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2話
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『アルちゃん起きて、アルちゃん』
アルトリウスは、ベルタ・クロイツァーと交際しているが、表向きにそれを吹聴していなかった。交際から1ヶ月が経過した頃合いだった。
それは、日陰者同士でつるんでいる、という実体がアルトリウスの美意識的間隔に合わなかったからだ。
それでは、負け組ではないかと彼は、考えていた。
その為、他人の目がある内は、ベルタの固有能力で念話である念話で会話していた。
半径1メートルほどが限界の双方向のテレパシーというのは、ソルジャーズとして余りにもお粗末すぎる。
彼らにとっては間合いの中であり、1メートルの距離で読心をしていればその間に切り伏せられてしまう。
秘密の会話をすること、カウンセリングにしか役に立たない能力だった。
傍からは日陰者同士が仕方なく隣に座っているように見えるように細工していた。
『……またつまんねえ授業だろ。寝る』
アルトリウスは、幼い頃にクラスAの素養があるとして、私塾の方針で英才教育を施されていた。よって、授業を詰まらないと感じるのも殆どの知識が頭に入っているからだった。
『転校生だよ!』
『興味ないね』
『……』
ベルタは暫く黙ってしまった。
すると、教室が歓声で湧いた。
『うるさい』
『これでも起きないんだ』
いや、覚醒はしているのだが気だるい。
『完全に鬱の症状だよ。アルちゃんのそれ』
それは、ぐっさり刺さった。
『鬱じゃない』
のそりと顔を机から上げると、皆の歓声が上げた理由がわかった。
腰ほどまであるだろう艶のある黒髪をポニーテールで纏めている。容姿端麗、抜群のプロポーションを誇る彼女は、確かに、皆が歓声をあげるのも納得だった。
『アイパッチ?』
『眼帯ってやつでしょ。よく漫画に出てくる』
『あの、人類発祥の地にいたとされる伝説の存在サムライのしてるあれ?』
「ミヤモトさんのしてるそれは、もしかして眼帯ってやつですか?」
同じことを思った生徒がいたようだ。サムライを題材とした漫画、小説はかなりの数が存在するから。
「如何にも! 拙者のこれはミヤモト一刀流を修めた証! 眼帯である!」
『はー心の底まで漫画に浸されてそーなやつ』
『それがね。どうやら、彼女は本物らしいよ』
『本物?』
『最近共和国に編入された辺境惑星の出自らしくて、あの喋り方素の喋り方みたいなんだよ』
『なんだか楽しそうだな。ベルタ』
アルトリウスから、ベルタに対する呼び名はこれだった。
ベルたん、というあだ名も考えたが余りにも阿保らしいので辞めにした。
アルトリウスは、改めてミヤモトを見た。
服装はちゃんと第3教導院のものだが、独特の雰囲気がある。
それが、武をある程度嗜んだ故の余裕であるとアルトリウスは睨んでいた。
立ち振る舞いの一挙手一投足を観察する。
『クラスB相当の実力があるな。あのミヤモトなんとか』
『ミチル・ミヤモトだって』
『本当にサムライみたいな名前だな。人類発祥の惑星の名前なんて誰も知らないのに』
だから、彼女のサムライ的振る舞いはまやかしなのだ。人類発祥の地がわかっていないのに、その中の一文明、さらに限られた身分などが残っているはずがない。
彼女の見た目は、コスプレと断定しつつも彼女の実力は漫画の中のサムライに匹敵すると捉えていた。
彼女と一瞬、目がった。
『……興味を示した? 俺が実力を見抜いたように向こうも気が付いた?』
『……でも、アルちゃんクラスCだよね? 私が言うのもなんだけど、格下に興味なんて持たないでしょ』
『そうだ。興味を持つなら委員長の方だ』
実際に今は、彼女は委員長の方に向かって歩いて挨拶すると彼女の隣に座るのだった。
学内試験。普通の学生にとっては、定期考査にあたるそれは、彼ら、ソルジャーズの場合
「はぁ!」
「でぇや!」
真剣同士の切りあいだった。現在までのクラスは教官による仮評価に過ぎない。
この場で全力を尽くし、総合的な能力を発揮したと教官たちが認めるまで、学生たちは殺し合いをさせられる。
相当な深手を負わない限り、宇宙移民に伴って発達した医療技術により死ぬことはないので、学生たちは本気の殺し合いを演じていた。
審判を兼任する教員複数名で、協議して評価を決定するため多大な時間を要する。普段訓練ばかりの生徒たちにはこれは娯楽であった。
教師たちも、生徒たちに実戦を見る機会だと観戦を許可していた。
アルトリウスは、物陰から、ベルタの試合を観戦していた。
互いに全力を尽くす状況とは、即ち、実力の拮抗したもの同士で行うもの。必然的に、学内試験は仮のランクが下位のもの同士の勝ち抜き方式になる。
先ずは最低ランクのクラスJ、Iの者たちの試合から行われる。
その中から今現在クラスF程度の試合まで勝ち進み、皆の注目を集めている者が1人。
基本的に格下には興味のないアルトリウスが見つめる彼女は
「たあああ!」
ベルタ・クロイツァーだ。
直剣が吹き飛ばされ、左肩に斬撃が滑り込もうとしていた。
(そう。いまだ。痛みを恐れるなベルタ)
周囲の学生が、ベルタの負けを確信している中、アルトリウスだけが、勝ちを確信していた。
鮮血と共に宙を舞う白い手。
「ああああああああああ!」
ベルタの右腕が懐に入り、押し倒す。ベルタよりも二回りほど大きい男子生徒を。
既に衝撃で体感回りの骨が砕けているだろう。
「があああああ!」
野獣のように闘争心を剝き出しにしたベルタの右腕が相手の胸元を貫こうとしていた。
「それまで!」
ベルタが教員達に捕らえられる。
ベルタの基礎身体能力はクラスF程度。クラスBが最低条件とされる教官たちがすんでのところで止めに入れるのは、当然のことだった。
「があああああ!」
ベルタは理性を失っていた。
アルトリウスは、ベルタに心の中で声をかけた。
剣術の鍛錬の中で、アルトリウスはベルタのテレパシー能力を応用できないかと考え、積極的に能力を使わせた。
(ベルタ。安心しろ。勝ったよ)
その甲斐あってか、ベルタは自身に向けられる思念の範囲がアルトリウス限定ではあるが、拡大していた。
「あ」
やっと理性を取り戻した彼女は、ボロボロになった相手を見下ろした。
「はは」
彼女は勝利に酔いしれて倒れこむ。
周囲の中には、彼女に恐れるものもいたが、中には称賛するものもいた。
アルトリウスも、衆群の1人として目立たないように拍手を送った。
仮設救護室に運ばれていくベルタ。
アルトリウスは駆け出すようなことはせず、冷ややかに見送った振りをした。
切断された左腕もすぐに接合される。1時間ほど経ってから、彼は救護室の裏手に回った。
ある程度以上、クラスC程度の能力があれば壁越しに気配を探ることも容易い。
恐らく、ベルタのいる近辺で小さく口笛を吹いた。
『アルちゃん!?』
ベルタの思念だ。
『周りに気が付かれてない?』
『多分』
『そ』
アルトリウスは安堵した。彼らの蜜月は周囲にばれていない。
『……』
『アルちゃん?』
『……んんんんん』
『アルちゃん!?』
「おめでと」
それを口にするのが、苦しかった。頬が熱くなって。
『言えた』
『……』
今度はベルタが黙ってしまった。
「ふええええええ」
『泣いてんだ』
「うれしくって。クラスⅠだって評価された私が3つも上のクラスの人に勝てたのが嬉しくて」
「すごかったじゃん! アンタ!」
声に出していたから、となりの病床の女生徒が声をかけた。
アルトリウスは、もう彼女が日陰者じゃなくなったことを知って、少し寂しく思いながら立ち上がった。
『アルちゃん?』
『また放課後にいっぱい話そう』
『待って!』
周囲からの称賛はベルタ・クロイツァ―がずっと求めていたものだ。
その快楽を奪うわけにはいかない。
さて、この後はどうするか。
クラスCである彼は学院ないでは高位の為、勝ち抜き戦が回ってくるまでは、時間があった。ソルジャーズで最も数の多いのはクラスD、E、Fで今は、その中でも下位の集団の評価が行われている。
アルトリウスの番まではまだ1週間ほど時間がある。
ベルタ以外に交友関係のないアルトリウスは放課後までの時間の潰し方に苦心していた。
(寮に帰って寝る?)
