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第一部:本編
90:スタンピード
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二人のギルド証が無事にできるか不安だったけど無事に正式な物を受けとる事ができた。
「エルツ君の魔力に波長が似てるけど、魔石を通しているからか全く同じではないし、二人の魔力が同じなのは、同性の双子だとありえる事だから大丈夫大丈夫」
真新しいギルド証を二人に渡しながら笑うギルドマスターの言葉にホッとしたのは言うまでもない。
「ギルド証ももらえたし、こいつらの扱いは人間として扱ってもいいよな?」
「とりあえず魔石さえ見せなければ人間と変わらないらしいしね。破損したり、服さえ脱がなければいいんじゃない?」
判断がアバウトだ……一応モンスターなのにいいんだそれで。
ゆるい二人のやり取りに、冒険者ギルドって、いろいろ規律があって、その中で冒険者も自由に振る舞っていると思ってたんだけど……ギルドマスター秘密の宝物情報含め、世の中知らない方がいいこともあるんだと思う。
……ちょっと複雑。組織ってズルい。
「さて、ヘルトの用事はこれでおわりかな?」
「ん? そうだな」
「じゃあ、ここからは私から協力願いを出したい」
楽しげに話していたギルドマスターの雰囲気が真剣なものへと変わる。
「数日前、他の町の冒険者ギルドから報告が入った。スタンピードの予兆と思われるモンスターが地上に現れていると」
その言葉に僕は息を飲み、ヘルトさんは視線を鋭くする。
「すでに地上に異変があるってことは、未発見のダンジョンか」
「そうだね。おそらくは、洞窟などの環境ダンジョンだろう。もしかしたら、地上の森へも干渉しているかもしれない」
環境ダンジョン。それは、人工ダンジョンとは違い、自然らしい環境のままにモンスターが出るダンジョンの事だ。
宝箱も出現するが環境ダンジョンの強みはそこではなく、豊富な薬草や鉱石などが獲れる事だ。
普通の森や鉱山と違って、資源が絶えず採ることができるので初心者や初級冒険者、堅実に稼ぎたい中級冒険者などで賑わっているらしい。
だけど、今回は未発見ダンジョンからのスタンピード予兆……。
考えられる最悪の被害が起こる可能性があった。
「ってことは、特級や上級に声をかけている最中って事か」
「そういうこと。無理にとは言わないけど……協力を頼めないかな?」
「そういうことなら断りづれぇな。……今回はソルとルナの事も融通してもらってるし」
ギルドマスターからの頼みにヘルトさんは小さくため息をついた。
もともと断る人ではないだろうけど……被害の出る可能性も考えると気が重いのだろう。
「それで……場所は?」
ヘルトさんの言葉にギルドマスターが口を開く。
「エヴェネ地方ヴァルトア」
「なっ……」
「うそ……」
ギルドマスターが告げた場所の名前。それは、僕とヘルトさんの故郷に間違いなかった。
「エルツ君の魔力に波長が似てるけど、魔石を通しているからか全く同じではないし、二人の魔力が同じなのは、同性の双子だとありえる事だから大丈夫大丈夫」
真新しいギルド証を二人に渡しながら笑うギルドマスターの言葉にホッとしたのは言うまでもない。
「ギルド証ももらえたし、こいつらの扱いは人間として扱ってもいいよな?」
「とりあえず魔石さえ見せなければ人間と変わらないらしいしね。破損したり、服さえ脱がなければいいんじゃない?」
判断がアバウトだ……一応モンスターなのにいいんだそれで。
ゆるい二人のやり取りに、冒険者ギルドって、いろいろ規律があって、その中で冒険者も自由に振る舞っていると思ってたんだけど……ギルドマスター秘密の宝物情報含め、世の中知らない方がいいこともあるんだと思う。
……ちょっと複雑。組織ってズルい。
「さて、ヘルトの用事はこれでおわりかな?」
「ん? そうだな」
「じゃあ、ここからは私から協力願いを出したい」
楽しげに話していたギルドマスターの雰囲気が真剣なものへと変わる。
「数日前、他の町の冒険者ギルドから報告が入った。スタンピードの予兆と思われるモンスターが地上に現れていると」
その言葉に僕は息を飲み、ヘルトさんは視線を鋭くする。
「すでに地上に異変があるってことは、未発見のダンジョンか」
「そうだね。おそらくは、洞窟などの環境ダンジョンだろう。もしかしたら、地上の森へも干渉しているかもしれない」
環境ダンジョン。それは、人工ダンジョンとは違い、自然らしい環境のままにモンスターが出るダンジョンの事だ。
宝箱も出現するが環境ダンジョンの強みはそこではなく、豊富な薬草や鉱石などが獲れる事だ。
普通の森や鉱山と違って、資源が絶えず採ることができるので初心者や初級冒険者、堅実に稼ぎたい中級冒険者などで賑わっているらしい。
だけど、今回は未発見ダンジョンからのスタンピード予兆……。
考えられる最悪の被害が起こる可能性があった。
「ってことは、特級や上級に声をかけている最中って事か」
「そういうこと。無理にとは言わないけど……協力を頼めないかな?」
「そういうことなら断りづれぇな。……今回はソルとルナの事も融通してもらってるし」
ギルドマスターからの頼みにヘルトさんは小さくため息をついた。
もともと断る人ではないだろうけど……被害の出る可能性も考えると気が重いのだろう。
「それで……場所は?」
ヘルトさんの言葉にギルドマスターが口を開く。
「エヴェネ地方ヴァルトア」
「なっ……」
「うそ……」
ギルドマスターが告げた場所の名前。それは、僕とヘルトさんの故郷に間違いなかった。
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