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「大変です、お嬢様! 街で『謎の疫病』が流行っていると大騒ぎになっております!」
早朝、執事長が血相を変えて執務室に飛び込んできた。
私は焼きたてのクロワッサン(バターたっぷりの高級品)を口に運びながら、冷静に新聞を広げた。
「疫病? 保健局からの通達は来ていませんが」
「いえ、公的な発表ではなく、噂なのです! なんでも『悪役令嬢の呪い病』と呼ばれておりまして……」
「……なんですって?」
私は新聞を置き、眉をひそめた。
「症状は? 高熱? 発疹?」
「それが……『急に金遣いが荒くなる』『性格が悪くなる』『ピンク色のものを見ると吐き気がする』といった症状だそうで」
「……ハッ」
私は鼻で笑った。
「なるほど。随分と都合の良い病気ですね。特に最後の一つなんて、特定の人物(ピンク髪のあの方)への嫌悪感が具現化しただけでは?」
「しかし、市民はパニックになっております! 『グラッセ様の屋敷から毒気が流れてきているせいだ』というデマまで流れており、屋敷の前に抗議デモが集まりつつあります!」
窓の外を見ると、確かにプラカードを持った市民たちが集まっているのが見えた。
『魔女グラッセを出せ!』『呪いを解け!』
扇動されている。誰かが意図的に不安を煽り、私を悪者に仕立て上げようとしているのだ。
犯人は明白。
ミナ、そしてその背後にいるアラン王子一派だろう。
「低俗なネガティブ・キャンペーンね。私の信用を落として、商売を妨害する気かしら」
「いかがなさいましょう? 私設警備隊を出動させて蹴散らしますか?」
「いいえ。暴力で解決すれば、それこそ『悪女』の汚名を着るだけです」
私は優雅にクロワッサンを飲み込み、ナプキンで口を拭った。
そこに、いつものようにシリルがひょっこりと現れる。
「やあ、グラッセ。外は賑やかだな。君がついに『魔女』として火刑にされると聞いて、特等席で見物に来たよ」
「悪趣味な冗談はおやめください、シリル閣下。……ですが、ちょうどいいところに」
私はニヤリと笑った。
「ピンチはチャンス。デマは金(マネー)。――この騒動、利用させていただきます」
***
数時間後。
王都の中央広場には、不安に駆られた市民たちが溢れかえっていた。
「怖いよぉ、呪い病にかかったらどうしよう」
「隣の奥さんが、急に旦那のヘソクリを見つけて没収したらしい。あれも呪いだ!」
混沌とする広場に、突如として巨大な特設ステージが出現した。
そして、ファンファーレと共に現れたのは、白衣(に見える白いドレス)を身に纏った私、グラッセだ。
「市民の皆様! 静粛に!」
私が拡声魔道具を使って叫ぶと、群衆がざわめきながら注目する。
「出たぞ! 悪女グラッセだ!」
「石を投げろ!」
殺気立つ市民たち。しかし、私は両手を広げてそれを制した。
「皆様、恐れることはありません! 巷で噂の『呪い病』……その原因を、私グラッセ・ド・ラズベリーが解明いたしました!」
「な、なんだと!?」
「原因は呪いなどではありません! それは……『慢性的な栄養不足』と『ストレス』による自律神経の乱れです!」
シーン、と広場が静まり返る。
「え? 栄養不足?」
「そう! 最近の不景気で、皆様はちゃんとした食事を摂れていないのではありませんか? 体が弱れば心も弱る。それが『イライラ』や『金銭への執着』として現れているだけなのです!」
私はもっともらしい嘘(いや、あながち嘘でもない医学的見解)を並べ立てた。
そして、背後の幕をバサッと下ろす。
そこには、山積みにされた琥珀色の小瓶があった。
「そこで! 私が開発した特効薬……その名も『グラッセ・ドリンク』をご紹介いたします!」
