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魔法の国のお姫様
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「……起きちゃった」
目が覚めたテスの目に、見慣れた自室の天井がうつる。
どうやら夢の中で走ってるうちに、夢から覚めたらしい。
まだ明け方なのか、部屋は少し薄暗い。
テスはムクリと起き上がるなり、うーん、と腕を組む。
そして真剣な表情を浮かべながら、1年後のことを今から考えることにした。
1年後、テスは深い眠りにつく。
まぁ、それは決定事項だとしよう。
これまでに、様々な手を尽くしてきたご先祖様たちでもどうにもならなかったらしいので、潔く受け入れよう。
ただ……目覚めるためには、運命の赤い糸で結ばれた異性に口づけをしてもらうこと。
これが問題だ。
大問題である。
正直にいうと、知らない男とキスなんてしたくない。
してほしくない。
それなら、ずっと夢の中でいいとさえ思う。
夢の中で、ジャックとのんびり過ごしていたい。
だが、両親や国のみんなは、テスが眠りから目覚めることを望むだろう。
そのために、赤い糸の相手を探して連れてくるだろう。
「うー……やだなぁ」
相手がジャックなら、喜んで。
喜んで、キスを受け入れるのだが。
彼は行き来することのできない、地上の人間で。
彼には婚約者がいて。
…………。
「でも、もしジャックだったら……」
思わず、ぽわんと想像してみた。
ジャックのいつもの無愛想な顔がゆっくり近づいてきて、そして頬に手を添えられて。
触れ合う唇は……かたいのか、柔らかいのか。
ポーっとしていると、ふと枕元に見覚えのあるモノがあることに気がついた。
ハッとして慌ててソレを、手にとった。
「……なんで?」
一輪の、白い花を。
「おそらく、姫様の魔法の力かもしれませんのー」
シンプルなガラスの花瓶にさした、夢の中から現実の世界に持って帰ってきた白い花を、頬杖をして眺めながら。
テスは、お茶をすする長老の話をぼんやり聞いていた。
ここはお城の庭園の一角にある、日当たりのいいティースポット。
庭園にはたくさんの花が咲いており、天気のいい日はテスもよくここでお茶をする。
「素敵……」
夢の中でぶっきらぼうに差し出された白い花は、魔法の膜で覆われているように、キラキラと微かに光っていた。
とても不思議な気分で、とても幸せな気分になる。
「……ねぇ長老さま。私、好きな人ができたの」
「ほっほっほっ、姫様ももうそんな年になりましたかのー」
「その人が運命の赤い糸の相手じゃなかったら……ずーっと眠ったままがいい。ダメ?」
そうぼんやり話すテスに、長老は困ったような表情を浮かべるばかりだ。
「そりゃーいかんでしょう。姫様が眠り続けることになりますと、ワシらは悲しいですぞ」
「うん、でも、やだ。好きじゃない人にキスされるなんて、絶対、やだ」
「ふーむ……」
年老いた長老には、年頃の若い娘の気持ちが微妙に分からないらしい。
まぁ無理もないのだが。
「なぁに、キッスだけすりゃーいいんですぞ? なにも結婚するわけじゃあ、」
「い、や!」
「えぇー……。困ったのー」
運命の赤い糸で結ばれた相手とキスさえすれば、眠りから覚めることができるというのに……。
「……起きちゃった」
目が覚めたテスの目に、見慣れた自室の天井がうつる。
どうやら夢の中で走ってるうちに、夢から覚めたらしい。
まだ明け方なのか、部屋は少し薄暗い。
テスはムクリと起き上がるなり、うーん、と腕を組む。
そして真剣な表情を浮かべながら、1年後のことを今から考えることにした。
1年後、テスは深い眠りにつく。
まぁ、それは決定事項だとしよう。
これまでに、様々な手を尽くしてきたご先祖様たちでもどうにもならなかったらしいので、潔く受け入れよう。
ただ……目覚めるためには、運命の赤い糸で結ばれた異性に口づけをしてもらうこと。
これが問題だ。
大問題である。
正直にいうと、知らない男とキスなんてしたくない。
してほしくない。
それなら、ずっと夢の中でいいとさえ思う。
夢の中で、ジャックとのんびり過ごしていたい。
だが、両親や国のみんなは、テスが眠りから目覚めることを望むだろう。
そのために、赤い糸の相手を探して連れてくるだろう。
「うー……やだなぁ」
相手がジャックなら、喜んで。
喜んで、キスを受け入れるのだが。
彼は行き来することのできない、地上の人間で。
彼には婚約者がいて。
…………。
「でも、もしジャックだったら……」
思わず、ぽわんと想像してみた。
ジャックのいつもの無愛想な顔がゆっくり近づいてきて、そして頬に手を添えられて。
触れ合う唇は……かたいのか、柔らかいのか。
ポーっとしていると、ふと枕元に見覚えのあるモノがあることに気がついた。
ハッとして慌ててソレを、手にとった。
「……なんで?」
一輪の、白い花を。
「おそらく、姫様の魔法の力かもしれませんのー」
シンプルなガラスの花瓶にさした、夢の中から現実の世界に持って帰ってきた白い花を、頬杖をして眺めながら。
テスは、お茶をすする長老の話をぼんやり聞いていた。
ここはお城の庭園の一角にある、日当たりのいいティースポット。
庭園にはたくさんの花が咲いており、天気のいい日はテスもよくここでお茶をする。
「素敵……」
夢の中でぶっきらぼうに差し出された白い花は、魔法の膜で覆われているように、キラキラと微かに光っていた。
とても不思議な気分で、とても幸せな気分になる。
「……ねぇ長老さま。私、好きな人ができたの」
「ほっほっほっ、姫様ももうそんな年になりましたかのー」
「その人が運命の赤い糸の相手じゃなかったら……ずーっと眠ったままがいい。ダメ?」
そうぼんやり話すテスに、長老は困ったような表情を浮かべるばかりだ。
「そりゃーいかんでしょう。姫様が眠り続けることになりますと、ワシらは悲しいですぞ」
「うん、でも、やだ。好きじゃない人にキスされるなんて、絶対、やだ」
「ふーむ……」
年老いた長老には、年頃の若い娘の気持ちが微妙に分からないらしい。
まぁ無理もないのだが。
「なぁに、キッスだけすりゃーいいんですぞ? なにも結婚するわけじゃあ、」
「い、や!」
「えぇー……。困ったのー」
運命の赤い糸で結ばれた相手とキスさえすれば、眠りから覚めることができるというのに……。
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