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58話 強敵スキルトレーニング・ソフィ

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 商店街へ買い出しに来ていた龍之介は、ひったくり犯に遭遇した。
 そして、たまたま居合わせたソフィと力を合わせて、犯人を無力化する。
 犯人の身柄とひったくられていたカバンを警備ロボに引き渡した後、2人はその場を立ち去った。

「まったく……。ひったくり犯に出くわすとはな」

 龍之介は苦笑いを浮かべる。
 そして、隣を歩くソフィへ話しかけた。

「それで……どうしてお前がここにいるんだ?」

「商店街に来る理由なんて、ひとつしかないでしょう?」

「買い物か……」

 龍之介は辺りを見回す。
 ここは商店街から少し路地裏方面に入ったところであり、人通りは少ない。
 だが、メインストリートの方を見ると多くの買い物客の姿が見える。

「野球の試合には敗れましたが、私たちの努力が否定されたわけではありません。引き続き、誇りあるガーディアンになるために全力を尽くします」

「そうか……。応援してるぜ! 頑張れよ!!」

「ありがとうございます。では、私はこれで……」

 ソフィは軽く頭を下げると、その場を立ち去ろうとする。
 しかし――

「あ、ちょっと待ってくれ!」

 龍之介はソフィを呼び止めた。
 ソフィは足を止め、不思議そうに首を傾げる。

「どうなさいました?」

「お前さ、胸部を強く殴られていただろ? 大丈夫だったのか?」

「ああ、そのことですか。確かに少し痛みますが、この程度ならば問題ありません」

 ソフィは平然な様子で答える。
 だが、龍之介は心配だった。

「痛むだって? まさか、骨折しているんじゃ……」

「いえ、骨折はしていないでしょう。少しジンジンと痛みますが」

「くそっ! すまない、ソフィ! 俺がもっと的確に行動していれば、ソフィが殴られる前に奴を無力化できたかもしれないのに……」

 龍之介は申し訳なさげに謝る。
 それを見たソフィは、大きく溜息を吐いた。

「ふぅ……。あなたは優しすぎます。私はこれでも、ガーディアン志望者の中でトップクラスの成績を出しているのですよ? 自分の身は自分で守ります」

「確かに、ソフィは優秀なのだろうが……! これは俺の問題だ! 美少女に怪我をさせておいて、何もせずにいられるかよ!!」

「へ?」

「患部を見せてくれ! 俺はこう見えて、多少は医学の心得がある!!」

「ちょ、ちょっと……!?」

 龍之介はソフィに近づくと、無理やり上着を脱がしにかかる。
 これにはさすがのソフィも慌てた。

「な、何をするのですか!? 離して!! 離しなさい!!」

「おい! 暴れるな!! 怪我が悪化するだろ!?」

「悪化させているのは誰ですか!!」

 ソフィは必死になって抵抗する。
 しかし、龍之介の力には敵わなかった。
 数分後――

「ふう……。やっと脱がすことができたぜ」

「……」

 上半身裸になったソフィの前で、龍之介が呟く。
 ソフィは顔を真っ赤にして、その小さな胸を腕で隠していた。

「ソフィ、怪我を見せてみろ」

「……もういいです。好きにしてください」

 ソフィは諦めたように言う。
 そして、ゆっくりと両腕を下ろした。

「なるほど……。殴られた部分が赤く腫れているな……」

 龍之介は患部をまじまじと見つめる。
 患部はほんのりと赤みを帯びており、痛々しい様子であった。

「あの……恥ずかしいので、あまり見ないでください……」

「ああ、すまない」

 ソフィが恥ずかしそうに言う。
 だが、龍之介は顔をそむけないまま、患部にそっと手を当てた。

「あっ……」

「とりあえず、マッサージした方が良さそうだ」

「ま、マッサージですか? 打撲箇所を揉むなんて、あまり聞いたことがありませんが……。まさかあなた、私の胸を揉みたいだけなのでは?」

 ソフィは怪訝そうな顔をする。
 だが、龍之介は首を横に振った。

「いや、違うぞ! 確かにソフィのちっぱいは美しいが、別に揉みたいわけじゃない! 俺は純粋にソフィを心配しているだけ――」

「なっ!? だ、誰の胸がちっぱいですか!! 気にしているのに!!!」

 ソフィは龍之介の言葉を遮り、顔を真っ赤にして激昂する。
 龍之介はビクッとして、反射的に謝った。

「わ、悪かった! 口が滑った!!」

「…………」

「落ち着いてくれ! 貧乳は立派なステータスだ!! 『絶対防壁』――通称『絶壁』のソフィのちっぱいは、素晴らしい魅力を秘めている!!」

「慰めになっていませんよ!? 私が気にしていることを、わざと言っているでしょう!?」

 ソフィは涙目になる。
 しかし、龍之介は平然としていた。

「いいや、慰めなんかじゃない! 俺は貧乳が好きだ!! いや、むしろ大好物だ!!」

「えっ……?」

 トゥンク……。
 ソフィの胸が高鳴る。
 龍之介の言葉と視線に、彼女の胸は激しく高鳴り始めていた。

(あれ……? どうしてでしょう? 変態みたいなことを言われているのに、嫌じゃない……?)

 ソフィは自分の胸に手を当てる。
 そして、首を傾げた。

「俺が貧乳ラブだということを、証明してみせよう。ソフィ、あそこの物陰に行くぞ」

「え……でも……」

「いいから行くぞ」

「は、はい……」

 龍之介はソフィを連れて路地裏の物陰に向かう。
 こうして、2人は物陰で少しばかり不埒な行為に及んだのだった。
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