「と、特効薬!?」
「厳選された薬草、ローヤルゼリー、そして『私の愛(という名の高麗人参)』を配合した、滋養強壮の決定版! これを飲めば、体の毒素が抜け、呪い(ストレス)も吹き飛びます!」
市民たちがゴクリと唾を飲む。
「ほ、本当か?」
「いくらなんだ?」
私はニッコリと微笑み、指を三本立てた。
「通常価格、一本金貨一枚ですが……」
「た、高い!」
「本日に限り! この騒動を憂う私の慈悲により! なんと銀貨五枚! 銀貨五枚でご提供いたします!」
「おぉぉっ! 安い!(錯覚)」
「さらに! 今なら三本まとめ買いで、『魔除けのグラッセ・ブロマイド』をお付けします!」
「いらねぇ!(一部マニアを除く)」
「さあ、数に限りがございます! 命を守りたい方は、こちらへお並びください!」
次の瞬間、広場は戦場と化した。
「くれ! 俺に売ってくれ!」
「私にも!」
「呪いを解きたいんだ!」
市民たちが我先にと売り場に殺到する。
飛ぶように売れる『グラッセ・ドリンク』。
実はこれ、実家の倉庫に余っていた「期限切れ間近の栄養ドリンク」のラベルを張り替えただけのものである。原価は一本銅貨数枚。
それを銀貨五枚で売る。利益率は数千パーセントだ。
ステージの裏で、私は積み上がる銀貨の山を見て、高笑いが止まらなかった。
「おーっほっほ! 売れる! 売れるわ! 恐怖こそが最高のスパイスね!」
「……君は、本当に商売の悪魔だな」
手伝わされていたシリル(売り子担当)が、呆れ顔で汗を拭っている。
「人聞きの悪い。これは人助けです。プラシーボ効果をご存じない? 『効く』と思って飲めば、ただの砂糖水でも元気になるのです」
「まあ、確かに中身はただの栄養剤だから害はないだろうが……」
その時。
人混みをかき分けて、ピンク色の髪の少女が突撃してきた。
「ちょっと! 何してるのよ!」
ミナだ。その後ろには、やつれたアラン王子もいる。
「なによこれ! 『呪い病』はあなたのせいなのよ!? なんであなたが薬を売って儲けてるのよ!」
ミナは地団駄を踏んで悔しがった。
「私がせっかく広めた噂が……じゃなくて! みんな騙されないで! その薬はインチキよ!」
ミナが叫ぶが、元気になった(と思い込んだ)市民たちは聞く耳を持たない。
「うるさいぞ嬢ちゃん! 俺はこのドリンクのおかげで腰痛が治ったんだ!」
「私も、なんだか肌の調子がいいのよ!」
「グラッセ様万歳!」
「くっ……! なんでよぉ!」
ミナが涙目になる。
私はステージの上から、彼女を見下ろした。
「ミナ様。マーケティングの基本をお教えしましょうか? 『不安』を煽れば煽るほど、人は『救い』を求めて財布の紐を緩めるのです。あなたの流したデマのおかげで、私の在庫一掃セールは大成功ですわ。感謝します」
「きぃぃぃっ! 覚えてなさいよグラッセ!」
ミナは悔し紛れに、私のブロマイド(特典)を破り捨てて走り去った。
アラン王子は……というと。
「あの……グラッセ。そのドリンク、僕にも一本……ツケで……」
「現金のみです。お引き取りを」
「ううっ……」
王子もしょんぼりと肩を落として去っていった。
夕暮れ時。
完売御礼の札を掲げ、私はシリルと共に屋敷へ戻った。
「本日の売上、銀貨五十万枚。純利益、四十九万枚。……ボロい商売でしたわ」
「全くだ。……しかし、ミナも懲りないな。次は何をしてくるやら」
「さあ? 何が来ても、全て私の利益に変換して差し上げますわ」
私は夕日に輝くコインを指先で弾いた。
王都を揺るがした「疫病騒ぎ」は、こうして私の懐を温めるだけのイベントとして幕を閉じたのである。
だが。
この時の私はまだ気づいていなかった。
シリルとの関係が深まるにつれ、隣国――ノワール帝国の方からも、厄介な(そして金になりそうな)視線が向けられていることに。
