27 / 94
27話 俺は刺身に目がないのだ
しおりを挟む
宴の時間になった。
「さあさあ、こちらでございます」
「おおーっ!!」
俺が宴の会場である広場に到着すると、すでに多くの人が集まっていた。
俺とユーリは町長のあとについていく。
すると……
「ん? なんだ? この匂いは……」
食欲をそそる香りが漂ってきた。
さほど強い匂いではないが、どこか懐かしい。
これは……。
「お気づきになりましたか? カエデ殿のお口に合われるかわかりませんが……。この町自慢の刺身と醤油を用意しております。ぜひとも召し上がってくださいませ」
「おおっ!」
なんということだ。
まさかこの世界で刺身と醤油に出会えるとは思わなかった。
俺は感動する。
「刺身、つまりは生魚か!?」
「はい。ビッグ・ジョーがいなくなり、急ぎ漁に出て宴の分を確保したのです。明日以降に本格的な漁を再開する予定です」
「くうぅっ!!」
俺はよだれが垂れそうになる。
「やはり、生魚を食べるのは気が進まれませんか? 内陸部にお住まいの方は、新鮮な魚を食べる機会があまりないでしょうし……。焼き魚や海草なども用意しておりますので、無理なさらずとも……」
「違う! 逆だ。俺は刺身に目がないのだ。久しく食べていなかったので、思わず興奮してしまっただけだ!」
「ほっほう!! それは素晴らしいですな。では存分に堪能していってください」
「うむ。期待しているぞ」
俺たちは宴会場を進んでいく。
少し奥まったところのテーブルに案内された。
スペースも広い。
テーブルの四方と天井には幕があり、周囲からの視線を受けることもない。
ここなら、落ち着いて食べられそうだ。
「ふふふ。お気に召すといいのですが」
「期待させてもらおう」
「ええ。どうぞ、ごゆっくり」
町長は俺に一礼し、去っていった。
「ふうむ」
俺は椅子に腰かけ、宴の中心方向を見る。
なかなか豪華な宴だな。
「これは期待できそうじゃ。我も、海の幸を食べるのは久方ぶりじゃ」
ユーリがそう言う。
彼女は世界樹の精霊だ。
海よりも森に馴染みがあるだろうからな。
「ああ、そうだな」
と、そのとき、俺の魔力回路から動きを感じた。
これは……。
「出てきていいぞ。猫まる」
「にゃあん!」
虚空から猫まるが出現した。
普段は異空間に滞在しているのである。
俺が魔力を込めるとこの世界に顕現するイメージだ。
ただし、猫まる自身の意思でも現れることはできる。
先ほどまで姿を消していたのは、あくまで俺と猫まるの双方の同意による異空間に滞在していたに過ぎない。
俺が許可を出したので、遠慮なく出てきた格好だ。
「猫まるも食べるか」
「にゃあん」
「おう。よしよし。おいしそうな料理がたくさんあって目移りしてしまうな」
「にゃん」
「うむ。とりあえず、刺身をもらってくる」
「にゃ」
俺は立ち上がる。
この宴は、いわゆるバイキング形式のようだ。
席はやや奥まった落ち着いた場所を用意してもらったが、料理は自分たちで確保する感じだろう。
「ユーリは何にする?」
「うむ。カエデに任せる。いい感じの料理を適当に持ってきてくれ」
「わかった」
俺は素直に聞き入れる。
ユーリはグルメではないのだ。
そもそも、人間の食事情に詳しくないし。
そう考えると、俺の方が詳しいと言えるかもしれない。
俺はユーリと猫まるのために、バイキング形式で用意されている料理の方に歩き出した。
「さあさあ、こちらでございます」
「おおーっ!!」
俺が宴の会場である広場に到着すると、すでに多くの人が集まっていた。
俺とユーリは町長のあとについていく。
すると……
「ん? なんだ? この匂いは……」
食欲をそそる香りが漂ってきた。
さほど強い匂いではないが、どこか懐かしい。
これは……。
「お気づきになりましたか? カエデ殿のお口に合われるかわかりませんが……。この町自慢の刺身と醤油を用意しております。ぜひとも召し上がってくださいませ」
「おおっ!」
なんということだ。
まさかこの世界で刺身と醤油に出会えるとは思わなかった。
俺は感動する。
「刺身、つまりは生魚か!?」
「はい。ビッグ・ジョーがいなくなり、急ぎ漁に出て宴の分を確保したのです。明日以降に本格的な漁を再開する予定です」
「くうぅっ!!」
俺はよだれが垂れそうになる。
「やはり、生魚を食べるのは気が進まれませんか? 内陸部にお住まいの方は、新鮮な魚を食べる機会があまりないでしょうし……。焼き魚や海草なども用意しておりますので、無理なさらずとも……」
「違う! 逆だ。俺は刺身に目がないのだ。久しく食べていなかったので、思わず興奮してしまっただけだ!」
「ほっほう!! それは素晴らしいですな。では存分に堪能していってください」
「うむ。期待しているぞ」
俺たちは宴会場を進んでいく。
少し奥まったところのテーブルに案内された。
スペースも広い。
テーブルの四方と天井には幕があり、周囲からの視線を受けることもない。
ここなら、落ち着いて食べられそうだ。
「ふふふ。お気に召すといいのですが」
「期待させてもらおう」
「ええ。どうぞ、ごゆっくり」
町長は俺に一礼し、去っていった。
「ふうむ」
俺は椅子に腰かけ、宴の中心方向を見る。
なかなか豪華な宴だな。
「これは期待できそうじゃ。我も、海の幸を食べるのは久方ぶりじゃ」
ユーリがそう言う。
彼女は世界樹の精霊だ。
海よりも森に馴染みがあるだろうからな。
「ああ、そうだな」
と、そのとき、俺の魔力回路から動きを感じた。
これは……。
「出てきていいぞ。猫まる」
「にゃあん!」
虚空から猫まるが出現した。
普段は異空間に滞在しているのである。
俺が魔力を込めるとこの世界に顕現するイメージだ。
ただし、猫まる自身の意思でも現れることはできる。
先ほどまで姿を消していたのは、あくまで俺と猫まるの双方の同意による異空間に滞在していたに過ぎない。
俺が許可を出したので、遠慮なく出てきた格好だ。
「猫まるも食べるか」
「にゃあん」
「おう。よしよし。おいしそうな料理がたくさんあって目移りしてしまうな」
「にゃん」
「うむ。とりあえず、刺身をもらってくる」
「にゃ」
俺は立ち上がる。
この宴は、いわゆるバイキング形式のようだ。
席はやや奥まった落ち着いた場所を用意してもらったが、料理は自分たちで確保する感じだろう。
「ユーリは何にする?」
「うむ。カエデに任せる。いい感じの料理を適当に持ってきてくれ」
「わかった」
俺は素直に聞き入れる。
ユーリはグルメではないのだ。
そもそも、人間の食事情に詳しくないし。
そう考えると、俺の方が詳しいと言えるかもしれない。
俺はユーリと猫まるのために、バイキング形式で用意されている料理の方に歩き出した。
0
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした
むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる