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「デート、ですか?」
私は手元の帳簿から顔を上げ、訝しげに眉をひそめた。
ラズベリー公爵邸の応接室。
優雅に紅茶を飲んでいるのは、今日も今日とて全身を高級ブランドで固めたシリル・ヴァン・ノワール公爵だ。
「ああ。たまには息抜きも必要だろう? 君を景色のいい場所へ案内したいと思ってね」
シリルは爽やかな笑顔で言った。
その笑顔は、世の女性なら卒倒するレベルの破壊力だが、私は冷静に電卓を取り出した。
「お誘いは光栄ですが、私の時給は高いですよ? 拘束時間にもよりますが、デートという名目の『同伴業務』であれば、基本料金プラス指名料が発生します」
「……君は、私と過ごす時間にも金を要求するのか」
「当然です。時は金なり。私がこうしている間にも、王都のどこかで誰かが借金を申し込みたがっているかもしれないのですから」
私はキッパリと言い放った。
シリルは呆れるどころか、クククと喉を鳴らして笑った。
「いいだろう。今日の『デート代』として、金貨一千枚を支払おう。これなら文句はないな?」
「一千枚!?」
私はガタッと椅子から立ち上がった。
一千枚といえば、ちょっとした屋敷が一軒建つ金額だ。
「喜んでお供させていただきます! お弁当は持参しますか? それとも現地調達? あ、衣装はドレスより動きやすいものがよろしいでしょうか?」
「現金なやつめ……。いや、服装はそのままでいい。場所は少し遠出になるから、馬車を用意してある」
「承知いたしました! ただいま準備を!」
私は音速で支度を整え、シリルの待つ馬車へと乗り込んだ。
***
「……で、ここが『景色のいい場所』なのですか?」
数時間後。
馬車が到着したのは、花畑でも湖畔でもなく、ゴツゴツとした岩肌が剥き出しになった山岳地帯だった。
土煙が舞い、坑夫たちがツルハシを持って行き交っている。
どう見ても、採掘場(鉱山)だ。
「ああ。私にとっては最高の景色だ」
シリルは馬車を降り、眼下に広がる荒野を満足げに見渡した。
「ここは隣国との国境付近にある、廃坑寸前の銀山だ。最近、所有者が売りに出していてな。……君の意見を聞きたい」
「意見?」
「この山、いくらで買い叩けると思う?」
私はパチクリと瞬きをした。
そして、すぐにニヤリと口角を上げた。
「なるほど。デートというのは、現地視察(デューデリジェンス)のことでしたか」
「正解だ。君なら、この山の『真の価値』を見抜けると思ってな」
「ふふ、ロマンチックな口説き文句ですわね」
私はドレスの裾をまくり上げ、持参した『鑑定用ルーペ』と『地質調査ハンマー』を取り出した。
「いいでしょう。金貨一千枚分の仕事はさせていただきます」
私たちは坑道の中へと足を踏み入れた。
薄暗い坑道内は湿っぽく、決して快適とは言えない。
しかし、私の目は輝いていた。
「ここ、銀山として売り出されているのですね?」
「ああ。だが、近年は産出量が激減し、ただの石ころの山だと笑われている」
「……ふむ」
私は壁面の岩肌をハンマーで軽く叩き、剥がれ落ちた欠片をルーペで覗き込んだ。
そして、舌なめずりをする。
「シリル閣下。これ、買いですわ」
「ほう? 銀が出るのか?」
「いいえ。銀はもう枯渇しています。ですが……ここに含まれているのは『魔導石(マナ・ストーン)』の原石です」
「なに?」
シリルが目を見開く。
「含有量は微量ですが、質が高い。精製すれば、魔導具のコアとして高値で取引されます。しかも、この岩盤の層……地下深くには、さらに巨大な鉱脈が眠っている可能性があります」
「……なるほど。所有者はそれに気づいていないのか」
「ええ。単なる不純物の多い銀鉱石だと思っているのでしょう。二束三文で手放そうとしているはずです」
私は電卓を叩いた。
「提示価格の十分の一……いや、さらに買い叩いて二十分の一で買収しましょう。『ゴミ山を処分してやる』と恩を売れば、向こうも喜んで契約書にサインしますわ」
「くくく……悪魔的だな」
「ビジネスと言ってください。……あ、あそこ! 見てくださいシリル閣下!」
私は坑道の奥を指差した。
そこには、キラキラと光る結晶の塊が露出していた。
「素晴らしい……! あれだけで金貨五千枚にはなりますわ!」
私は思わず駆け寄り、その結晶に頬ずりをした。
「愛しい……なんて美しい輝きなの。あなたたち、私が綺麗に加工して、高値で売り飛ばしてあげるからね」
「……君、私に向けたことのないような熱い視線を石に向けているな」
背後でシリルが呆れた声を出したが、今の私には石の輝きしか見えていない。
「シリル閣下! この山、絶対に買いましょう! 私が共同出資しても構いませんことよ!」
「いや、私の単独出資にする。君を噛ませると、利益の九割を持っていかれそうだからな」
「ちっ、バレましたか」
私が舌打ちをすると、シリルが近づいてきた。
そして、不意に私の腰に手を回し、引き寄せた。
「え?」
顔が近づく。
薄暗い坑道の中で、彼の蒼い瞳が妖しく光る。
「……だが、君のその鑑定眼は素晴らしい。やはり君は、私の隣に置くにふさわしい」
「そ、それはどうも」
「どうだ? この山を買い取ったら、その管理を君に任せようか? 報酬は……そうだな」
彼は私の耳元で囁いた。
「『私の婚約者』という肩書きと、この山の採掘権の半分で」
ドキン。
心臓が跳ねた。
採掘権の半分……!
つまり、この山から出る利益の半分が、何もしなくても私の懐に入ってくるということ!?
「……結婚、前提ですか?」
「ああ。君以外の女と結婚しても、退屈で死にそうだからな」
これは、実質的なプロポーズだ。
普通の令嬢なら、顔を赤らめて「はい」と答える場面だろう。
しかし、私はグラッセ・ド・ラズベリー。
即座に脳内で損益分岐点を計算する。
(公爵夫人になれば社会的地位は向上。しかし、自由な商売活動に制限がかかる可能性あり。さらに、彼の資産管理までするとなると労働過多……)
私は彼の手をそっと押し返した。
「……魅力的なオファーですが、保留で」
「即決ではないのか?」
「条件の精査が必要です。特に『婚約者』という契約内容について。私が自由に商売を続けられるか、そして家庭内での財布の紐は誰が握るのか。その辺りを明確にしてからでないと、サインはできません」
シリルは一瞬きょとんとし、それから坑道が揺れるほどの大爆笑をした。
「ははははっ! そうだ、そうでなくては! 金や地位に靡(なび)かない、その強欲さこそが君だ!」
彼は涙を拭いながら、私の頭をポンと撫でた。
「いいだろう。契約内容は追って詰めよう。今日はとりあえず、この山の買収計画を立てるとしようか」
「はい! まずは売主の弱点を探るところから始めましょう!」
私たちは顔を見合わせて悪い笑みを浮かべた。
坑道の外に出ると、夕日が沈みかけていた。
荒涼とした風景だが、私にはそこが「黄金郷」に見えた。
「ああ、楽しかった。最高のデートでしたわ、シリル閣下」
「それはよかった。……しかし、君のドレス、煤(すす)だらけだぞ」
「あら、本当。……クリーニング代、経費で落ちますよね?」
「……領収書を回しておけ」
私たちは並んで馬車へと歩き出した。
手をつないではいない。
甘い言葉も交わしていない。
けれど、私たちの間には確かに、「共犯者」としての固い絆(と金銭的な信頼関係)が芽生えていた。
……まあ、それはそれとして。
「あ、帰りにあの結晶、一つ持って帰ってもいいですか? サンプルとして」
「……ポケットに入れるな。それは窃盗だぞ」
