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オークションは大盛況のうちに幕を閉じた。
王家のプライド(と私物)は、貴族たちの虚栄心(と現金)に見事に変換されたのである。
屋敷の執務室で、私は積み上げられた金貨の山を前に、恍惚の表情を浮かべていた。
「素晴らしい……。王子の木馬が金貨百枚で売れるなんて。マニアの心理というのは理解不能だけれど、金払いがいいのは美徳だわ」
「……君は、本当に金を見ている時だけは乙女のような顔をするな」
向かいのソファで、シリル公爵が呆れたように紅茶(今回は一杯金貨一枚の高級茶葉)を飲んでいる。
「失礼な。私はいつだって乙女ですわ。ただ、私のときめきの対象が『殿方』ではなく『利回り』なだけです」
私が電卓を叩いて最終的な利益を計算していると、執事長が控えめに扉をノックした。
「お嬢様。……お客様がお見えです」
「お客様? オークションの返品は受け付けないわよ。『ノークレーム・ノーリターン』って契約書に明記したはずだけど」
「いえ、返品ではなく……その、お嬢様に『弟子入り』したいという方が」
「弟子入り?」
執事長の後ろから、一人の少女がおずおずと姿を現した。
栗色の髪を三つ編みにした、小柄で地味な令嬢だ。
どこかの男爵家の娘だろうか。
彼女は部屋に入るなり、私の前で深々と頭を下げた。
「あ、あのっ! グラッセ様! 先ほどのオークションでの勇姿、拝見いたしました! 王家を相手に一歩も引かず、堂々と現金を巻き上げるそのお姿……感動いたしました!」
「……感動のポイントが特殊ですね」
シリルがボソリと呟く。
少女は潤んだ瞳で私を見つめ、訴えかけてきた。
「私、リリィと申します。……実は私、婚約者にいじめられていて……」
「いじめ?」
「はい。婚約者の伯爵令息が、別の華やかな令嬢と浮気をしていて……私、『地味でつまらない女だ』って罵られて……。悔しいけれど、何も言い返せなくて……」
リリィはポロポロと涙をこぼした。
「でも、グラッセ様を見て思いました! 私も強くなりたい! あなたのように、強く、美しく、そして……がめつく生きたいんです!」
「最後の一言は余計ですが、まあいいでしょう」
私は腕を組み、リリィを値踏みするように観察した。
身なりは質素だが、着ているドレスの仕立ては悪くない。
実家は地方の資産家あたりか。
つまり――『支払い能力』はある。
私はニヤリと笑った。
「リリィ様。同情はしません。涙で事態が好転するなら、私は毎日バケツ一杯の涙を流してみせますわ」
「うっ……はい……」
「ですが、『解決策』を提示することはできます」
「え?」
私は机の引き出しから、一枚のチラシを取り出した。
先ほど、即興で書き上げたばかりの新規事業計画書だ。
『悪役令嬢コンサルタント ~舐められたら倍返し(請求)だ!~』
「こ、これは?」
「私が新しく始めるビジネスです。気弱な令嬢、婚約破棄されそうな令嬢、理不尽な目に遭っている女性たちを対象に、私が直々に『悪役令嬢としての心得』を叩き込む教室です」
「あ、悪役令嬢……ですか?」
「ええ。世間では悪口として使われますが、私に言わせれば『悪役令嬢』とは『自分の欲望に忠実で、手段を選ばず、誰にも媚びない自立した女性』のことです。最高だと思いませんか?」
リリィがゴクリと唾を飲み込む。
「私にも……なれるでしょうか。グラッセ様のような悪役令嬢に」
「なれます。ただし」
私は電卓を彼女の目の前に突き出した。