早朝、執事長が血相を変えて執務室に飛び込んできた。
私は焼きたてのクロワッサン(バターたっぷりの高級品)を口に運びながら、冷静に新聞を広げた。
「疫病? 保健局からの通達は来ていませんが」
「いえ、公的な発表ではなく、噂なのです! なんでも『悪役令嬢の呪い病』と呼ばれておりまして……」
「……なんですって?」
私は新聞を置き、眉をひそめた。
「症状は? 高熱? 発疹?」
「それが……『急に金遣いが荒くなる』『性格が悪くなる』『ピンク色のものを見ると吐き気がする』といった症状だそうで」
「……ハッ」
私は鼻で笑った。
「なるほど。随分と都合の良い病気ですね。特に最後の一つなんて、特定の人物(ピンク髪のあの方)への嫌悪感が具現化しただけでは?」
「しかし、市民はパニックになっております! 『グラッセ様の屋敷から毒気が流れてきているせいだ』というデマまで流れており、屋敷の前に抗議デモが集まりつつあります!」
窓の外を見ると、確かにプラカードを持った市民たちが集まっているのが見えた。
『魔女グラッセを出せ!』『呪いを解け!』
扇動されている。誰かが意図的に不安を煽り、私を悪者に仕立て上げようとしているのだ。
犯人は明白。
ミナ、そしてその背後にいるアラン王子一派だろう。
「低俗なネガティブ・キャンペーンね。私の信用を落として、商売を妨害する気かしら」
「いかがなさいましょう? 私設警備隊を出動させて蹴散らしますか?」
「いいえ。暴力で解決すれば、それこそ『悪女』の汚名を着るだけです」
私は優雅にクロワッサンを飲み込み、ナプキンで口を拭った。
そこに、いつものようにシリルがひょっこりと現れる。
「やあ、グラッセ。外は賑やかだな。君がついに『魔女』として火刑にされると聞いて、特等席で見物に来たよ」
「悪趣味な冗談はおやめください、シリル閣下。……ですが、ちょうどいいところに」
私はニヤリと笑った。
「ピンチはチャンス。デマは金(マネー)。――この騒動、利用させていただきます」
***
数時間後。
王都の中央広場には、不安に駆られた市民たちが溢れかえっていた。
「怖いよぉ、呪い病にかかったらどうしよう」
「隣の奥さんが、急に旦那のヘソクリを見つけて没収したらしい。あれも呪いだ!」
混沌とする広場に、突如として巨大な特設ステージが出現した。
そして、ファンファーレと共に現れたのは、白衣(に見える白いドレス)を身に纏った私、グラッセだ。
「市民の皆様! 静粛に!」
私が拡声魔道具を使って叫ぶと、群衆がざわめきながら注目する。
「出たぞ! 悪女グラッセだ!」
「石を投げろ!」
殺気立つ市民たち。しかし、私は両手を広げてそれを制した。
「皆様、恐れることはありません! 巷で噂の『呪い病』……その原因を、私グラッセ・ド・ラズベリーが解明いたしました!」
「な、なんだと!?」
「原因は呪いなどではありません! それは……『慢性的な栄養不足』と『ストレス』による自律神経の乱れです!」
シーン、と広場が静まり返る。
「え? 栄養不足?」
「そう! 最近の不景気で、皆様はちゃんとした食事を摂れていないのではありませんか? 体が弱れば心も弱る。それが『イライラ』や『金銭への執着』として現れているだけなのです!」
私はもっともらしい嘘(いや、あながち嘘でもない医学的見解)を並べ立てた。
そして、背後の幕をバサッと下ろす。
そこには、山積みにされた琥珀色の小瓶があった。
「そこで! 私が開発した特効薬……その名も『グラッセ・ドリンク』をご紹介いたします!」
「と、特効薬!?」
「厳選された薬草、ローヤルゼリー、そして『私の愛(という名の高麗人参)』を配合した、滋養強壮の決定版! これを飲めば、体の毒素が抜け、呪い(ストレス)も吹き飛びます!」
