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「……嫌がらせかしら?」
ラズベリー公爵邸の朝食の席で、私は銀のトレイに乗せられた一通の封筒を睨みつけていた。
金箔をあしらった豪華な封筒。王家の紋章入り。
中身を見るまでもない。王家主催の舞踏会への招待状だ。
「どうしました、お嬢様。眉間の皺が深すぎて、おでこに『¥』マークが浮き出ておりますよ」
執事長がコーヒーを注ぎながら指摘する。
「うるさいわね。……見て、これ。来週末に『建国記念舞踏会』を開催するんですって」
私は封筒を指先で弾いた。
「今の王家の財政状況で、よくそんな無駄金があるわね。私の予想では、借金を重ねて開催する『見栄っ張りパーティー』よ」
「しかし、全貴族に招集がかかっております。欠席すれば、公爵家の対面に関わりますが」
「対面? そんなものでパンが買える?」
私は鼻で笑ったが、ふと電卓を取り出した。
「……待って。全貴族が集まるということは、王都中の富裕層が一堂に会するということよね?」
「はい、左様でございます」
「つまり、そこは巨大な『見本市(トレード・ショー)』会場ということじゃない!」
私の脳内で、計算機が高速回転を始めた。
最近立ち上げた『国境ハイウェイ事業』の出資者募集。
『悪役令嬢コンサルタント』の新規会員獲得。
そして、在庫が余っている『謎の壺』の処分。
「……行けるわ。参加費(ドレス代など)を差し引いても、十分な黒字が見込める」
私はガバッと立ち上がった。
「執事長! 出席よ! 最高に目立つドレスを用意して! 背中に『広告募集中』って刺繍を入れてもいいくらいよ!」
「それはおやめください(切実)」
「あと、エスコート役が必要ね。……あそこ暇そうにしている『最高級物件』を呼んで」
私は窓の外、庭で優雅に素振りをしている(暇人な)隣国の公爵に目を向けた。
***
「……君は、私をなんだと思っているんだ?」
数分後。
汗を拭きながら現れたシリル・ヴァン・ノワール公爵は、私の提案を聞いて呆れ顔をした。
「なんだとは? 『歩く宝石箱』兼『最高の広告塔』ですが」
私は契約書(エスコート依頼書)を差し出した。
「来週の舞踏会、私のパートナーとして同行してください。報酬は、会場で配る『ハイウェイ事業』のパンフレット配布の手数料込みで、ディナーのステーキ一枚です」
「……安いな。私の時給を知っているか?」
「あら、嫌なら結構ですわ。代わりに、あの『ガストン団長』にお願いしますから。彼はステーキ一枚で尻尾を振って喜びますよ」
「……断る。あの暑苦しい筋肉ダルマと君が並ぶ姿など、想像しただけで吐き気がする」
シリルは不機嫌そうに契約書をひったくった。
「いいだろう、引き受けよう。ただし、条件がある」
「また条件? お金なら出しませんよ」
「金はいらない。……当日の衣装は、私が用意したもの着ろ」
シリルはニヤリと笑った。
「君は普段、機能性重視(と称した安物)ばかり着ているからな。私の隣を歩くなら、それなりの格好をしてもらわないと困る」
「……タダで?」
「ああ。プレゼントだ」
「商談成立です! 返品不可ですからね!」
私は即答した。タダより高いものはないと言うが、タダより安いものもない。
***
そして、舞踏会の当日。
王城のダンスホールは、着飾った貴族たちで埋め尽くされていた。
誰もが、今日の主役は自分だと言わんばかりに煌びやかな衣装を纏っている。
しかし。
「……おい、見たか?」
「あ、あれは……」
入り口の扉が開いた瞬間、会場の空気が一変した。
ざわめきが静まり返り、全員の視線が一点に集中する。
そこに立っていたのは、私とシリルだ。
シリルは漆黒のタキシード。その襟には、国境の鉱山で採れた最高級の『黒魔導石』がブローチとして輝いている。
そして私は。
「……重い」
小声で文句を言う。
シリルが用意したドレスは、深紅のベルベット生地に、これでもかというほどの金糸の刺繍、そして裾には無数のダイヤモンドが散りばめられた、まさに『動く国家予算』のような代物だった。