「受講料は高額ですよ? 入会金金貨五十枚。月謝は金貨十枚。さらに、成果が出た場合の成功報酬として、慰謝料の二割を頂きます」
「ご、五十枚……!」
リリィが怯む。
しかし、彼女は拳を握りしめ、覚悟を決めたように顔を上げた。
「は、払います! 私、もう泣き寝入りするのは嫌なんです! 父にお願いして、前借りしてでも払います!」
「商談成立ですね! ようこそ、グラッセ・アカデミーへ!」
私はガッチリと彼女の手を握った。
シリルが「いつの間にアカデミーになったんだ」とツッコミを入れているが無視する。
「では、早速レッスン1を始めましょう」
私はホワイトボード(という名の大きな紙)に、太い文字でこう書いた。
『精神論:愛より金』
「リリィ様。復唱してください。『愛は裏切るが、金は裏切らない』!」
「あ、愛は裏切るが、金は裏切らない!」
「声が小さい! 腹から声を出して! 『お前の愛など銅貨一枚の価値もない!』」
「お、お前の愛など銅貨一枚の価値もない!!」
「よろしい。次は実践編です。浮気相手の女に水をかけられた時の対処法」
私は水の入ったグラスを持ち上げた。
「普通のヒロインなら『ひどい!』と泣くでしょう。ですが、悪役令嬢は違います」
「ど、どうするんですか?」
「即座にその水の成分分析を行い、ドレスのクリーニング代と精神的苦痛への慰謝料、さらに『水資源の無駄遣い』として環境保護税を上乗せして請求します」
「……えっと、そこまで考えるんですか?」
「当然です。転んでもただでは起きない。転んだら、そこの土を持って帰って売る。それが私たちの流儀です」
リリィは目を白黒させているが、必死にメモを取っている。
その様子を見ていたシリルが、こらえきれないように笑い出した。
「くくく……。恐ろしい教室だな。こんなものを世に放ったら、この国の貴族男性たちは震え上がるぞ」
「あら、怯えるようなやましいことがなければいいだけの話ですわ」
私はふふんと鼻を鳴らす。
「それに、これは女性の自立支援事業です。国から補助金をもらいたいくらいですわ」
その時。
リリィがメモの手を止め、不安そうに尋ねた。
「あの、グラッセ様。精神的な強さはわかりました。でも……もし、相手が暴力を振るってきたら? 婚約者は騎士団に所属していて、腕っぷしが強いんです」
「ああ、物理的な脅威ですね」
私はニッコリと微笑み、ドレスのスカートをまくり上げた。
そこには、太ももに装着されたホルスターがあり、小型の鉄扇(特注品)が収められている。
「暴力には暴力……いえ、『過剰防衛』で対抗します」
「えっ」
「レッスン2は『護身術(物理)』です。相手の急所を的確に突き、再起不能にしつつ、跡が残らないように痛めつける技術をお教えします」
「ひぃっ!?」
「安心してください。人体構造を理解すれば、指一本で大男も沈められます。……シリル閣下、少し実験台になっていただけます?」
私が振り返ると、シリルはスッと立ち上がり、優雅に手を振った。
「遠慮しておこう。私は君のビジネスパートナーであって、サンドバッグではない」
「ちっ。……まあいいわ。執事長、防具をつけて庭に出なさい」
「承知いたしました(涙)」
こうして。
私の屋敷の庭で、地獄の特訓……もとい、優雅なレッスンが始まった。
「そこ! 拳が甘い! もっと腰を入れて、相手の財布を狙うような鋭さで!」
「は、はいっ! えいっ!」
「違う! 『えいっ』じゃない! 『死ね!』という気迫を込めて!」
ドスッ! バキッ!
