俺の運命の赤い糸に繋がっていたのは学校で称えられている美少女三人組だった

白夜黒兎

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第1話 プロローグ

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ただ普通に過ごせれば良かったんだ。普通の会社員として働いて、好きな人と結婚して。それが理想だと思ってたのに・・・。今俺の目の前に居る女子三人は俺にピッタリとくっついて離してくれそうになかった。



「成海~、余所見すんなよ!」

「な、成海君!また勉強教えて貰っても良いかな!?」

「ユースケ~、その唐揚げ頂戴?」




・・・ほんとになんでこうなったんだ!?



♢♢♢ 



『5月16日午前7時のニュースです。なんと街中で運命の人とを繋ぐ赤い糸が見える人が続出してると言う不可思議な事態が起きてる模様です。原因は現在判明してませんが、それが本当なら不自由のない幸せな結婚が出来ること間違いなしですよね!あぁ~、私もまだ出会ってもない運命の人に会いたい~!それがイケメン俳優とかだったらどうしよ~♡』



紅く染まる頬に手を添えてあれこれ妄想を膨らませる女性アナウンサーを寝起きの頭が良く回ってない状態でぼっーと見つめながらテレビのリモコンの電源を落とした。



運命の赤い糸だって?そんなのあるわけねぇだろ。



俺は先程のニュースを思い出し鼻で笑うとカバンを片手に学校に向かった。



俺、成海なるみ 裕介ゆうすけの人生は本当につまらないものだった。親が厳しかったせいもあって友人と遊んだことなんてなく、毎日習い事で忙しい日々を送っていた。だからって習い事がない日は自由に過ごせるわけではない。習い事がないのなら学校の復習をしろと親からは必要以上に外には出させて貰えないし、テストでは上位の成績を収めなければ夕飯も与えてくれないのだ。それに耐えかねて高校生になってすぐに家を出た。親はきっと許してくれないと思うから内緒でだ。親の連絡先を躊躇なく消し、ついでに親戚のそれなりに親しい人、中学のクラスメイトのも消した。俺はイチから高校生活を楽しむのだ。その為には過去のものにおさらばしないといけない。恋愛もまともに出来なかったし、早速恋人でも作って学園生活をエンジョイしたいな。今まで女と縁がなかっただけで普通にソウイウコトに興味があるおれは学校に着くなり早速意中の相手を見つけてテンションがあがる。



「あ、芦途さん!」

「成海君ではないですか。おはようございます」



艷やかな二つのみつ編みを揺らしながら振り返った彼女は芦途あしど 京香きょうかさん。黒髪に黒縁眼鏡と、決して目立つタイプではないがある日図書館で出会い、お勧め本を紹介し合ってる時にそのまま意気投合したのだ。未だに連絡先を聞けてないがきょ、今日こそは!連絡先を交換してそのまま親密な関係にまで発展してやる!!



そんな下心に燃えてると芦途さんは今朝のニュースについて話し始める。



「今朝のニュース見ました?運命の赤い糸に結ばれてるだなんて素敵ですよね。・・・憧れちゃうなぁ~」



女性アナウンサーの様に頬を微かに紅く染める芦途さんに胸が鷲掴みされる様な感覚に陥った。



「あ、芦途さんも運命の糸を信じてんだ?案外ロマンチストだね」



声が震えながらも言うが芦途さんは俺の言葉にほっぺをぷくっーと膨らますもんだから尊死してしまいそうになる。



「あ、当たり前じゃないですか!私達が出会ったのは奇跡じゃなく運命・・・そうだったら何より良いか。・・・成海君もそう思いませんか?」

「え、」



なんだ、なんだ!?



どうしてそんな期待した様な眼差しでこっちを見るんだ!?



も、もしかして芦途さんも俺のこと。



間違いない。あの潤んだ瞳はそういう事だ!



もしかして今、告白するチャンスでは!?絶対相手も俺の事が好きな筈だし100%成功するに違いない。



よ、よし言うぞー・・・。



「あ、芦途さん!俺、ずっと前から芦途さんのこと・・・」



後少しで伝えられる、そう思ったが。



「お前らー、何やってんだ!もうすぐ授業始まるから教室に入りなさい」



タイミングー!!



突如現れた体育教師、細山デブヤマによって未遂で終わったのだった。



「す、すみませんすぐに入ります」



細山に頭を下げる芦途さんを見て満足したのかそれ以上何も言うことなくハンカチで額を拭きながら行ってしまった。



おい、デブ!なに芦途さんに頭下げさせてんだよ!お前のそのふさふさした髪が実はヅラだと知ってんだからな!しかも名前が体型に合ってないんだよ!



