調教ホテル 堕ちる夜

黒猫と夜

文字の大きさ
11 / 59
第二章 崩壊と再生

第一節:準備(男視点)

しおりを挟む
俺がこの夜の舞台に選んだのは、ホテルの最上階にある特別なVIPルームだった。
ただ豪華だからではない。
この部屋には他にはない仕掛けが備わっていた。

広々としたリビングルームの隣に、完全な防音の個室がある。
だが、その個室の一面はリビングルーム側に向けて巨大なマジックミラーになっていた。
つまり――個室にいる者からはリビングルームがすべて見えるが、リビングルームからはただの鏡にしか映らない。

さらに、リビングルームには収音マイクが各部屋に仕込まれており、スイッチ一つで音声を個室へも流せる。
つまり、覗くだけでなく「聞かせる」ことも自在だ。

俺がこの部屋を選んだ理由はただ一つ。
翔太に「真実」を突きつけるためだ。

(お前の目の前で、美咲は自ら俺を選ぶ。裏切りの瞬間を、その目に焼き付けるんだ)

それを見た時、翔太は絶望し、美咲はすべてを失う。
そして最後には――その喪失感から逃れる唯一の拠り所として、俺だけを求めるようになる。

気絶した翔太を担ぎ入れ、個室の中央に据えた椅子へと縛り付ける。
両手首と足首を分厚いベルトで固定し、体が動かぬよう椅子の背もたれに押しつける。
頭は前に垂れたまま、うっすらと呻き声を漏らしている。

「もうすぐ目を覚ますだろう……ちょうどいい」

俺は翔太の椅子をマジックミラーの正面に移動させた。
ここならリビングルームで何が起きても、全てが一望できる。
もちろん美咲は気づかない。

(これで、お前はただの観客だ。大切な女が俺に支配され、悦びに堕ちていく姿を、最後まで見届けるだけのな)

俺の胸の奥には冷たい愉悦が広がっていた。
支配の完成が目前に迫っている。

リビングルームに視線を移す。
重厚なソファ、大きなテーブル、そしてその中心に据えられた柔らかな照明。
俺はわざとテーブルの上を片付け、そこに一本のワイングラスと赤いワインを置いた。
歓迎の合図のように。

(いいだろう、美咲。お前にとっては「再会の部屋」だが……ここがお前の心を壊す最終舞台になる)

さらにマイクのスイッチを確認する。
リビングルームの音声はすべて、個室に流れるように設定。
翔太には、美咲の声も、俺の声も、吐息も、嘘偽りなく届く。

最後の仕掛けも整った。

準備を終えた瞬間、胸の奥で熱が膨らんでいく。
ただの行為や支配ではない。
これは「演出」であり「劇」だ。

観客は翔太。
舞台に立つのは、美咲と俺。
そして脚本家は――この俺だ。

「彼女が自分の意思で裏切る姿を、お前は見続けるんだ」

美咲が堕ちることで翔太を壊し、翔太の絶望で美咲を縛る。
その構図を頭に描くだけで、背筋に冷たい快感が走った。

(美咲……震える声で俺を呼べ。お前の婚約者の目の前で、俺を選ぶんだ)

その瞬間こそが、俺の支配の完成だ。

俺は一度、深く息を吐いた。
全ての仕掛けは整った。
あとは、美咲がこの部屋の扉を叩くだけだ。

リビングのソファに腰掛け、赤いワインを口に含む。
濃厚な果実の香りが広がり、喉を滑り落ちていく。

「さあ……幕を上げよう」

扉の向こうから、足音が近づいてきた。
震えるような気配――それは美咲のものだ。

(来たな、美咲。お前を最後に壊す夜が始まる)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...