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第2章 ダンジョンへ挑戦 ミナ、リン

77話 ブラックタイガー出現

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 俺たちは、引き続きエルカ迷宮の2階層を探索している。

「おっ、また出たぜ。先制攻撃は任せた。あたいの足技で追撃するからさ」

 リンが気軽な感じでそう言う。
 リトルブラックタイガーは、今の俺たちにとってさほどの脅威ではない。
 さすがにゴブリンやホーンラビットのように一撃で討伐はできないが、アクティブスキルを使用すればだいたい2~3撃ぐらいで討伐できる。

「いや、待て。あれは……」

 リトルブラックタイガー?
 それにしては大きいような……。

「マズいよ、コウタ! あれはブラックタイガーだ!」

 ユヅキが焦ったような声でそう言う。
 ブラックタイガー。
 リトルブラックタイガーの成体である。
 本来であれば、ここ2階層の階層ボスでもおかしくないような大型の魔物だ。
 なぜ、ただの道中に?

「がるる……!」

 ブラックタイガーがこちらに気づき、威嚇の声を上げる。

「ど、どうするのです?」

 ミナが俺にそう問う。
 思いがけない強敵との遭遇に、少し怖がっている様子だ。

「逃げても追いつかれる可能性が高い……。ここは、討伐するぞ! 俺たちならできる!」

 MSCにおいては、そこまでの強敵ではなかった。
 強さ順で言えば、『ホーンラビット<ゴブリン<リトルブラックタイガー<<ゴーレム<ブラックタイガー』ぐらいの感覚である。
 今までに戦った中で最強なのはほぼ間違いないが、MSCにはもっと強い魔物がうじゃうじゃいた。
 極端に恐れるほどではない。

「わかりました! まずは、魔法で先制攻撃ですか?」

「ああ。俺、シルヴィ、ユヅキで攻撃していくぞ!」

 俺はさっそく詠唱の準備をする。

「揺蕩う風の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。風の刃を生み出し、我が眼前の敵を切り裂け。ウインドカッター!」

 風の刃がブラックタイガーを襲う。
 俺の風魔法による刃で体を切り裂……いていない!?

「がるるるる!!」

 リトルブラックタイガーが唸り声を上げる。

「しまった。ブラックタイガーは、特に表皮が固いのだったな……」

 初歩的なミスだ。
 MSCにおいて、ブラックタイガーは中級下位ぐらいの魔物である。
 ベテランプレイヤーの俺は久しく戦っていなかったので、特性を忘れていた。

「凍てつく氷の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。氷の弾丸を撃ち出し、我が眼前の敵を撃ち抜け。アイスショット!」

「母なる土の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。土の塊を生み出し、我が眼前に落とせ。クリエイトブロック!」

 シルヴィとユヅキの魔法が炸裂する。
 こちらは、ある程度のダメージを与えることに成功している。
 しかしもちろん、階層ボスクラスの魔物を二撃で討伐することはできない。
 やつがこちらに向かってきている。

 少しマズいか?
 だが、落ち着いて対処すれば何とかなるだろう。
 絶望するほどの状況ではない。
 気を取り直して、リーダーである俺がしっかりと指揮していかないとな。
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