暫く細山の背中を睨み付けていると横から軽く背中を突かれて振り返る。



「・・・さっきの続き、放課後にでも教えてくれませんか?」



上目遣いで見つめてくる芦途さんに頬が紅潮するのを感じる。芦途さんは自分で言ったことが恥ずかしくなったのか視線を彷徨わせ急ぎ足で教室へと入って行った。



暫く芦途さんの先程の言葉を脳内でループさせるが何故か再びこちらに向かって来てる細山を視界に入れて直ぐ様教室に入る。



「さ、最悪だーーー!!」



しかし入ってすぐに聞こえたのは男共の絶望するかの様な悲鳴だった。



「な、なんで俺の相手がケバケバ女なんだ・・・」



ケバケバ女…?あぁ、あの化粧がやたらド派手な女子か。



「俺なんてマヨカツ女だぜ!?」



・・・やたらとカツ丼にマヨネーズをぶっかけようとする女ね。



最近クラスの中ではクラスメイトの特徴をとってあだ名を付けるのが流行っていた。因みに俺のあだ名は『陰キャの皮を被った陽キャ、かと思いきやザ・普通』意味が分からなすぎる!陰キャ?陽キャ?どっち!?と思いきや結局は普通で収まんのかよ!それなら最初から普通で良いよ!長いし覚えられないしその名で呼ばれた事一度もないんだけど!?そのあだ名を考えた奴センスなさすぎるだろ!



「はぁ~…。相手があかりんだったらな」



その名前にクラス中の男子が振り返り同意する。



「それな~!俺もユズっちなら泣いて喜ぶわ」

「へー、お前ユズっち派なんだ。俺は断然にったん!あの顔で踏まれてみたいわ!」



他の女子が居るにも関わらず大声で女性の好きな部分、好みのサイズを話し出す男共はきっと女子の突き刺さる殺意のある視線に気付くことはないだろう。



その中で今特に話の中心に居る女子三人は隅っこの方で話に花を咲かせている。



このクラスには聖女、姫、妖精と称えられる三人の美少女が居る。それがさっき名に上がった彼女達だ。



神様、仏様、朱里様!



セミロングの黒髪が美しい聖女、浅倉あさくら 朱里あかり。恋人、奥さんにしたいランキング堂々の一位!誰にでも分け隔てなく接することから自分に気があると錯覚した男共が告白し玉砕すると言う光景を何度見たことか。確かに彼女と赤い糸が繋がっていてそのまま結婚にこじつければ一生幸せに過ごせるだろうがあぁ言うタイプは結婚すると豹変するに違いない。てことで恋愛対象として論外だ。次!




翠様、我を踏みますか?いいえ、是非踏んでください!!



金髪のハーフロングにバッチリメイクとどこからどう見ても完璧なギャルだがその中に清楚さも兼ね揃えてる学校の姫、新田にった みどり。踏まれたい、主人にしたいランキング堂々の一位!その見た目通り気が強いが友達思いで良く相談されてるところを見掛ける。女子からの支持率も高い。一緒になったら退屈しなさそうだが喧嘩も絶えないし何より家事を放ったらかしにしそうだから駄目だ。よし、次!




ユズっちの笑顔が見てみたーい!



銀髪のボブカットがどこか儚さを感じるクールビューティーフェアリー、神楽かぐら 結月ゆずき。妹にしたい、守ってあげたいランキング堂々の一位!華奢であまり笑ったところを見たことがないが学校内をてちてち歩く姿はまるで小動物の様で男女問わずの『ユズっち守り隊』が結成されてるのを俺は知っている。彼女と結婚しても物静かだから気にせず自分の趣味に没頭出来そうだがいつか消えて居なくなりそうで危ういから駄目だ。俺が過労死してしまう。



やっぱりどんなに美人でも生涯共にするなら安心さは欠かせない。その点、芦途さんは可愛いし家事も得意って聞いたことあるしどこにも行かずずっと側に居てくれるだろう。ちらりと芦途さんの席の方を見るとなんだかソワソワと落ち着かない様子で俯いている芦途さんが目に入った。



「芦途さん、どうしたの?」

「ひゃ!?なな、成海君!」



俺が芦途さんの席に近付き声を掛けると芦途さんの体が大袈裟に跳び上がる。



「え、大丈夫?芦途さん」

「うん!だ、大丈夫だから近付かないで?」



え、あからさまに拒まれるとショックなんだが。さっきはあんなに熱い視線を向けて来たと言うのに今は目を合わせようともしない芦途さんの変わりようにショックを受け肩を落として自分の席に戻ろうとした時に見えてしまった。



芦途さんの小指に赤い糸が巻き付いてるのを。



「え、え!?ああ、芦途さん!?」



俺はテンパり思いのまま叫んで気付いた。芦途さんだけじゃない。クラス全員に同じ赤い糸が巻き付かれていてそれが誰かとを繋いでるのを。嫌な予感がして俺はゆっくりと自分の手を確認した。そして俺は目を見開き言葉も発せずに固まってしまう。



俺にもあるのだ、赤い糸が。だが何かがおかしい。他の人は赤い糸が一本繋がってるだけだが俺だけありえない太さだった。それが一直線に三本に分かれて伸びていた。



え、赤い糸って普通一本じゃないの?



芦途さんは俺の隣で今も尚俯いてるからこの糸が芦途さんじゃないって事は嫌でも分かる。それにショックを受けながらも繋がってる相手が気になった俺はゆっくり顔をあげて再度固まってしまうことになる。



「う、嘘だろ?」



俺と繋がっていたのはあの美人三人衆だった。
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