市民たちがゴクリと唾を飲む。
「ほ、本当か?」
「いくらなんだ?」
私はニッコリと微笑み、指を三本立てた。
「通常価格、一本金貨一枚ですが……」
「た、高い!」
「本日に限り! この騒動を憂う私の慈悲により! なんと銀貨五枚! 銀貨五枚でご提供いたします!」
「おぉぉっ! 安い!(錯覚)」
「さらに! 今なら三本まとめ買いで、『魔除けのグラッセ・ブロマイド』をお付けします!」
「いらねぇ!(一部マニアを除く)」
「さあ、数に限りがございます! 命を守りたい方は、こちらへお並びください!」
次の瞬間、広場は戦場と化した。
「くれ! 俺に売ってくれ!」
「私にも!」
「呪いを解きたいんだ!」
市民たちが我先にと売り場に殺到する。
飛ぶように売れる『グラッセ・ドリンク』。
実はこれ、実家の倉庫に余っていた「期限切れ間近の栄養ドリンク」のラベルを張り替えただけのものである。原価は一本銅貨数枚。
それを銀貨五枚で売る。利益率は数千パーセントだ。
ステージの裏で、私は積み上がる銀貨の山を見て、高笑いが止まらなかった。
「おーっほっほ! 売れる! 売れるわ! 恐怖こそが最高のスパイスね!」
「……君は、本当に商売の悪魔だな」
手伝わされていたシリル(売り子担当)が、呆れ顔で汗を拭っている。
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「まあ、確かに中身はただの栄養剤だから害はないだろうが……」
その時。
人混みをかき分けて、ピンク色の髪の少女が突撃してきた。
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ミナだ。その後ろには、やつれたアラン王子もいる。
「なによこれ! 『呪い病』はあなたのせいなのよ!? なんであなたが薬を売って儲けてるのよ!」
ミナは地団駄を踏んで悔しがった。
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ミナが叫ぶが、元気になった(と思い込んだ)市民たちは聞く耳を持たない。
「うるさいぞ嬢ちゃん! 俺はこのドリンクのおかげで腰痛が治ったんだ!」
「私も、なんだか肌の調子がいいのよ!」
「グラッセ様万歳!」
「くっ……! なんでよぉ!」
ミナが涙目になる。
私はステージの上から、彼女を見下ろした。
「ミナ様。マーケティングの基本をお教えしましょうか? 『不安』を煽れば煽るほど、人は『救い』を求めて財布の紐を緩めるのです。あなたの流したデマのおかげで、私の在庫一掃セールは大成功ですわ。感謝します」
「きぃぃぃっ! 覚えてなさいよグラッセ!」
ミナは悔し紛れに、私のブロマイド(特典)を破り捨てて走り去った。
アラン王子は……というと。
「あの……グラッセ。そのドリンク、僕にも一本……ツケで……」
「現金のみです。お引き取りを」
「ううっ……」
王子もしょんぼりと肩を落として去っていった。
夕暮れ時。
完売御礼の札を掲げ、私はシリルと共に屋敷へ戻った。
「本日の売上、銀貨五十万枚。純利益、四十九万枚。……ボロい商売でしたわ」
「全くだ。……しかし、ミナも懲りないな。次は何をしてくるやら」
「さあ? 何が来ても、全て私の利益に変換して差し上げますわ」
私は夕日に輝くコインを指先で弾いた。
王都を揺るがした「疫病騒ぎ」は、こうして私の懐を温めるだけのイベントとして幕を閉じたのである。
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この時の私はまだ気づいていなかった。
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