今日は、ベルタも負傷していたし、放課後にいつものように手合せをするわけでもない。
普段は、暇なら、ベルタの家に遊びに行っているところだが
(今のベルタは注目の的だろうしなぁ)
クラスIがクラスFに勝利するというのは、快挙だ。
何をするかと苦心しつつも、寮に足を向けていると
「マーシャル!」
後ろから女生徒が呼び掛けた。聞き覚えのある。
交友ではないが、付き合いのある女生徒だった。
「委員長」
眼鏡をかけて栗色の三つ編みを揺らす地味目な女。小説のテンプレートキャラのようなそいつがいた。
(つまんない奴がきた)
テンプレートすぎる。堅物という点も。
「何の用だよ」
「暇でしょ! 付き合いなさいよ!」
「やだよ」
「なんか約束でもあるわけ? 彼女とか?」
「……いや、別に」
「ならいいじゃない!」
何がいいのか。
(それに俺には、彼女いるんだよ! 察せよ! 誰がベルタに剣を教えたか、大体気が付いてんだろ!)
「クロイツァーさんに剣を教えたの貴方でしょ」
「……」
(うおおおおおおい! じゃあもっと想像力広げろぉぉぉ!)
アルトリウスは額を抑えた。
「頭痛があるんだ」
「なら好都合! ハーブティーで有名な喫茶店に行くつもりだったから」
手を引っ張ろうとした委員長を払いのける。
「なにすんのよ!」
「わかった。着いてくから、触れんな」
アルトリウスは、委員長の3歩ほど後ろをとぼとぼ着いていく。
「ここ」
「へー」
新しい店舗ではあるが、古い街並みに溶け込んでいた。
これは、いい店だと、あまり縁のないアルトリウスも感心した。
「マーシャル! あっち」
アルトリウスは、少し好感を委員長に持っていた。アルトリウスやら、アーサーやら立派すぎる名前ではなくて平凡極まりないファミリーネームで呼んでくれるからだ。
(アルちゃんなんて呼び方するのはアイツだけだよな。安心した)
あの絶妙にコンプレックスを刺激しつつ茶化した呼び名。
それをベルタ以外が呼んだのなら、自分は不愉快になる、自信があった。
だから、リザーブされていたテラス席で待っていた人物にも好感が持てた。
「委員長! マーシャルどのぉ!」
羽のようなポニーテール。そして、眼帯なるファッション。
話題の転入生ミチル・ミヤモトだった。
「ねえ! ミチル! 貴方が言ってた気になる男ってコイツでしょ」
「うむ!」
「コイツ?」
アルトリウスは眉をひそめた。
「さんっざん! 迷惑かけておいて! 妥当な呼び名でしょ!」
「どこの教導院にも問題児っているだろ? 嫌なら委員長なんかしなけれいいのに」
「アンタって、本当に高位ソルジャーズの義務とか気にしないのね」
「義務?」
「将来私たちは、多くのソルジャーズを率いる立場になる」
「あぁ、それ」
評価の高いソルジャーズは戦場において責任者を任される。それは、ソルジャーズを支配できるのは、より強いソルジャーズのみという考え方による。
「あれって危険な考え方じゃない? もしも一番トップ、最強のソルジャーズが反旗を翻したらどうすんだよって」
「だから、教育とコレが必要なんでしょ」
委員長は自分の首元をさすった。銀色の首輪を。
「おお! これであるな! ソルジャーズだと示す以外に役割があったのか!」
「常識じゃん。あ、えーとミヤモトは最近編入された辺境からきたのか」
アルトリウスも倣って、自分の首のそれを撫でた。ソルジャーズなら、誰でも付けているそれを意識したのは何年ぶりか。
委員長がミチルに説明を加える。
「説明されずに付けられたのね。それは、私たちの位置情報を政府が知る為の発振器よ」
余りにも簡潔すぎる説明なので注釈を加えた。
「最高評価のソルジャーズでも破壊できない素材で出来てる。他国へ逃げようとか、力の悪用をしようものならなら暗殺部隊が殺しに来る」
「拙者たちへの安全装置というわけか」
「「そ」」
ハーブティーを含んで一息吐いた時だった。
「それで? 拙者の話は以上であるが!」
アルトリウス、委員長はミチルの身の上話を聞き終わったところだった。
要約すると、天涯孤独のミチルは剣の達人に拾われて星中を旅する生活を送っていた。
その中では大蛇との死闘や、闇の剣豪との試合など様々な冒険があった。そんな生活に慣れた折に、我らが共和国軍が星を傘下に治めた。軍人との縁あってこの星まで武者修行をしに来た。
そんなところだった。
「剣豪娘の冒険、宇宙開拓編って感じだね」
委員長の感想に舌打ちしそうになるのを堪えアルトリウスは咳払いした。
「まぁ、スペクタクルな人生であられまして~」
と、視線を街路に向けた。
「委員長殿やマーシャル殿の話を聞きたいでござる!」
「話って言っても大したことはないわよ。それなりに発展した星で、それなりの家庭に生まれて送り出されたとしか」
「……右に同じ」
大枠では、アルトリウスも委員長と変わらない。
「マーシャルは違うでしょ! 昔は私の星でも耳にするくらいの有名人だったんだから」
「お前……あれ知ってるの?」
「もちろん! 共和国主催全星剣術大会少年の部の優勝者だもん」
「だっる……」
アルトリウスは空を見上げて、現実逃避した。
アルトリウスは少年時代、剣術の天才などと称えられた時期があった。
少年の枠組みとはいえ、クラスAの能力者はそれ程の注目を浴びるものだ。
「でも、実物はびっくりね! クラスCだし、サボり魔の問題児だわ。かつての栄光は何処へやら」
「ちっ!」
アルトリウスは露骨に舌打ちをした。
「クラスA……。拙者の暫定ランクより上であるな!」
