上 下
2 / 20

2話 ビ、ビッグトレントですって!?

しおりを挟む
 ギゼルによってパーティを追放された翌日。
 魔物狩りを終えた俺は、冒険者ギルドに顔を出した。

「よう。魔石の買い取りをお願いしたいのだが」

「あら、カイルさん。こんにちは。元気そうでよかったです。心配していたんですよ」

「心配?」

「ええ。何でも、ギゼルさんやリリサさんと揉めていたとか。それで、仲直りしたんですか?」

「いえ、仲直りはしていないな。パーティから追い出されちゃってね」

「そ、そうなんですね……。あの、大丈夫ですか? 結構ひどいことを言われていたという噂ですけど」

「全然平気だよ! むしろ清々しいくらいさ! 今日も1人で好きに狩りをしたところだし」

「あの……。ヤケになってはいけませんよ? カイルさんはDランクですし、また新たにパーティメンバーを探して安全に活動してくださいね」

「忠告ありがとう。だが、しばらくはソロで活動しようと思っているんだ」

「そうですか……。まあ、揉め事があった直後にパーティを組むのは嫌でしょうから仕方ありませんよね……。ソロでも低級の魔物なら問題ないはずです。頑張ってください!」

「おう。それで、魔石の買い取りの方だが……」

「はい。拝見致します。……って、ええええぇっ!? な、何ですかこの魔石の大きさは!」

「そんなに驚くほどか?」

「それはもう! Dランクの方がソロで狩ることができる魔物といえば、ゴブリンやホーンラビットぐらいじゃないですか! こんなに大きな魔石は取れませんよ! いったい何を討伐されたのですか!?」

「トレントだよ。森で狩ってきたんだ。ビッグトレントも何体か倒したかな」

「ビ、ビッグトレントですって!? 上級の魔物じゃないですか! それに、トレントだって中級の魔物です! カイルさんがソロで討伐できるはずが……」

「はっはっは。確かにビックリするだろうな。俺も最初は驚いたよ。だが、俺のスキルがレベルアップしてな。よくわからんのだが、植物系の魔物に大ダメージを与えるスキルらしいんだ」

 ステータス画面には、こう書いてある。
 レベル1:掃き
 レベル2:穿き
 レベル3:葉切
 昨日得たスキルはレベル3の葉切だ。
 俺はこの文字を読めないのだが、おそらくは植物系の魔物に大ダメージを与える類の言葉が書かれているに違いない。

「そ、そうでしたか……。皆さんに外れスキル扱いされていたスキルが、そんなにもすごいものだったなんて……」

「まあ、所詮は植物系の魔物限定だけどな」

「それでも十分に凄いですよ! 上級のビッグトレントをソロで倒しちゃうなんて!! ウハウハじゃないですか!」

「ふふっ。そうだな。しばらくはトレント狩りで稼がせてもらおうと思っている。ソロだから、魔石しか回収できないのが難点だがな」

「トレントの死体は、木製の武具や薪に利用されますもんねー。やっぱりパーティを組まれますか?」

「都合よく荷物持ちをしてくれる奴がいれば臨時パーティを組んでもいいが、必須ではないな。魔石だけでも十分に稼げるし。そのうち、スキルレベルも4に上がるだろ。そのスキルの力によって、それからの方向性を決めるさ。ビッグトレントは上級で、トレントは中級の魔物だ。今まで狩っていた低級の魔物よりもレベリング効率がいい。おそらく、そう遠くないうちにスキルレベルが上がるはずだ」

「それもそうですね。カイルさんの今後の活躍に期待して、今夜ご一緒にどうですか? もうすぐで上がりなんです!」

「おう。それはいいな。じゃあ、以前も飲んだあの店で待ってるよ」

 俺は満足感と共に冒険者ギルドを出る。
 ギゼルに追放された時はどうなるかと思ったが……。
 スキルが覚醒した今、特に問題はないな。
 しばらくはトレント狩りで稼がせてもらおう。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

転生してもノージョブでした!!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:183

乙女ゲーム関連 短編集

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:156

今日から悪役令嬢になります!~私が溺愛されてどうすんだ!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:177pt お気に入り:4,337

完結 穀潰しと言われたので家を出ます

恋愛 / 完結 24h.ポイント:383pt お気に入り:323

処理中です...