耳も尾もない異端の王

よっちゃん

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竜王の視線

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辺境の地に異変を嗅ぎつけた竜王レグルスは、竜王国の中でも珍しい嗅覚で察知していた。
「魔力循環が、不自然だ――」

疲弊した土地に不自然な安定がある。病が出るはずの水が澄み、作物が豊かに実り、村人の不安は薄れている。
レグルスは自然と視線を一人の少年に向けた――アルトだ。

耳も尾もなく、細身で弱々しい存在――だが、世界の中心は間違いなくアルトだった。

「……人族か」

記録でしか知らぬ、排除された存在。
目が合った瞬間、竜王は理解した――こいつが世界を書き換えている。

だが、殺せば一息で終わる弱さ。
なのに、なぜか世界が守っているように感じる。

その瞬間、アルトは微笑んだ。
恐怖でも諦観でもない、静かな微笑。

「僕、役に立ちますよ」

竜王は無言で唸る。
従順さと無垢さ、そして世界を書き換える力――理性が崩れ、アルトをそのまま連れて行く決断を下す。
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