耳も尾もない異端の王
――人族は、世界に一人だけでいい。
掟でも法律でもない。誰かが書き記したわけでもない。
ただ、世界がそう扱ってきた。
この世界を満たしているのは獣人たちだ。
鋭利な牙、しなやかな尾、竜の角と鱗、鳥の翼、鹿の蹄。耳と尾を持ち、魔力を操り、強靭な身体で生き抜く――彼らこそ「普通」。
それ以外は、例外。
例外は、いずれ排除される。
人族は、そうして消えた。
魔力も牙も爪も尾もない。基準では生きる価値のない存在――
ただ、世界そのものに干渉する力を持っていた。
「世界はこうあるべきだ」と定義してしまえる力。
それは魔力より根源的で、恐ろしかった。
獣人たちは理解できず、恐れた。だから、人族は排除された。
だが、湿った森の根元、絡み合う木の間に、耳も尾もない赤子がかすかに息をしていた。
泣き声は弱く、今にも消えそうだった。
それでも、生きている。
世界そのものが、その存在を守っているかのように――。
――それが、アルトだった。
掟でも法律でもない。誰かが書き記したわけでもない。
ただ、世界がそう扱ってきた。
この世界を満たしているのは獣人たちだ。
鋭利な牙、しなやかな尾、竜の角と鱗、鳥の翼、鹿の蹄。耳と尾を持ち、魔力を操り、強靭な身体で生き抜く――彼らこそ「普通」。
それ以外は、例外。
例外は、いずれ排除される。
人族は、そうして消えた。
魔力も牙も爪も尾もない。基準では生きる価値のない存在――
ただ、世界そのものに干渉する力を持っていた。
「世界はこうあるべきだ」と定義してしまえる力。
それは魔力より根源的で、恐ろしかった。
獣人たちは理解できず、恐れた。だから、人族は排除された。
だが、湿った森の根元、絡み合う木の間に、耳も尾もない赤子がかすかに息をしていた。
泣き声は弱く、今にも消えそうだった。
それでも、生きている。
世界そのものが、その存在を守っているかのように――。
――それが、アルトだった。
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