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魔法の国のお姫様
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クラスタの王女であるテスは、18歳になったら深い眠りについてしまうという。
運命の赤い糸の相手が口づけをすれば、目覚めるとも。
両親から聞かされた話は、まるでおとぎ話そのものだった。
もし、もしその相手がジャックだったら……どんなに嬉しいだろう。
想像しただけで、ドキドキと胸が高鳴って仕方がない。
というか、こんなに長い間、夢の中で出会うのだ。
--ジャックが、赤い糸の相手の可能性が高いのではないか。
淡い期待が、高まった。
「あのね、ジャックは覚えてる? 私の夢」
ジャックにもらった白い花を幸せそうに眺めながら、テスはポツリとつぶやく。
テスの夢は、いつか飛空船に乗ること。
そして、地上に行ってみたいこと。
「ああ」
覚えててくれたことに、テスは嬉しくなって頬が緩むのを感じた。
他人に興味なさそうなのに、案外、そうでもないのかもしれない。
「じゃあー、その時約束したことは?」
『俺の飛空船に、いつか乗せてやる』と言ってくれたセリフも、覚えているだろうか。
隣であぐらをかくジャックをチラリを見上げてみると、目と目が合った。
「……なんだよ? 言いたいことあるならハッキリ言え」
「んー……つまり、つまりね、」
--いつか、迎えに来てほしいな。
夢じゃなくて、現実の世界で。
そして、眠ってる私に……。
そう、口にしようとした時だった。
『……ジャック様……』
テスとジャックの前に、いつのまにか同じ年頃の女の子が立っていて。
ジャックを見つめながら、頬を赤くして名前をぽつりと呟いたのだった。
肩まである黒のサラサラとした髪。
大人しくて清純そうな雰囲気を持つ少女を、テスは初めて見る。
その姿は、近くにいるのにぼんやりとして見えた。
これはきっと、ジャックの『記憶』だろう。
この砂浜や海のように、彼女はジャックがイメージした姿なのだろう。
「……可愛い子。ジャックの知り合い?」
なんとなく、嫌な予感がした。
きっとこれは、女の勘、というやつだ。
ジャックは特に表情を変えることなく、
「……婚約者」
そう、ポツリと答えたのだった。
「…………」
婚約者。
ジャックの、婚約者。
予想外の言葉に、テスは固まってしまう。
「……へー! そうなんだ! 婚約者、いたんだ! ビックリした……」
「言ってなかったか」
大したことない、と言わんばかりのジャックに、コクコクと頷くテス。
聞いてない。
初耳だ。
もともと、ジャックは自分のことをあまり話さない。
いつも、テスが一方的に話してただけだから仕方ないのだが。
……なんだろう。
すごく、すごくテンションが下がるのを感じた。
目の前が真っ暗になったような、そんな気分だ。
自分が一番、ジャックのそばにいると思っていた。
特別だと思っていた。
そんなわけがない。
夢の中で、ただ時々会うだけの関係なのに、なにを勘違いしていたのだろう。
彼が、自分の赤い糸の相手だと決まったわけじゃないのに。
「そういや、さっきの話……なんだって?」
いつのまにか、少女の姿は消えていた。
「……ううん、なんでもない!」
「……はぁ?」
テスはスクッと立ち上がると、頑張って作り笑顔を向ける。
そして、
「そろそろ帰るね、ばいばい」
「おい、」
「またねー!」
テスは白い花を持ったまま、走ってその場をあとにした。
運命の赤い糸の相手が口づけをすれば、目覚めるとも。
両親から聞かされた話は、まるでおとぎ話そのものだった。
もし、もしその相手がジャックだったら……どんなに嬉しいだろう。
想像しただけで、ドキドキと胸が高鳴って仕方がない。
というか、こんなに長い間、夢の中で出会うのだ。
--ジャックが、赤い糸の相手の可能性が高いのではないか。
淡い期待が、高まった。
「あのね、ジャックは覚えてる? 私の夢」
ジャックにもらった白い花を幸せそうに眺めながら、テスはポツリとつぶやく。
テスの夢は、いつか飛空船に乗ること。
そして、地上に行ってみたいこと。
「ああ」
覚えててくれたことに、テスは嬉しくなって頬が緩むのを感じた。
他人に興味なさそうなのに、案外、そうでもないのかもしれない。
「じゃあー、その時約束したことは?」
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隣であぐらをかくジャックをチラリを見上げてみると、目と目が合った。
「……なんだよ? 言いたいことあるならハッキリ言え」
「んー……つまり、つまりね、」
--いつか、迎えに来てほしいな。
夢じゃなくて、現実の世界で。
そして、眠ってる私に……。
そう、口にしようとした時だった。
『……ジャック様……』
テスとジャックの前に、いつのまにか同じ年頃の女の子が立っていて。
ジャックを見つめながら、頬を赤くして名前をぽつりと呟いたのだった。
肩まである黒のサラサラとした髪。
大人しくて清純そうな雰囲気を持つ少女を、テスは初めて見る。
その姿は、近くにいるのにぼんやりとして見えた。
これはきっと、ジャックの『記憶』だろう。
この砂浜や海のように、彼女はジャックがイメージした姿なのだろう。
「……可愛い子。ジャックの知り合い?」
なんとなく、嫌な予感がした。
きっとこれは、女の勘、というやつだ。
ジャックは特に表情を変えることなく、
「……婚約者」
そう、ポツリと答えたのだった。
「…………」
婚約者。
ジャックの、婚約者。
予想外の言葉に、テスは固まってしまう。
「……へー! そうなんだ! 婚約者、いたんだ! ビックリした……」
「言ってなかったか」
大したことない、と言わんばかりのジャックに、コクコクと頷くテス。
聞いてない。
初耳だ。
もともと、ジャックは自分のことをあまり話さない。
いつも、テスが一方的に話してただけだから仕方ないのだが。
……なんだろう。
すごく、すごくテンションが下がるのを感じた。
目の前が真っ暗になったような、そんな気分だ。
自分が一番、ジャックのそばにいると思っていた。
特別だと思っていた。
そんなわけがない。
夢の中で、ただ時々会うだけの関係なのに、なにを勘違いしていたのだろう。
彼が、自分の赤い糸の相手だと決まったわけじゃないのに。
「そういや、さっきの話……なんだって?」
いつのまにか、少女の姿は消えていた。
「……ううん、なんでもない!」
「……はぁ?」
テスはスクッと立ち上がると、頑張って作り笑顔を向ける。
そして、
「そろそろ帰るね、ばいばい」
「おい、」
「またねー!」
テスは白い花を持ったまま、走ってその場をあとにした。
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