「昔の話だよ。能力の初期値はよかったけど伸び率が悪かったんだ。だから、年齢が上がるにつれてランクが落ちた。もしかしたら成人するころにはクラスDかもしれない」
「技術を身に着けたからランクが上がるってのは偶に、ある話だけど。マーシャルみたいに成長曲線が下がるって例は珍しいよね」
「本当にな。なんもないのにさ」
理由には心当たりがあるが、それは彼女のベルタとの間でしか共有しない。
「そりゃあグレるってもんよ」
彼は、委員長と転入生に慣れた噓をついた。
「拙者、マーシャル殿と剣を交えてみたいでござる!」
「縁があったらな」
その縁はすぐにめぐってくると、この時は誰も想像していなかった。
その夜、アルトリウスは男子寮を抜け出してある一軒家を訪れていた。
養育資金に余裕のある生徒の場合、寮ではなく、1人暮らしをするケースがある。
ベルタ・クロイツァーは、数多くソルジャーズを排出してきた名家の生まれの上、素養の低さから家の評価を落とさないように、他のソルジャーズから隔離された生活を送っていた。
ベルタの家のインターフォンを鳴らす。赤い髪の少女が主人を待っていた大型犬のように、慌ただしく出迎えた。
「アルちゃん!」
「ね。周りに聞こえないようにね」
犬のような呼ばれ方は自分の方だと自身をあざ笑いながら、入った。
ソファーで横になる。ベルタの太股を枕にして
「ちょっといやらしい触り方しないで」
「ちぇー」
ベルタとの蜜月はアルトリウスを癒した。少しだけ、肌を重ねてベルタがアルトリウスを読心する。
「これは、辛かったね」
ベルタが頬に触れた。
涙が溢れてきて彼女の肌を汚すが、彼女はそれを笑って受け入れた。
「そっちも大変だったでしょ」
「うん。色んな人から賛辞や、質問を受けたよ。君のことは話さなかったけど」
「クラスF?」
「うん! 一気に3つもクラスを上げたのは第3教導院では初だって」
「それは、よかった……ね」
「噓つき」
称賛、祝福は本心だった。
ベルタとは逆に、アルトリウスはランクを落としている。未だCクラスというエリート層ではあるが、過去の彼からすれば不満だった。
「ちょっと、羨ましいって思った」
「ちょっとじゃないでしょ。いいんだよ。私には取り繕うことはしなくて」
「うん」
ずっと、誰かにこうしたかった。
彼は、母親にそうやって甘えることは出来なかった。彼の母親はソルジャーズではないから。
彼は、剣術の師匠にも本心を打ち明けられなかった。彼女は、アルトリウスの家庭の事情の当事者ではなかったから。
ソルジャーズ故の苦しみを持っていて、自分の感情、記憶を肌感覚で理解してくれるベルタは理想的なパートナーだった。
「俺、ごめん。君に何も返せない」
「そんなことないよ。剣術を教えてくれた。私を底辺から中層まで引き上げてくれた。君からしたら、俗っぽい願望だけど、君は確かに贈り物をくれた。今日、君が見てくれた剣技が」
ベルタは左肘の辺りをさすった。
「それ」
上腕に肌の色が薄くなった部分がある。
「この傷が、君のくれた贈り物だよ」
アルトリウスは、流せるだけの涙を流した。
どんな背景があろうと、休日はアルトリウスもベルタもただの若い男女だった。
アルトリウスの試験が始まるまでの束の間の休息だった。
同じ本を読んだり、ゲームをしたり、毎日読心して絆を確かめ合ったり。
幸福の中で、少しだけ心の澱みが洗われたアルトリウスだった。
「ねぇ? その黒い筒なに?」
「剣術の先生からの御守り」
そんな会話を挟みつつ。
そして、携帯端末に通知が届き彼は、学校に赴いた。
今、1つ年上の同じクラスCの生徒と対峙していた。
クラスC、Bとなれば同じ年に同じ学年に在籍することはレアケースとなる。
アルトリウスは私塾の先生からの餞別。首輪と同じ素材の白銀の直剣を構えた。
クラスC以上同士の戦い。大勢の観衆がアルトリウスの握る業物に息を吞む。
「あれが元クラスA? 武器はそれに相応しいものだけど」
「所詮、早熟の天才さ。落ちこぼれてもクラスCというのは流石だね」
(今の俺にクラスAの力があったらお前らの首全部撥ねてやるのに)
一刀の元。
対してあちらは、ハルバードが獲物だった。
「君とやりあえるなんて光栄だね。アルトリウス」
「そりゃあ、どうも」
アルトリウス。その名で呼ぶものに苛立つ。
アルトリウスは静かに闘志を燃やした。
(身体が軽い気がする。ベルタのおかげ?)
『頑張って』
錯覚かもしれないが、ベルタの声が届いた。
「始め!」
デブの教官の掛け声で彼らは交錯した。
(あれがアルちゃんの本気? すごい!)
アルトリウスは、直刀でハルバードと正面から拮抗していた。
「クロイツァーさんは本気の彼を見るのは初めて?」
「誰?」
茶色い三つ編みと眼鏡の委員長だった。
「私は、昔見たわ。7年前に」
委員長の視線はベルタではなく、衝突する2人に向けられていた。
「すごい! 私たちの何倍も速いのにずっと繊細だ!」
「そうね。昔と変わらない綺麗な剣技。本当に昔と変わらない」
委員長は
「まるで7年前そのまま。私が憧れたそのまま。私が追い抜いてしまった」
ベルタは、異能で委員長の心を覗いた。そこには、ベルタの知らない過去の天才剣士の姿があった。
称賛や皮肉を浴びせる観衆とは異なって、アルトリウスの脳内は不安が立ち込めていた。
(やっぱり、本気で動こうとすると身体が重い)
アルトリウスの意識はもしも、あのままランクAとして成長していたら、という仮想をしてしまう。しかし、今の自分に許された力はランクCのもの。
(このずれは不味い。くそ! これのせいでぎりぎりを攻められない!)