リリィの悲鳴と、執事長のうめき声が交錯する。
数日後。
王都の社交界に、奇妙な噂が流れ始めた。
「最近、泣き虫だったリリィ男爵令嬢が変わったらしい」
「なんでも、婚約者の伯爵令息が浮気を謝罪しようとしたら、分厚い契約書を突きつけられて泡を吹いて倒れたとか」
「彼女、笑顔で『次は弁護士を通してくださいね』って言ったらしいぞ」
その噂を聞いた私は、満足げに新しい通帳の残高を眺めていた。
「ふふふ。リリィ様、なかなか見込みがあるわ。――さて、次はどんな悩める子羊(カモ)が来るかしら?」
『悪役令嬢コンサルタント』。
その評判は、水面下で着実に広がりつつあった。
そしてそれは同時に、私と対立する勢力――すなわち、アラン王子やミナたちの耳にも届くことになるのだが……。
今の私はまだ、次の集金のことしか考えていなかった。
「あ、そうだ。教室のロゴ入りタオルを作って売ろう。一枚金貨三枚で」
商魂は、どこまでもたくましく燃え上がるのだった。
王家のプライド(と私物)は、貴族たちの虚栄心(と現金)に見事に変換されたのである。
屋敷の執務室で、私は積み上げられた金貨の山を前に、恍惚の表情を浮かべていた。
「素晴らしい……。王子の木馬が金貨百枚で売れるなんて。マニアの心理というのは理解不能だけれど、金払いがいいのは美徳だわ」
「……君は、本当に金を見ている時だけは乙女のような顔をするな」
向かいのソファで、シリル公爵が呆れたように紅茶(今回は一杯金貨一枚の高級茶葉)を飲んでいる。
「失礼な。私はいつだって乙女ですわ。ただ、私のときめきの対象が『殿方』ではなく『利回り』なだけです」
私が電卓を叩いて最終的な利益を計算していると、執事長が控えめに扉をノックした。
「お嬢様。……お客様がお見えです」
「お客様? オークションの返品は受け付けないわよ。『ノークレーム・ノーリターン』って契約書に明記したはずだけど」
「いえ、返品ではなく……その、お嬢様に『弟子入り』したいという方が」
「弟子入り?」
執事長の後ろから、一人の少女がおずおずと姿を現した。
栗色の髪を三つ編みにした、小柄で地味な令嬢だ。
どこかの男爵家の娘だろうか。
彼女は部屋に入るなり、私の前で深々と頭を下げた。
「あ、あのっ! グラッセ様! 先ほどのオークションでの勇姿、拝見いたしました! 王家を相手に一歩も引かず、堂々と現金を巻き上げるそのお姿……感動いたしました!」
「……感動のポイントが特殊ですね」
シリルがボソリと呟く。
少女は潤んだ瞳で私を見つめ、訴えかけてきた。
「私、リリィと申します。……実は私、婚約者にいじめられていて……」
「いじめ?」
「はい。婚約者の伯爵令息が、別の華やかな令嬢と浮気をしていて……私、『地味でつまらない女だ』って罵られて……。悔しいけれど、何も言い返せなくて……」
リリィはポロポロと涙をこぼした。
「でも、グラッセ様を見て思いました! 私も強くなりたい! あなたのように、強く、美しく、そして……がめつく生きたいんです!」
「最後の一言は余計ですが、まあいいでしょう」
私は腕を組み、リリィを値踏みするように観察した。
身なりは質素だが、着ているドレスの仕立ては悪くない。
実家は地方の資産家あたりか。
つまり――『支払い能力』はある。
私はニヤリと笑った。
「リリィ様。同情はしません。涙で事態が好転するなら、私は毎日バケツ一杯の涙を流してみせますわ」
「うっ……はい……」
「ですが、『解決策』を提示することはできます」
「え?」
私は机の引き出しから、一枚のチラシを取り出した。
先ほど、即興で書き上げたばかりの新規事業計画書だ。
『悪役令嬢コンサルタント ~舐められたら倍返し(請求)だ!~』
「こ、これは?」
「私が新しく始めるビジネスです。気弱な令嬢、婚約破棄されそうな令嬢、理不尽な目に遭っている女性たちを対象に、私が直々に『悪役令嬢としての心得』を叩き込む教室です」
「あ、悪役令嬢……ですか?」
「ええ。世間では悪口として使われますが、私に言わせれば『悪役令嬢』とは『自分の欲望に忠実で、手段を選ばず、誰にも媚びない自立した女性』のことです。最高だと思いませんか?」
リリィがゴクリと唾を飲み込む。
「私にも……なれるでしょうか。グラッセ様のような悪役令嬢に」
「なれます。ただし」
私は電卓を彼女の目の前に突き出した。
「受講料は高額ですよ? 入会金金貨五十枚。月謝は金貨十枚。さらに、成果が出た場合の成功報酬として、慰謝料の二割を頂きます」