「我慢しろ。君の美しさを引き立てるには、これくらいの輝きが必要だ」
シリルが涼しい顔で私の腰に手を回す。
「さあ、行こうか。『最高値のカップル』のお出ましだ」
私たちはレッドカーペットを歩き出した。
ヒールの音が響くたび、貴族たちが波のように割れて道を作る。
「なんて美しい……」
「隣国の公爵様と、ラズベリー家の悪女……いや、才女か」
「あのドレス、いくらするんだ?」
羨望と嫉妬、そして計算高い視線が突き刺さる。快感だ。
「皆様、見ていらっしゃいますわ。シリル閣下、もっと胸を張って。あなたの胸元のブローチがよく見えるように」
「君は……こんな時まで商品の宣伝か?」
「当然です。あのブローチ、今日のお披露目でトレンド入り間違いなしですわ。明日の朝には注文が殺到します」
私は優雅に微笑みながら、すれ違う貴族たちに目配せをした。
(あら、あそこの伯爵夫人、ネックレスを見てるわね。……よし、後で商談を持ちかけよう)
(向こうの商会長、シリルのタキシードの生地をチェックしてる。……サンプルを送っておこう)
私が脳内で電卓を叩いていると、会場の中央から不機嫌そうな声が飛んできた。
「……目立ちすぎだぞ、グラッセ」
アラン王子だ。
隣には、今日もピンク色のドレスを着たミナがいる。
王子は以前より少し顔色は良くなっていたが(私のコンサル通り、同情票で食料の差し入れが増えたらしい)、私を見る目は憎しみに満ちている。
「招待してやったのに、主役である僕たちより目立つとは、どういう了見だ!」
「あら、申し訳ありません。素材の『質』が違いすぎて、輝きを隠せませんでしたわ」
私は扇で口元を隠して笑った。
「なっ……!」
ミナが一歩進み出る。
「ふんっ! ドレスが綺麗なだけじゃない! 中身は真っ黒な守銭奴のくせに!」
ミナは私のドレスをねめつけるように見た。
「それに、そのドレス……シリル様のプレゼントでしょう? 自分のお金じゃないなんて、プライドがないんですか?」
痛いところを突いてくる。
しかし、私は動じない。
「ええ、頂き物です。ですがミナ様、これは『投資』です」
「投資?」
「シリル閣下は、私という『素材』に投資をしたのです。そして私は、その投資に見合う『広告効果』で返済する。健全なビジネスパートナーの関係です」
私はシリルの腕に手を添え、見せつけるように寄り添った。
「あなたたちのように、一方的に搾取し合う『寄生関係』とは違いますのよ?」
「き、寄生……!?」
アラン王子とミナが顔を真っ赤にする。
シリルが私の耳元で吹き出した。
「……君、本当に口が減らないな」
「減るのは在庫だけで十分です」
その時。
音楽が変わり、ワルツの調べが流れ始めた。
ファーストダンスの時間だ。
本来なら王族であるアラン王子たちが踊るべきところだが、シリルがスッと私に手を差し出した。
「踊ろうか、マイ・レディ。……このドレスの『耐久テスト』も兼ねて」
「耐久テスト? 破れたら弁償しませんよ?」
「構わない。さあ」
私たちはホールの中心へと滑り出した。
優雅な旋律に合わせて、ステップを踏む。
シリルのリードは完璧だった。まるで私が羽毛になったかのように、軽やかに回される。
「……意外と上手ですね」
「君こそ。計算高い頭の割に、体は軽い」
「ドレスが重いので、遠心力を利用しているだけです」
くるくると回りながら、私たちは視線を交わす。
周囲の貴族たちがため息をついて見とれているのがわかる。
今、この瞬間、私たちは間違いなく世界で一番美しく、そして『高価』なカップルだった。
だが。
曲が終わろうとしたその時。
会場の入り口から、ドカドカと足音が響き、不穏な空気が流れ込んできた。
「そこまでだ!!」
野太い声。
音楽が止まる。
現れたのは、鎧を着た一団。
しかし、近衛騎士団(ガストン団長)ではない。
見慣れない紋章……あれは、隣国・帝国軍の『反乱分子』の旗印!?