それでも、互角を演じていた。
(意識に身体が着いてこない! 鎖で雁字搦めにされているみたい)
この感覚を嫌って、彼は、日々の教練で本気を出せずにいた。
ハルバードの刃が迫る。
(アジャストするしかない!?)
受け流しながら、鮮やかに蹴りを入れる。黒い一閃のような蹴りはあちらの片腕を捉えるが勢いは流されてしまった。
これによって、一瞬の間ができた。
「楽しいぞぉ! アルトリウス!」
「あぁそうかい!」
あちらは逆に同格の相手との戦いに燃えていて更に速さをました。
(土壇場で成長してきた!?)
アルトリウスは咄嗟に飛んでしまった。
(まず!)
自由落下の加速は彼らの速度域より遥かに遅い。故に滞空することは、相手に大技の溜めを与えてしまう。
(来る!)
ランクC以上に許された剣技。踏みしめによる剣圧で目の前の障害を全て薙ぐ大技。
(大薙ぎ!?)
余波で、雑木林の樹木が根ごと持ち上がる。風の暴力がアルトリウスを襲った。
アルトリウスがトラウマによって失ったものは、身体能力の向上だけではない。
彼が、持って生まれた異能。それも、同時に失われていた。
かつては、圧倒的な才覚故に公に行使したことないそれ。
(死ぬ!)
死を意識したとき、脳裏に閃光が走った。閃光の中には、ずっと目を背けていた光景があって。
(死、アルトリウス、成長、大薙ぎ、妹、病院、剣、ランク)
本気の刺激が彼の失われていたものを取り戻させた。
(異能!)
誰もが、生意気な元天才の終わりを確信した。
この後、臓物が雨となって降り注ぐ。ランクCの本気の大技はそれを予感させた。
その瞬間を捉えられたものは誰もいないのに。
衝撃故に、まだ無事だった雑木林の内の1本が静かに倒れたことを誰も気がつかなかった。
ハルバードのソルジャーズは、安堵した。元ランクAは、それ程恐ろしい存在だった。
興奮の裏に、もしも、彼が力を隠していたら、という恐怖が常にあった。あの畏怖した存在がもしも、自分と同じ倍率で成長していたら。恐怖からの解放と自らの殻を破った興奮から、彼は、獲物を掲げた。
そして、鮮やかに、肘から先が滑るように地に落ちた。
「へ?」
「如何に同格のCランクとて、戦闘状態を維持できなければ、魚を捌くのと変わらない」
それは、既に切り終えたあとの宣言だった。
「な、に、が」
「既に四肢を断った。断っておくけど、俺はランクAの力を隠してたわけじゃない」
血糊を掃う。
「ただ、忘れていた異能。念動力の使い方を思い出しただけだ」
既にハルバードの先輩は達磨となって転がっていた。
「医療室へ早く!」
担任のデブが、異能を呼び覚ます贄となった生徒を抱える。
「つまらない」
アルトリウスは吐き捨てて、戦場を後にした。
「転校生が無傷で勝って、委員長が重症か」
アルトリウスは彼女の膝の上でその事実を咀嚼した。
「なら、あの転校生はランクAってこと? 本物の」
「……わかんない」
ベルタは泣きそうな顔でアルトリウスの顔を撫でた。
「こんなに悲しいことってないよ」
「委員長?」
「ううん。貴方のこと」
「俺?」
「感応している私は堪えられない悲しみなのに、貴方は笑っているわ」
「だってさ。ただ、目を逸らしていただけのものを見ただけだから、それだけのことだから」
「貴方の代わりに泣いてあげるなんて、安い言葉が出そうになってる自分が憎い」
「いいよ。代わりに泣いて」
「嫌だよぉ!」
(俺なんか、その程度の安い存在なんだけど)
「そんなことない!」
爪が頬に食い込んで、現実を意識する。
「私の! 世界と心を広げてくれた貴方が! 安い存在なわけない!」
(それでも、それでも俺は、)
「どうしよう。自分に価値が感じられないや」
教師陣は頭を悩ませていた。
アルトリウス・マーシャル、ミチル・ミヤモト。
教師陣の誰もが2人の決着の瞬間を見届けられなかった。
どちらも、序中までは互角ないし、劣勢で、どちらも同じ様に一瞬で逆転して無傷の勝利を修めていた。
「ミチル・ミヤモトは、殆どの測定が終わっています。辛うじてではありますが、我々も最後の攻防を計測しています。クラスBで確定してもいいでよう。問題はアルトリウス・マーシャルです。彼は念動力という異能を取り戻した。しかし、我々は彼の念動力発揮の瞬間を捉えられなかった!」
「つまり、彼の認識する速度域は我々を凌駕する領域、クラスAのものであるかもしれない?」
「その通りです」
「アルトリウス・マーシャル。不思議な存在だ。能力が下がる例など僅かだろう。それも、あの時期に」
「それなのですが」
アルトリウスの担任はあるファイルを共有した。
「2つ送りました。1つはソルジャーズの能力低下についての論文。こちらには、強い心因性のショックを受けると能力低下する場合があるとあります」
「それで? 彼は戦場を経験していないのだろう? それなら理解できるが」
「そこでもう1つの資料です」
「これは……」
教師陣はまた頭を抱えた。
「なんてことだ。国の宝がまさかこんな不運で」
「彼の親や指導者は何をやっているんだ!」
担任は今の彼の保護者として前に踏み出した。
「彼の周囲の人々を攻めるのも、酷でしょう。むしろ、よくもあの状態から彼を生かしたものです。自殺ものですよ。これは」
「ではあるがぁ」
「そこで、提案致します。彼とミチル・ミヤモトをぶつけてみましょう」
「正気か!? アルトリウス・マーシャル、ミチル・ミヤモト両名の実力がかけ離れていた場合どちらかが確実に死ぬぞ!?」
「さて、それはどうでしょう? こちらをご覧ください」
彼は1つの動画ファイルを共有した。
「これは、私が教練の時間に撮影したものです」
少女と少年の教練映像だった。
「片方はアルトリウス・マーシャルだが、もう1人は?」
「ベルタ・クロイツァーです」
「あのクラスを3つも上げた特異例か!?」
「です。この映像当時の彼女は、まだ、クラスIの能力値でした。彼女に指導したのは十中八九マーシャルでしょうね」
「指導の才能がある」
「そうかもしれません。しかし、問題はそこではありません。マーシャルが、彼女に合わせて手加減していたことです」
「何が言いたい?」
「もしも、アルトリウス・マーシャルがクラスAとしての素養があり、ミチル・ミヤモトを遥かに凌駕するのなら」
こうして、アルトリウス・マーシャルとミチル・ミヤモトの対戦カードが決められた。
アルトリウスは、ベルタ・クロイツァーと交際しているが、表向きにそれを吹聴していなかった。交際から1ヶ月が経過した頃合いだった。
それは、日陰者同士でつるんでいる、という実体がアルトリウスの美意識的間隔に合わなかったからだ。
それでは、負け組ではないかと彼は、考えていた。
その為、他人の目がある内は、ベルタの固有能力で念話である念話で会話していた。
半径1メートルほどが限界の双方向のテレパシーというのは、ソルジャーズとして余りにもお粗末すぎる。
彼らにとっては間合いの中であり、1メートルの距離で読心をしていればその間に切り伏せられてしまう。
秘密の会話をすること、カウンセリングにしか役に立たない能力だった。
傍からは日陰者同士が仕方なく隣に座っているように見えるように細工していた。