「チッ」
私の恋路は、まだまだ前途多難(主に金銭面で)のようである。
私は手元の帳簿から顔を上げ、訝しげに眉をひそめた。
ラズベリー公爵邸の応接室。
優雅に紅茶を飲んでいるのは、今日も今日とて全身を高級ブランドで固めたシリル・ヴァン・ノワール公爵だ。
「ああ。たまには息抜きも必要だろう? 君を景色のいい場所へ案内したいと思ってね」
シリルは爽やかな笑顔で言った。
その笑顔は、世の女性なら卒倒するレベルの破壊力だが、私は冷静に電卓を取り出した。
「お誘いは光栄ですが、私の時給は高いですよ? 拘束時間にもよりますが、デートという名目の『同伴業務』であれば、基本料金プラス指名料が発生します」
「……君は、私と過ごす時間にも金を要求するのか」
「当然です。時は金なり。私がこうしている間にも、王都のどこかで誰かが借金を申し込みたがっているかもしれないのですから」
私はキッパリと言い放った。
シリルは呆れるどころか、クククと喉を鳴らして笑った。
「いいだろう。今日の『デート代』として、金貨一千枚を支払おう。これなら文句はないな?」
「一千枚!?」
私はガタッと椅子から立ち上がった。
一千枚といえば、ちょっとした屋敷が一軒建つ金額だ。
「喜んでお供させていただきます! お弁当は持参しますか? それとも現地調達? あ、衣装はドレスより動きやすいものがよろしいでしょうか?」
「現金なやつめ……。いや、服装はそのままでいい。場所は少し遠出になるから、馬車を用意してある」
「承知いたしました! ただいま準備を!」
私は音速で支度を整え、シリルの待つ馬車へと乗り込んだ。
***
「……で、ここが『景色のいい場所』なのですか?」
数時間後。
馬車が到着したのは、花畑でも湖畔でもなく、ゴツゴツとした岩肌が剥き出しになった山岳地帯だった。
土煙が舞い、坑夫たちがツルハシを持って行き交っている。
どう見ても、採掘場(鉱山)だ。
「ああ。私にとっては最高の景色だ」
シリルは馬車を降り、眼下に広がる荒野を満足げに見渡した。
「ここは隣国との国境付近にある、廃坑寸前の銀山だ。最近、所有者が売りに出していてな。……君の意見を聞きたい」
「意見?」
「この山、いくらで買い叩けると思う?」
私はパチクリと瞬きをした。
そして、すぐにニヤリと口角を上げた。
「なるほど。デートというのは、現地視察(デューデリジェンス)のことでしたか」
「正解だ。君なら、この山の『真の価値』を見抜けると思ってな」
「ふふ、ロマンチックな口説き文句ですわね」
私はドレスの裾をまくり上げ、持参した『鑑定用ルーペ』と『地質調査ハンマー』を取り出した。
「いいでしょう。金貨一千枚分の仕事はさせていただきます」
私たちは坑道の中へと足を踏み入れた。
薄暗い坑道内は湿っぽく、決して快適とは言えない。
しかし、私の目は輝いていた。
「ここ、銀山として売り出されているのですね?」
「ああ。だが、近年は産出量が激減し、ただの石ころの山だと笑われている」
「……ふむ」
私は壁面の岩肌をハンマーで軽く叩き、剥がれ落ちた欠片をルーペで覗き込んだ。
そして、舌なめずりをする。
「シリル閣下。これ、買いですわ」
「ほう? 銀が出るのか?」
「いいえ。銀はもう枯渇しています。ですが……ここに含まれているのは『魔導石(マナ・ストーン)』の原石です」
「なに?」
シリルが目を見開く。
「含有量は微量ですが、質が高い。精製すれば、魔導具のコアとして高値で取引されます。しかも、この岩盤の層……地下深くには、さらに巨大な鉱脈が眠っている可能性があります」
「……なるほど。所有者はそれに気づいていないのか」
「ええ。単なる不純物の多い銀鉱石だと思っているのでしょう。二束三文で手放そうとしているはずです」
私は電卓を叩いた。