「ご、五十枚……!」
リリィが怯む。
しかし、彼女は拳を握りしめ、覚悟を決めたように顔を上げた。
「は、払います! 私、もう泣き寝入りするのは嫌なんです! 父にお願いして、前借りしてでも払います!」
「商談成立ですね! ようこそ、グラッセ・アカデミーへ!」
私はガッチリと彼女の手を握った。
シリルが「いつの間にアカデミーになったんだ」とツッコミを入れているが無視する。
「では、早速レッスン1を始めましょう」
私はホワイトボード(という名の大きな紙)に、太い文字でこう書いた。
『精神論:愛より金』
「リリィ様。復唱してください。『愛は裏切るが、金は裏切らない』!」
「あ、愛は裏切るが、金は裏切らない!」
「声が小さい! 腹から声を出して! 『お前の愛など銅貨一枚の価値もない!』」
「お、お前の愛など銅貨一枚の価値もない!!」
「よろしい。次は実践編です。浮気相手の女に水をかけられた時の対処法」
私は水の入ったグラスを持ち上げた。
「普通のヒロインなら『ひどい!』と泣くでしょう。ですが、悪役令嬢は違います」
「ど、どうするんですか?」
「即座にその水の成分分析を行い、ドレスのクリーニング代と精神的苦痛への慰謝料、さらに『水資源の無駄遣い』として環境保護税を上乗せして請求します」
「……えっと、そこまで考えるんですか?」
「当然です。転んでもただでは起きない。転んだら、そこの土を持って帰って売る。それが私たちの流儀です」
リリィは目を白黒させているが、必死にメモを取っている。
その様子を見ていたシリルが、こらえきれないように笑い出した。
「くくく……。恐ろしい教室だな。こんなものを世に放ったら、この国の貴族男性たちは震え上がるぞ」
「あら、怯えるようなやましいことがなければいいだけの話ですわ」
私はふふんと鼻を鳴らす。
「それに、これは女性の自立支援事業です。国から補助金をもらいたいくらいですわ」
その時。
リリィがメモの手を止め、不安そうに尋ねた。
「あの、グラッセ様。精神的な強さはわかりました。でも……もし、相手が暴力を振るってきたら? 婚約者は騎士団に所属していて、腕っぷしが強いんです」
「ああ、物理的な脅威ですね」
私はニッコリと微笑み、ドレスのスカートをまくり上げた。
そこには、太ももに装着されたホルスターがあり、小型の鉄扇(特注品)が収められている。
「暴力には暴力……いえ、『過剰防衛』で対抗します」
「えっ」
「レッスン2は『護身術(物理)』です。相手の急所を的確に突き、再起不能にしつつ、跡が残らないように痛めつける技術をお教えします」
「ひぃっ!?」
「安心してください。人体構造を理解すれば、指一本で大男も沈められます。……シリル閣下、少し実験台になっていただけます?」
私が振り返ると、シリルはスッと立ち上がり、優雅に手を振った。
「遠慮しておこう。私は君のビジネスパートナーであって、サンドバッグではない」
「ちっ。……まあいいわ。執事長、防具をつけて庭に出なさい」
「承知いたしました(涙)」
こうして。
私の屋敷の庭で、地獄の特訓……もとい、優雅なレッスンが始まった。
「そこ! 拳が甘い! もっと腰を入れて、相手の財布を狙うような鋭さで!」
「は、はいっ! えいっ!」
「違う! 『えいっ』じゃない! 『死ね!』という気迫を込めて!」
ドスッ! バキッ!
リリィの悲鳴と、執事長のうめき声が交錯する。
数日後。
王都の社交界に、奇妙な噂が流れ始めた。
「最近、泣き虫だったリリィ男爵令嬢が変わったらしい」
「なんでも、婚約者の伯爵令息が浮気を謝罪しようとしたら、分厚い契約書を突きつけられて泡を吹いて倒れたとか」
「彼女、笑顔で『次は弁護士を通してくださいね』って言ったらしいぞ」
その噂を聞いた私は、満足げに新しい通帳の残高を眺めていた。
「ふふふ。リリィ様、なかなか見込みがあるわ。――さて、次はどんな悩める子羊(カモ)が来るかしら?」
『悪役令嬢コンサルタント』。
その評判は、水面下で着実に広がりつつあった。
そしてそれは同時に、私と対立する勢力――すなわち、アラン王子やミナたちの耳にも届くことになるのだが……。
今の私はまだ、次の集金のことしか考えていなかった。
「あ、そうだ。教室のロゴ入りタオルを作って売ろう。一枚金貨三枚で」
商魂は、どこまでもたくましく燃え上がるのだった。
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