『……またつまんねえ授業だろ。寝る』
アルトリウスは、幼い頃にクラスAの素養があるとして、私塾の方針で英才教育を施されていた。よって、授業を詰まらないと感じるのも殆どの知識が頭に入っているからだった。
『転校生だよ!』
『興味ないね』
『……』
ベルタは暫く黙ってしまった。
すると、教室が歓声で湧いた。
『うるさい』
『これでも起きないんだ』
いや、覚醒はしているのだが気だるい。
『完全に鬱の症状だよ。アルちゃんのそれ』
それは、ぐっさり刺さった。
『鬱じゃない』
のそりと顔を机から上げると、皆の歓声が上げた理由がわかった。
腰ほどまであるだろう艶のある黒髪をポニーテールで纏めている。容姿端麗、抜群のプロポーションを誇る彼女は、確かに、皆が歓声をあげるのも納得だった。
『アイパッチ?』
『眼帯ってやつでしょ。よく漫画に出てくる』
『あの、人類発祥の地にいたとされる伝説の存在サムライのしてるあれ?』
「ミヤモトさんのしてるそれは、もしかして眼帯ってやつですか?」
同じことを思った生徒がいたようだ。サムライを題材とした漫画、小説はかなりの数が存在するから。
「如何にも! 拙者のこれはミヤモト一刀流を修めた証! 眼帯である!」
『はー心の底まで漫画に浸されてそーなやつ』
『それがね。どうやら、彼女は本物らしいよ』
『本物?』
『最近共和国に編入された辺境惑星の出自らしくて、あの喋り方素の喋り方みたいなんだよ』
『なんだか楽しそうだな。ベルタ』
アルトリウスから、ベルタに対する呼び名はこれだった。
ベルたん、というあだ名も考えたが余りにも阿保らしいので辞めにした。
アルトリウスは、改めてミヤモトを見た。
服装はちゃんと第3教導院のものだが、独特の雰囲気がある。
それが、武をある程度嗜んだ故の余裕であるとアルトリウスは睨んでいた。
立ち振る舞いの一挙手一投足を観察する。
『クラスB相当の実力があるな。あのミヤモトなんとか』
『ミチル・ミヤモトだって』
『本当にサムライみたいな名前だな。人類発祥の惑星の名前なんて誰も知らないのに』
だから、彼女のサムライ的振る舞いはまやかしなのだ。人類発祥の地がわかっていないのに、その中の一文明、さらに限られた身分などが残っているはずがない。
彼女の見た目は、コスプレと断定しつつも彼女の実力は漫画の中のサムライに匹敵すると捉えていた。
彼女と一瞬、目がった。
『……興味を示した? 俺が実力を見抜いたように向こうも気が付いた?』
『……でも、アルちゃんクラスCだよね? 私が言うのもなんだけど、格下に興味なんて持たないでしょ』
『そうだ。興味を持つなら委員長の方だ』
実際に今は、彼女は委員長の方に向かって歩いて挨拶すると彼女の隣に座るのだった。
学内試験。普通の学生にとっては、定期考査にあたるそれは、彼ら、ソルジャーズの場合
「はぁ!」
「でぇや!」
真剣同士の切りあいだった。現在までのクラスは教官による仮評価に過ぎない。
この場で全力を尽くし、総合的な能力を発揮したと教官たちが認めるまで、学生たちは殺し合いをさせられる。
相当な深手を負わない限り、宇宙移民に伴って発達した医療技術により死ぬことはないので、学生たちは本気の殺し合いを演じていた。
審判を兼任する教員複数名で、協議して評価を決定するため多大な時間を要する。普段訓練ばかりの生徒たちにはこれは娯楽であった。
教師たちも、生徒たちに実戦を見る機会だと観戦を許可していた。
アルトリウスは、物陰から、ベルタの試合を観戦していた。
互いに全力を尽くす状況とは、即ち、実力の拮抗したもの同士で行うもの。必然的に、学内試験は仮のランクが下位のもの同士の勝ち抜き方式になる。
先ずは最低ランクのクラスJ、Iの者たちの試合から行われる。
その中から今現在クラスF程度の試合まで勝ち進み、皆の注目を集めている者が1人。
基本的に格下には興味のないアルトリウスが見つめる彼女は
「たあああ!」
ベルタ・クロイツァーだ。
直剣が吹き飛ばされ、左肩に斬撃が滑り込もうとしていた。
(そう。いまだ。痛みを恐れるなベルタ)
周囲の学生が、ベルタの負けを確信している中、アルトリウスだけが、勝ちを確信していた。
鮮血と共に宙を舞う白い手。
「ああああああああああ!」
ベルタの右腕が懐に入り、押し倒す。ベルタよりも二回りほど大きい男子生徒を。
既に衝撃で体感回りの骨が砕けているだろう。
「があああああ!」
野獣のように闘争心を剝き出しにしたベルタの右腕が相手の胸元を貫こうとしていた。
「それまで!」
ベルタが教員達に捕らえられる。
ベルタの基礎身体能力はクラスF程度。クラスBが最低条件とされる教官たちがすんでのところで止めに入れるのは、当然のことだった。
「があああああ!」
ベルタは理性を失っていた。
アルトリウスは、ベルタに心の中で声をかけた。
剣術の鍛錬の中で、アルトリウスはベルタのテレパシー能力を応用できないかと考え、積極的に能力を使わせた。
(ベルタ。安心しろ。勝ったよ)
その甲斐あってか、ベルタは自身に向けられる思念の範囲がアルトリウス限定ではあるが、拡大していた。
「あ」
やっと理性を取り戻した彼女は、ボロボロになった相手を見下ろした。
「はは」
彼女は勝利に酔いしれて倒れこむ。
周囲の中には、彼女に恐れるものもいたが、中には称賛するものもいた。
アルトリウスも、衆群の1人として目立たないように拍手を送った。
仮設救護室に運ばれていくベルタ。
アルトリウスは駆け出すようなことはせず、冷ややかに見送った振りをした。
切断された左腕もすぐに接合される。1時間ほど経ってから、彼は救護室の裏手に回った。
ある程度以上、クラスC程度の能力があれば壁越しに気配を探ることも容易い。
恐らく、ベルタのいる近辺で小さく口笛を吹いた。
『アルちゃん!?』
ベルタの思念だ。
『周りに気が付かれてない?』
『多分』
『そ』
アルトリウスは安堵した。彼らの蜜月は周囲にばれていない。
『……』
『アルちゃん?』
『……んんんんん』
『アルちゃん!?』
「おめでと」
それを口にするのが、苦しかった。頬が熱くなって。
『言えた』
『……』
今度はベルタが黙ってしまった。
「ふええええええ」
『泣いてんだ』
「うれしくって。クラスⅠだって評価された私が3つも上のクラスの人に勝てたのが嬉しくて」
「すごかったじゃん! アンタ!」
声に出していたから、となりの病床の女生徒が声をかけた。
アルトリウスは、もう彼女が日陰者じゃなくなったことを知って、少し寂しく思いながら立ち上がった。
『アルちゃん?』
『また放課後にいっぱい話そう』
『待って!』
周囲からの称賛はベルタ・クロイツァ―がずっと求めていたものだ。
その快楽を奪うわけにはいかない。
さて、この後はどうするか。
クラスCである彼は学院ないでは高位の為、勝ち抜き戦が回ってくるまでは、時間があった。ソルジャーズで最も数の多いのはクラスD、E、Fで今は、その中でも下位の集団の評価が行われている。
アルトリウスの番まではまだ1週間ほど時間がある。
ベルタ以外に交友関係のないアルトリウスは放課後までの時間の潰し方に苦心していた。
(寮に帰って寝る?)