「提示価格の十分の一……いや、さらに買い叩いて二十分の一で買収しましょう。『ゴミ山を処分してやる』と恩を売れば、向こうも喜んで契約書にサインしますわ」
「くくく……悪魔的だな」
「ビジネスと言ってください。……あ、あそこ! 見てくださいシリル閣下!」
私は坑道の奥を指差した。
そこには、キラキラと光る結晶の塊が露出していた。
「素晴らしい……! あれだけで金貨五千枚にはなりますわ!」
私は思わず駆け寄り、その結晶に頬ずりをした。
「愛しい……なんて美しい輝きなの。あなたたち、私が綺麗に加工して、高値で売り飛ばしてあげるからね」
「……君、私に向けたことのないような熱い視線を石に向けているな」
背後でシリルが呆れた声を出したが、今の私には石の輝きしか見えていない。
「シリル閣下! この山、絶対に買いましょう! 私が共同出資しても構いませんことよ!」
「いや、私の単独出資にする。君を噛ませると、利益の九割を持っていかれそうだからな」
「ちっ、バレましたか」
私が舌打ちをすると、シリルが近づいてきた。
そして、不意に私の腰に手を回し、引き寄せた。
「え?」
顔が近づく。
薄暗い坑道の中で、彼の蒼い瞳が妖しく光る。
「……だが、君のその鑑定眼は素晴らしい。やはり君は、私の隣に置くにふさわしい」
「そ、それはどうも」
「どうだ? この山を買い取ったら、その管理を君に任せようか? 報酬は……そうだな」
彼は私の耳元で囁いた。
「『私の婚約者』という肩書きと、この山の採掘権の半分で」
ドキン。
心臓が跳ねた。
採掘権の半分……!
つまり、この山から出る利益の半分が、何もしなくても私の懐に入ってくるということ!?
「……結婚、前提ですか?」
「ああ。君以外の女と結婚しても、退屈で死にそうだからな」
これは、実質的なプロポーズだ。
普通の令嬢なら、顔を赤らめて「はい」と答える場面だろう。
しかし、私はグラッセ・ド・ラズベリー。
即座に脳内で損益分岐点を計算する。
(公爵夫人になれば社会的地位は向上。しかし、自由な商売活動に制限がかかる可能性あり。さらに、彼の資産管理までするとなると労働過多……)
私は彼の手をそっと押し返した。
「……魅力的なオファーですが、保留で」
「即決ではないのか?」
「条件の精査が必要です。特に『婚約者』という契約内容について。私が自由に商売を続けられるか、そして家庭内での財布の紐は誰が握るのか。その辺りを明確にしてからでないと、サインはできません」
シリルは一瞬きょとんとし、それから坑道が揺れるほどの大爆笑をした。
「ははははっ! そうだ、そうでなくては! 金や地位に靡(なび)かない、その強欲さこそが君だ!」
彼は涙を拭いながら、私の頭をポンと撫でた。
「いいだろう。契約内容は追って詰めよう。今日はとりあえず、この山の買収計画を立てるとしようか」
「はい! まずは売主の弱点を探るところから始めましょう!」
私たちは顔を見合わせて悪い笑みを浮かべた。
坑道の外に出ると、夕日が沈みかけていた。
荒涼とした風景だが、私にはそこが「黄金郷」に見えた。
「ああ、楽しかった。最高のデートでしたわ、シリル閣下」
「それはよかった。……しかし、君のドレス、煤(すす)だらけだぞ」
「あら、本当。……クリーニング代、経費で落ちますよね?」
「……領収書を回しておけ」
私たちは並んで馬車へと歩き出した。
手をつないではいない。
甘い言葉も交わしていない。
けれど、私たちの間には確かに、「共犯者」としての固い絆(と金銭的な信頼関係)が芽生えていた。
……まあ、それはそれとして。
「あ、帰りにあの結晶、一つ持って帰ってもいいですか? サンプルとして」
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