「シリル・ヴァン・ノワール! 貴様を国家反逆罪で拘束する!」
先頭に立つ男が剣を抜き、シリルに向けた。
会場が悲鳴に包まれる。
「……やれやれ」
シリルは私を抱き寄せたまま、冷ややかな目で男たちを見た。
「せっかくの商談(ダンス)の邪魔をするとは。……高くつくぞ?」
私も扇をパチリと閉じた。
「ええ。営業妨害ですわ。……損害賠償、きっちり請求させていただきます」
優雅な舞踏会は一転、修羅場(と集金)のステージへと変わろうとしていた。
ラズベリー公爵邸の朝食の席で、私は銀のトレイに乗せられた一通の封筒を睨みつけていた。
金箔をあしらった豪華な封筒。王家の紋章入り。
中身を見るまでもない。王家主催の舞踏会への招待状だ。
「どうしました、お嬢様。眉間の皺が深すぎて、おでこに『¥』マークが浮き出ておりますよ」
執事長がコーヒーを注ぎながら指摘する。
「うるさいわね。……見て、これ。来週末に『建国記念舞踏会』を開催するんですって」
私は封筒を指先で弾いた。
「今の王家の財政状況で、よくそんな無駄金があるわね。私の予想では、借金を重ねて開催する『見栄っ張りパーティー』よ」
「しかし、全貴族に招集がかかっております。欠席すれば、公爵家の対面に関わりますが」
「対面? そんなものでパンが買える?」
私は鼻で笑ったが、ふと電卓を取り出した。
「……待って。全貴族が集まるということは、王都中の富裕層が一堂に会するということよね?」
「はい、左様でございます」
「つまり、そこは巨大な『見本市(トレード・ショー)』会場ということじゃない!」
私の脳内で、計算機が高速回転を始めた。
最近立ち上げた『国境ハイウェイ事業』の出資者募集。
『悪役令嬢コンサルタント』の新規会員獲得。
そして、在庫が余っている『謎の壺』の処分。
「……行けるわ。参加費(ドレス代など)を差し引いても、十分な黒字が見込める」
私はガバッと立ち上がった。
「執事長! 出席よ! 最高に目立つドレスを用意して! 背中に『広告募集中』って刺繍を入れてもいいくらいよ!」
「それはおやめください(切実)」
「あと、エスコート役が必要ね。……あそこ暇そうにしている『最高級物件』を呼んで」
私は窓の外、庭で優雅に素振りをしている(暇人な)隣国の公爵に目を向けた。
***
「……君は、私をなんだと思っているんだ?」
数分後。
汗を拭きながら現れたシリル・ヴァン・ノワール公爵は、私の提案を聞いて呆れ顔をした。
「なんだとは? 『歩く宝石箱』兼『最高の広告塔』ですが」
私は契約書(エスコート依頼書)を差し出した。
「来週の舞踏会、私のパートナーとして同行してください。報酬は、会場で配る『ハイウェイ事業』のパンフレット配布の手数料込みで、ディナーのステーキ一枚です」
「……安いな。私の時給を知っているか?」
「あら、嫌なら結構ですわ。代わりに、あの『ガストン団長』にお願いしますから。彼はステーキ一枚で尻尾を振って喜びますよ」
「……断る。あの暑苦しい筋肉ダルマと君が並ぶ姿など、想像しただけで吐き気がする」
シリルは不機嫌そうに契約書をひったくった。
「いいだろう、引き受けよう。ただし、条件がある」
「また条件? お金なら出しませんよ」
「金はいらない。……当日の衣装は、私が用意したもの着ろ」
シリルはニヤリと笑った。
「君は普段、機能性重視(と称した安物)ばかり着ているからな。私の隣を歩くなら、それなりの格好をしてもらわないと困る」
「……タダで?」
「ああ。プレゼントだ」
「商談成立です! 返品不可ですからね!」
私は即答した。タダより高いものはないと言うが、タダより安いものもない。
***
そして、舞踏会の当日。
王城のダンスホールは、着飾った貴族たちで埋め尽くされていた。
誰もが、今日の主役は自分だと言わんばかりに煌びやかな衣装を纏っている。
しかし。
「……おい、見たか?」
「あ、あれは……」
入り口の扉が開いた瞬間、会場の空気が一変した。
ざわめきが静まり返り、全員の視線が一点に集中する。
そこに立っていたのは、私とシリルだ。
シリルは漆黒のタキシード。その襟には、国境の鉱山で採れた最高級の『黒魔導石』がブローチとして輝いている。
そして私は。
「……重い」
小声で文句を言う。
シリルが用意したドレスは、深紅のベルベット生地に、これでもかというほどの金糸の刺繍、そして裾には無数のダイヤモンドが散りばめられた、まさに『動く国家予算』のような代物だった。