今日は、ベルタも負傷していたし、放課後にいつものように手合せをするわけでもない。
普段は、暇なら、ベルタの家に遊びに行っているところだが
(今のベルタは注目の的だろうしなぁ)
クラスIがクラスFに勝利するというのは、快挙だ。
何をするかと苦心しつつも、寮に足を向けていると
「マーシャル!」
後ろから女生徒が呼び掛けた。聞き覚えのある。
交友ではないが、付き合いのある女生徒だった。
「委員長」
眼鏡をかけて栗色の三つ編みを揺らす地味目な女。小説のテンプレートキャラのようなそいつがいた。
(つまんない奴がきた)
テンプレートすぎる。堅物という点も。
「何の用だよ」
「暇でしょ! 付き合いなさいよ!」
「やだよ」
「なんか約束でもあるわけ? 彼女とか?」
「……いや、別に」
「ならいいじゃない!」
何がいいのか。
(それに俺には、彼女いるんだよ! 察せよ! 誰がベルタに剣を教えたか、大体気が付いてんだろ!)
「クロイツァーさんに剣を教えたの貴方でしょ」
「……」
(うおおおおおおい! じゃあもっと想像力広げろぉぉぉ!)
アルトリウスは額を抑えた。
「頭痛があるんだ」
「なら好都合! ハーブティーで有名な喫茶店に行くつもりだったから」
手を引っ張ろうとした委員長を払いのける。
「なにすんのよ!」
「わかった。着いてくから、触れんな」
アルトリウスは、委員長の3歩ほど後ろをとぼとぼ着いていく。
「ここ」
「へー」
新しい店舗ではあるが、古い街並みに溶け込んでいた。
これは、いい店だと、あまり縁のないアルトリウスも感心した。
「マーシャル! あっち」
アルトリウスは、少し好感を委員長に持っていた。アルトリウスやら、アーサーやら立派すぎる名前ではなくて平凡極まりないファミリーネームで呼んでくれるからだ。
(アルちゃんなんて呼び方するのはアイツだけだよな。安心した)
あの絶妙にコンプレックスを刺激しつつ茶化した呼び名。
それをベルタ以外が呼んだのなら、自分は不愉快になる、自信があった。
だから、リザーブされていたテラス席で待っていた人物にも好感が持てた。
「委員長! マーシャルどのぉ!」
羽のようなポニーテール。そして、眼帯なるファッション。
話題の転入生ミチル・ミヤモトだった。
「ねえ! ミチル! 貴方が言ってた気になる男ってコイツでしょ」
「うむ!」
「コイツ?」
アルトリウスは眉をひそめた。
「さんっざん! 迷惑かけておいて! 妥当な呼び名でしょ!」
「どこの教導院にも問題児っているだろ? 嫌なら委員長なんかしなけれいいのに」
「アンタって、本当に高位ソルジャーズの義務とか気にしないのね」
「義務?」
「将来私たちは、多くのソルジャーズを率いる立場になる」
「あぁ、それ」
評価の高いソルジャーズは戦場において責任者を任される。それは、ソルジャーズを支配できるのは、より強いソルジャーズのみという考え方による。
「あれって危険な考え方じゃない? もしも一番トップ、最強のソルジャーズが反旗を翻したらどうすんだよって」
「だから、教育とコレが必要なんでしょ」
委員長は自分の首元をさすった。銀色の首輪を。
「おお! これであるな! ソルジャーズだと示す以外に役割があったのか!」
「常識じゃん。あ、えーとミヤモトは最近編入された辺境からきたのか」
アルトリウスも倣って、自分の首のそれを撫でた。ソルジャーズなら、誰でも付けているそれを意識したのは何年ぶりか。
委員長がミチルに説明を加える。
「説明されずに付けられたのね。それは、私たちの位置情報を政府が知る為の発振器よ」
余りにも簡潔すぎる説明なので注釈を加えた。
「最高評価のソルジャーズでも破壊できない素材で出来てる。他国へ逃げようとか、力の悪用をしようものならなら暗殺部隊が殺しに来る」
「拙者たちへの安全装置というわけか」
「「そ」」
ハーブティーを含んで一息吐いた時だった。
「それで? 拙者の話は以上であるが!」
アルトリウス、委員長はミチルの身の上話を聞き終わったところだった。
要約すると、天涯孤独のミチルは剣の達人に拾われて星中を旅する生活を送っていた。
その中では大蛇との死闘や、闇の剣豪との試合など様々な冒険があった。そんな生活に慣れた折に、我らが共和国軍が星を傘下に治めた。軍人との縁あってこの星まで武者修行をしに来た。
そんなところだった。
「剣豪娘の冒険、宇宙開拓編って感じだね」
委員長の感想に舌打ちしそうになるのを堪えアルトリウスは咳払いした。
「まぁ、スペクタクルな人生であられまして~」
と、視線を街路に向けた。
「委員長殿やマーシャル殿の話を聞きたいでござる!」
「話って言っても大したことはないわよ。それなりに発展した星で、それなりの家庭に生まれて送り出されたとしか」
「……右に同じ」
大枠では、アルトリウスも委員長と変わらない。
「マーシャルは違うでしょ! 昔は私の星でも耳にするくらいの有名人だったんだから」
「お前……あれ知ってるの?」
「もちろん! 共和国主催全星剣術大会少年の部の優勝者だもん」
「だっる……」
アルトリウスは空を見上げて、現実逃避した。
アルトリウスは少年時代、剣術の天才などと称えられた時期があった。
少年の枠組みとはいえ、クラスAの能力者はそれ程の注目を浴びるものだ。
「でも、実物はびっくりね! クラスCだし、サボり魔の問題児だわ。かつての栄光は何処へやら」
「ちっ!」
アルトリウスは露骨に舌打ちをした。
「クラスA……。拙者の暫定ランクより上であるな!」
