識のないティアナには何1つ届かなかった。





次に目を覚ました時には、既視感のあるどこまでも続いているような白い一面。一辺に夥しいほどの本が並べられている本棚が広がっていた。横たわっていたが、自身が何をしていたのかを思い出しすぐさま立ち上がった。

    「私、また死んじゃった!?」

     「いやいや、まだ生きているよ。」

 急に背後から聞き覚えのある声がした。この声は、あいつだ。バッと勢いよく振り返った。

      「やあ。」

      「何が"やあ"よ。神獣送ってくれるって言ったけどなかなか来なかったじゃない。少なくともあの日あった日から1年は経ってるわ。しかも、初めて会ったのはすんごいピンチだった時だから!」

       「こっちにも事情って言うものがあるからね。」
(本当は、なかなか渋ってあの犬が行くのを拒んだんだよね。今は、手のひら返しでティアナに従っているからなぁ。)

なんか、リエルの前だと強気に出ちゃうんだよね。やっぱりリエルの第一印象が最悪だったからかなぁ。いや、それよりもなんで私ここにいるの。さっきの衝撃で、死んだんじゃないの?

    「なんで自分がここにいるのか、知りたいですよね。」

リエルは、こちらを揺さぶっているようかのような口調で話してきた。

    「うん。あれから、お姉様どうなったの。」

    「自分の心配じゃなくて、あの子の心配するんだ。」

    「だって私は、死んでないんでしょ?なら、いいよ。」

    「他人事すぎるなぁ。」

  今更だけど、リエル私に敬語使ってないよね。多分、こっちがリエルの素なんだろうな。初めて会った時は定型文って感じだったしね。

     「貴方がお望みなら、エリーについて先に話すよ。まず、エリーはティアナとフィーネの行動により結果的には助かった。ギリギリのラインでね。」

     「はぁー良かった。」

安堵し胸をなで下ろした。

お姉様の無事がわかってほっとしたよ。一応神様が言うんだから、ほんとうに助かったんだよね。

     「けど、問題はティアナだ。」

     「え?私?」

  どういうこと? 確かに、私気失ってその場で倒れたんだよね。でも、今は体ピンピンしているし、あ、ここ精神世界か。そりゃ身体も痛くないわけだ。

    






     





    


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