「我慢しろ。君の美しさを引き立てるには、これくらいの輝きが必要だ」
シリルが涼しい顔で私の腰に手を回す。
「さあ、行こうか。『最高値のカップル』のお出ましだ」
私たちはレッドカーペットを歩き出した。
ヒールの音が響くたび、貴族たちが波のように割れて道を作る。
「なんて美しい……」
「隣国の公爵様と、ラズベリー家の悪女……いや、才女か」
「あのドレス、いくらするんだ?」
羨望と嫉妬、そして計算高い視線が突き刺さる。快感だ。
「皆様、見ていらっしゃいますわ。シリル閣下、もっと胸を張って。あなたの胸元のブローチがよく見えるように」
「君は……こんな時まで商品の宣伝か?」
「当然です。あのブローチ、今日のお披露目でトレンド入り間違いなしですわ。明日の朝には注文が殺到します」
私は優雅に微笑みながら、すれ違う貴族たちに目配せをした。
(あら、あそこの伯爵夫人、ネックレスを見てるわね。……よし、後で商談を持ちかけよう)
(向こうの商会長、シリルのタキシードの生地をチェックしてる。……サンプルを送っておこう)
私が脳内で電卓を叩いていると、会場の中央から不機嫌そうな声が飛んできた。
「……目立ちすぎだぞ、グラッセ」
アラン王子だ。
隣には、今日もピンク色のドレスを着たミナがいる。
王子は以前より少し顔色は良くなっていたが(私のコンサル通り、同情票で食料の差し入れが増えたらしい)、私を見る目は憎しみに満ちている。
「招待してやったのに、主役である僕たちより目立つとは、どういう了見だ!」
「あら、申し訳ありません。素材の『質』が違いすぎて、輝きを隠せませんでしたわ」
私は扇で口元を隠して笑った。
「なっ……!」
ミナが一歩進み出る。
「ふんっ! ドレスが綺麗なだけじゃない! 中身は真っ黒な守銭奴のくせに!」
ミナは私のドレスをねめつけるように見た。
「それに、そのドレス……シリル様のプレゼントでしょう? 自分のお金じゃないなんて、プライドがないんですか?」
痛いところを突いてくる。
しかし、私は動じない。
「ええ、頂き物です。ですがミナ様、これは『投資』です」
「投資?」
「シリル閣下は、私という『素材』に投資をしたのです。そして私は、その投資に見合う『広告効果』で返済する。健全なビジネスパートナーの関係です」
私はシリルの腕に手を添え、見せつけるように寄り添った。
「あなたたちのように、一方的に搾取し合う『寄生関係』とは違いますのよ?」
「き、寄生……!?」
アラン王子とミナが顔を真っ赤にする。
シリルが私の耳元で吹き出した。
「……君、本当に口が減らないな」
「減るのは在庫だけで十分です」
その時。
音楽が変わり、ワルツの調べが流れ始めた。
ファーストダンスの時間だ。
本来なら王族であるアラン王子たちが踊るべきところだが、シリルがスッと私に手を差し出した。
「踊ろうか、マイ・レディ。……このドレスの『耐久テスト』も兼ねて」
「耐久テスト? 破れたら弁償しませんよ?」
「構わない。さあ」
私たちはホールの中心へと滑り出した。
優雅な旋律に合わせて、ステップを踏む。
シリルのリードは完璧だった。まるで私が羽毛になったかのように、軽やかに回される。
「……意外と上手ですね」
「君こそ。計算高い頭の割に、体は軽い」
「ドレスが重いので、遠心力を利用しているだけです」
くるくると回りながら、私たちは視線を交わす。
周囲の貴族たちがため息をついて見とれているのがわかる。
今、この瞬間、私たちは間違いなく世界で一番美しく、そして『高価』なカップルだった。
だが。
曲が終わろうとしたその時。
会場の入り口から、ドカドカと足音が響き、不穏な空気が流れ込んできた。
「そこまでだ!!」
野太い声。
音楽が止まる。
現れたのは、鎧を着た一団。
しかし、近衛騎士団(ガストン団長)ではない。
見慣れない紋章……あれは、隣国・帝国軍の『反乱分子』の旗印!?
「シリル・ヴァン・ノワール! 貴様を国家反逆罪で拘束する!」
先頭に立つ男が剣を抜き、シリルに向けた。
会場が悲鳴に包まれる。
「……やれやれ」
シリルは私を抱き寄せたまま、冷ややかな目で男たちを見た。
「せっかくの商談(ダンス)の邪魔をするとは。……高くつくぞ?」
私も扇をパチリと閉じた。
「ええ。営業妨害ですわ。……損害賠償、きっちり請求させていただきます」
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