「昔の話だよ。能力の初期値はよかったけど伸び率が悪かったんだ。だから、年齢が上がるにつれてランクが落ちた。もしかしたら成人するころにはクラスDかもしれない」
「技術を身に着けたからランクが上がるってのは偶に、ある話だけど。マーシャルみたいに成長曲線が下がるって例は珍しいよね」
「本当にな。なんもないのにさ」
理由には心当たりがあるが、それは彼女のベルタとの間でしか共有しない。
「そりゃあグレるってもんよ」
彼は、委員長と転入生に慣れた噓をついた。
「拙者、マーシャル殿と剣を交えてみたいでござる!」
「縁があったらな」
その縁はすぐにめぐってくると、この時は誰も想像していなかった。
その夜、アルトリウスは男子寮を抜け出してある一軒家を訪れていた。
養育資金に余裕のある生徒の場合、寮ではなく、1人暮らしをするケースがある。
ベルタ・クロイツァーは、数多くソルジャーズを排出してきた名家の生まれの上、素養の低さから家の評価を落とさないように、他のソルジャーズから隔離された生活を送っていた。
ベルタの家のインターフォンを鳴らす。赤い髪の少女が主人を待っていた大型犬のように、慌ただしく出迎えた。
「アルちゃん!」
「ね。周りに聞こえないようにね」
犬のような呼ばれ方は自分の方だと自身をあざ笑いながら、入った。
ソファーで横になる。ベルタの太股を枕にして
「ちょっといやらしい触り方しないで」
「ちぇー」
ベルタとの蜜月はアルトリウスを癒した。少しだけ、肌を重ねてベルタがアルトリウスを読心する。
「これは、辛かったね」
ベルタが頬に触れた。
涙が溢れてきて彼女の肌を汚すが、彼女はそれを笑って受け入れた。
「そっちも大変だったでしょ」
「うん。色んな人から賛辞や、質問を受けたよ。君のことは話さなかったけど」
「クラスF?」
「うん! 一気に3つもクラスを上げたのは第3教導院では初だって」
「それは、よかった……ね」
「噓つき」
称賛、祝福は本心だった。
ベルタとは逆に、アルトリウスはランクを落としている。未だCクラスというエリート層ではあるが、過去の彼からすれば不満だった。
「ちょっと、羨ましいって思った」
「ちょっとじゃないでしょ。いいんだよ。私には取り繕うことはしなくて」
「うん」
ずっと、誰かにこうしたかった。
彼は、母親にそうやって甘えることは出来なかった。彼の母親はソルジャーズではないから。
彼は、剣術の師匠にも本心を打ち明けられなかった。彼女は、アルトリウスの家庭の事情の当事者ではなかったから。
ソルジャーズ故の苦しみを持っていて、自分の感情、記憶を肌感覚で理解してくれるベルタは理想的なパートナーだった。
「俺、ごめん。君に何も返せない」
「そんなことないよ。剣術を教えてくれた。私を底辺から中層まで引き上げてくれた。君からしたら、俗っぽい願望だけど、君は確かに贈り物をくれた。今日、君が見てくれた剣技が」
ベルタは左肘の辺りをさすった。
「それ」
上腕に肌の色が薄くなった部分がある。
「この傷が、君のくれた贈り物だよ」
アルトリウスは、流せるだけの涙を流した。
どんな背景があろうと、休日はアルトリウスもベルタもただの若い男女だった。
アルトリウスの試験が始まるまでの束の間の休息だった。
同じ本を読んだり、ゲームをしたり、毎日読心して絆を確かめ合ったり。
幸福の中で、少しだけ心の澱みが洗われたアルトリウスだった。
「ねぇ? その黒い筒なに?」
「剣術の先生からの御守り」
そんな会話を挟みつつ。
そして、携帯端末に通知が届き彼は、学校に赴いた。
今、1つ年上の同じクラスCの生徒と対峙していた。
クラスC、Bとなれば同じ年に同じ学年に在籍することはレアケースとなる。
アルトリウスは私塾の先生からの餞別。首輪と同じ素材の白銀の直剣を構えた。
クラスC以上同士の戦い。大勢の観衆がアルトリウスの握る業物に息を吞む。
「あれが元クラスA? 武器はそれに相応しいものだけど」
「所詮、早熟の天才さ。落ちこぼれてもクラスCというのは流石だね」
(今の俺にクラスAの力があったらお前らの首全部撥ねてやるのに)
一刀の元。
対してあちらは、ハルバードが獲物だった。
「君とやりあえるなんて光栄だね。アルトリウス」
「そりゃあ、どうも」
アルトリウス。その名で呼ぶものに苛立つ。
アルトリウスは静かに闘志を燃やした。
(身体が軽い気がする。ベルタのおかげ?)
『頑張って』
錯覚かもしれないが、ベルタの声が届いた。
「始め!」
デブの教官の掛け声で彼らは交錯した。
(あれがアルちゃんの本気? すごい!)
アルトリウスは、直刀でハルバードと正面から拮抗していた。
「クロイツァーさんは本気の彼を見るのは初めて?」
「誰?」
茶色い三つ編みと眼鏡の委員長だった。
「私は、昔見たわ。7年前に」
委員長の視線はベルタではなく、衝突する2人に向けられていた。
「すごい! 私たちの何倍も速いのにずっと繊細だ!」
「そうね。昔と変わらない綺麗な剣技。本当に昔と変わらない」
委員長は
「まるで7年前そのまま。私が憧れたそのまま。私が追い抜いてしまった」
ベルタは、異能で委員長の心を覗いた。そこには、ベルタの知らない過去の天才剣士の姿があった。
称賛や皮肉を浴びせる観衆とは異なって、アルトリウスの脳内は不安が立ち込めていた。
(やっぱり、本気で動こうとすると身体が重い)
アルトリウスの意識はもしも、あのままランクAとして成長していたら、という仮想をしてしまう。しかし、今の自分に許された力はランクCのもの。
(このずれは不味い。くそ! これのせいでぎりぎりを攻められない!)
