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第三話
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悠人には父親がいない。正確に言うと父親はいたが、脳梗塞で倒れ、帰らぬ人となったのだ。
それ以降、悠人の母である紗智が夜中にパートで働きに行き、常に夜は悠人一人だけというわけだ。
正直、紗智が家賃などを稼ぐことはなかなか難しいとされていた。なぜなら、紗智はとてつもなく体が弱いのだ。しかし、色々工夫して今現在家賃を払えるようになっていた。
月収はかなり低いが、足りない分は悠人のバイトをしてもらってきた時給約二千円の小遣いから徴収させてもらっていた。最初は紗智が働くことをかなり反対したが、徴収することで手を打ってもらい、現在バイトをすることを許されたのだ。
悠人のしているバイトとは、ファミレスのバイトと、コンビニエンスストアのバイトの掛け持ちである。
元は、ファーストフード店でバイトしようと考えていたが、なぜか不採用。
次に、古本屋でバイトしようと考えたが、ここも不採用。
最終的に、十件もの店に雇ってもらいにいったが、そのうち八件は断り続けられ、残りの二件は今バイトしている店である。つくづく運のないやつである。
「いらっしゃいませ~」
コンビニに響く自分の声は少し低く、五人くらいしかいない店内はあまりにも広かった。
時間も時間なのだ。今はまだ午前二時頃。人も少なくて当たり前だ。
ファミレスでは、午後六時から入るようにしてある。
放課後には部活動はせず、バイトにいくと言うことで、一応話は通ってある。悠人自身の成績は、低くもなく、中の上ぐらいなので、遊佳にもお許しがもらえたのだ。
ふと時計を見ると、二時半になっていた。夜勤のバイトの時間も二時半までだったので、急いで帰る支度をする。
急いで家に帰り、明日の授業の用意を済ませ、晩御飯兼夜食を食べ終えたところで、紗智がリビングに顔を出した。
「おかえりぃ…」
重い瞼を頑張って開き、小さな声で悠人に向かって言った。悠人の帰宅を確認した紗智は、深い眠りにつくかのようにソファーで寝始めた。
紗智がソファーで寝ているのを悠人が時折見ながら課題をしていると、紗智が小刻みに震えることに気がついた。どうやら寒いらしい。悠人は毛布を掛けるか、ベッドまで運ぶかを紗智の様子を見ながら考えたあげく、紗智をベッドまで運ぶことにした。
それ以降、悠人の母である紗智が夜中にパートで働きに行き、常に夜は悠人一人だけというわけだ。
正直、紗智が家賃などを稼ぐことはなかなか難しいとされていた。なぜなら、紗智はとてつもなく体が弱いのだ。しかし、色々工夫して今現在家賃を払えるようになっていた。
月収はかなり低いが、足りない分は悠人のバイトをしてもらってきた時給約二千円の小遣いから徴収させてもらっていた。最初は紗智が働くことをかなり反対したが、徴収することで手を打ってもらい、現在バイトをすることを許されたのだ。
悠人のしているバイトとは、ファミレスのバイトと、コンビニエンスストアのバイトの掛け持ちである。
元は、ファーストフード店でバイトしようと考えていたが、なぜか不採用。
次に、古本屋でバイトしようと考えたが、ここも不採用。
最終的に、十件もの店に雇ってもらいにいったが、そのうち八件は断り続けられ、残りの二件は今バイトしている店である。つくづく運のないやつである。
「いらっしゃいませ~」
コンビニに響く自分の声は少し低く、五人くらいしかいない店内はあまりにも広かった。
時間も時間なのだ。今はまだ午前二時頃。人も少なくて当たり前だ。
ファミレスでは、午後六時から入るようにしてある。
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ふと時計を見ると、二時半になっていた。夜勤のバイトの時間も二時半までだったので、急いで帰る支度をする。
急いで家に帰り、明日の授業の用意を済ませ、晩御飯兼夜食を食べ終えたところで、紗智がリビングに顔を出した。
「おかえりぃ…」
重い瞼を頑張って開き、小さな声で悠人に向かって言った。悠人の帰宅を確認した紗智は、深い眠りにつくかのようにソファーで寝始めた。
紗智がソファーで寝ているのを悠人が時折見ながら課題をしていると、紗智が小刻みに震えることに気がついた。どうやら寒いらしい。悠人は毛布を掛けるか、ベッドまで運ぶかを紗智の様子を見ながら考えたあげく、紗智をベッドまで運ぶことにした。
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