それでも、互角を演じていた。
(意識に身体が着いてこない! 鎖で雁字搦めにされているみたい)
この感覚を嫌って、彼は、日々の教練で本気を出せずにいた。
ハルバードの刃が迫る。
(アジャストするしかない!?)
受け流しながら、鮮やかに蹴りを入れる。黒い一閃のような蹴りはあちらの片腕を捉えるが勢いは流されてしまった。
これによって、一瞬の間ができた。
「楽しいぞぉ! アルトリウス!」
「あぁそうかい!」
あちらは逆に同格の相手との戦いに燃えていて更に速さをました。
(土壇場で成長してきた!?)
アルトリウスは咄嗟に飛んでしまった。
(まず!)
自由落下の加速は彼らの速度域より遥かに遅い。故に滞空することは、相手に大技の溜めを与えてしまう。
(来る!)
ランクC以上に許された剣技。踏みしめによる剣圧で目の前の障害を全て薙ぐ大技。
(大薙ぎ!?)
余波で、雑木林の樹木が根ごと持ち上がる。風の暴力がアルトリウスを襲った。
アルトリウスがトラウマによって失ったものは、身体能力の向上だけではない。
彼が、持って生まれた異能。それも、同時に失われていた。
かつては、圧倒的な才覚故に公に行使したことないそれ。
(死ぬ!)
死を意識したとき、脳裏に閃光が走った。閃光の中には、ずっと目を背けていた光景があって。
(死、アルトリウス、成長、大薙ぎ、妹、病院、剣、ランク)
本気の刺激が彼の失われていたものを取り戻させた。
(異能!)
誰もが、生意気な元天才の終わりを確信した。
この後、臓物が雨となって降り注ぐ。ランクCの本気の大技はそれを予感させた。
その瞬間を捉えられたものは誰もいないのに。
衝撃故に、まだ無事だった雑木林の内の1本が静かに倒れたことを誰も気がつかなかった。
ハルバードのソルジャーズは、安堵した。元ランクAは、それ程恐ろしい存在だった。
興奮の裏に、もしも、彼が力を隠していたら、という恐怖が常にあった。あの畏怖した存在がもしも、自分と同じ倍率で成長していたら。恐怖からの解放と自らの殻を破った興奮から、彼は、獲物を掲げた。
そして、鮮やかに、肘から先が滑るように地に落ちた。
「へ?」
「如何に同格のCランクとて、戦闘状態を維持できなければ、魚を捌くのと変わらない」
それは、既に切り終えたあとの宣言だった。
「な、に、が」
「既に四肢を断った。断っておくけど、俺はランクAの力を隠してたわけじゃない」
血糊を掃う。
「ただ、忘れていた異能。念動力の使い方を思い出しただけだ」
既にハルバードの先輩は達磨となって転がっていた。
「医療室へ早く!」
担任のデブが、異能を呼び覚ます贄となった生徒を抱える。
「つまらない」
アルトリウスは吐き捨てて、戦場を後にした。
「転校生が無傷で勝って、委員長が重症か」
アルトリウスは彼女の膝の上でその事実を咀嚼した。
「なら、あの転校生はランクAってこと? 本物の」
「……わかんない」
ベルタは泣きそうな顔でアルトリウスの顔を撫でた。
「こんなに悲しいことってないよ」
「委員長?」
「ううん。貴方のこと」
「俺?」
「感応している私は堪えられない悲しみなのに、貴方は笑っているわ」
「だってさ。ただ、目を逸らしていただけのものを見ただけだから、それだけのことだから」
「貴方の代わりに泣いてあげるなんて、安い言葉が出そうになってる自分が憎い」
「いいよ。代わりに泣いて」
「嫌だよぉ!」
(俺なんか、その程度の安い存在なんだけど)
「そんなことない!」
爪が頬に食い込んで、現実を意識する。
「私の! 世界と心を広げてくれた貴方が! 安い存在なわけない!」
(それでも、それでも俺は、)
「どうしよう。自分に価値が感じられないや」
教師陣は頭を悩ませていた。
アルトリウス・マーシャル、ミチル・ミヤモト。
教師陣の誰もが2人の決着の瞬間を見届けられなかった。
どちらも、序中までは互角ないし、劣勢で、どちらも同じ様に一瞬で逆転して無傷の勝利を修めていた。
「ミチル・ミヤモトは、殆どの測定が終わっています。辛うじてではありますが、我々も最後の攻防を計測しています。クラスBで確定してもいいでよう。問題はアルトリウス・マーシャルです。彼は念動力という異能を取り戻した。しかし、我々は彼の念動力発揮の瞬間を捉えられなかった!」
「つまり、彼の認識する速度域は我々を凌駕する領域、クラスAのものであるかもしれない?」
「その通りです」
「アルトリウス・マーシャル。不思議な存在だ。能力が下がる例など僅かだろう。それも、あの時期に」
「それなのですが」
アルトリウスの担任はあるファイルを共有した。
「2つ送りました。1つはソルジャーズの能力低下についての論文。こちらには、強い心因性のショックを受けると能力低下する場合があるとあります」
「それで? 彼は戦場を経験していないのだろう? それなら理解できるが」
「そこでもう1つの資料です」
「これは……」
教師陣はまた頭を抱えた。
「なんてことだ。国の宝がまさかこんな不運で」
「彼の親や指導者は何をやっているんだ!」
担任は今の彼の保護者として前に踏み出した。
「彼の周囲の人々を攻めるのも、酷でしょう。むしろ、よくもあの状態から彼を生かしたものです。自殺ものですよ。これは」
「ではあるがぁ」
「そこで、提案致します。彼とミチル・ミヤモトをぶつけてみましょう」
「正気か!? アルトリウス・マーシャル、ミチル・ミヤモト両名の実力がかけ離れていた場合どちらかが確実に死ぬぞ!?」
「さて、それはどうでしょう? こちらをご覧ください」
彼は1つの動画ファイルを共有した。
「これは、私が教練の時間に撮影したものです」
少女と少年の教練映像だった。
「片方はアルトリウス・マーシャルだが、もう1人は?」
「ベルタ・クロイツァーです」
「あのクラスを3つも上げた特異例か!?」
「です。この映像当時の彼女は、まだ、クラスIの能力値でした。彼女に指導したのは十中八九マーシャルでしょうね」
「指導の才能がある」
「そうかもしれません。しかし、問題はそこではありません。マーシャルが、彼女に合わせて手加減していたことです」
「何が言いたい?」
「もしも、アルトリウス・マーシャルがクラスAとしての素養があり、ミチル・ミヤモトを遥かに凌駕するのなら」
こうして、アルトリウス・マーシャルとミチル・ミヤモトの対戦カードが決められた。
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