5 / 80
会長様のお話中は、お静かに!
しおりを挟む
「皆さん、本日はこの五月雨学園にご入学おめでとうございます。私は2-1Aに属する紅雨 凛と申します。今年度の生徒会長を務めさせて頂きます」
澄んだ鈴の音のように心地よい声が美月の耳に広がっていくと同時に、美月の視線はもう彼女に釘付けで、うっとりとただ彼女を見つめ続けた。
先程のどよめきは嘘のように辺りはしんと静まり返り、周りは美月同様、麗しき生徒会長に夢中となっている模様だ。
一方、新入生達の熱い眼差しをものともせず、紅雨会長は涼やかに学園生活のすすめ等を語っていく――美月は先輩の言葉を一言も聞き逃すまいとさらに身を乗り出したが、その時、ふと静かなはずの講堂内にぼそぼそと話す声に気がついた。
もうっ先輩の声が聞こえないじゃない!
美月の視線は紅雨会長に釘付けのままだが、一度ぼそぼそ声が気になると、何故か聞きたくもないその話のみが耳に飛び込んでくる。
(ちっ今年度の会長は、女か)
(……と、なると、この後は期待できないな)
(あ~あ、僕、肉ががっつり食べたかった……)
(おーおー、張り切って……××××××……、使ってんな!)
(今年度は、……×××……系?ま、彼女もお披露目と力試しを兼ねてるんだから、仕方ないね)
(おー、かもな)
美月はイライラして、私語に興ずる不届き者達を睨みたいと思ったが、何故だか視線は紅雨会長に固定されたまま――すぐに先輩を見つめ続けたい欲求に負ける。
うん、そうよね。せめて先輩の姿をこの目に焼き付けなくっちゃ。
……謎の欲求である。しかも、不届き者達の私語の一部がよく聞き取れないのも、美月のイライラが増す原因だった。
本当に聞きたいはずの紅雨会長の話は聞けず、延々と続く一部欠けた意味不明の私語を強制的に聞かされるストレス――己の訳の分からない状態に、表面上は静かなまま、美月のイライラがマックスになったとき――
(おっ!やっと終わるか?)
この言葉と共に全てが唐突に終わった。
美月は気がつけば、熱狂的に拍手する周りと同じく、紅雨会長に拍手を送っていた……。
身体の主導権?を取り戻した、と無意識化でほっとした美月は、本能的に周りを見回す。
すると、美月の周りは皆未だうっとりと壇上の紅雨会長を見つめ熱心に拍手を送っている中、席の最後尾に固まっている妙に目立つ連中がいた。
彼らは会長の話に感銘を受けた風もなく、冷めた態度で早々と席を立ち上がり、どこかへと移動を始めている。
その様子は、各々伸びをして欠伸をしたり、お互い話し合ったり、とまさに自由気まま。
そして、そんな彼らを彼らの近くに座った者達はちらちらと気にして囁き合っている。
やがて、美月の周りの者達にも彼らを気にしだす者達が現れ、口々に話し出した。
「見て、神立家と飛雨家の方々よ」
「秋霖 湊様もいらっしゃるわ!」
「きゃーっ!天泣 涙様、澪様まで」
「あそこを見て?時雨家や氷雨家の方々まで……!」
……どうやら、彼らはかなりの有名人らしい。
あっという間に広がっていく囁きに美月が呆気に取られていると、隣から袖を引かれた。
「何、ぼーっとしてるの?ほら、行くよ」
「翠ちゃん。……行くって、どこに?」
美月の問いに、翠はくわっと目を見開いた。
「何?あの麗しの紅雨会長のお話を聞いてなかったの?!先輩がおっしゃってたでしょ?私達新入生入学のささやかなお祝いに、隣の迎賓館でイレブンシス、だっけ……?とにかく!軽食を準備してあるって」
「そうなの?!全員分の軽食を用意してくれるなんて、何って太っ腹!流石、五月雨学園様~早く行こう、行こう!」
もう何度目になるか分からない流石、を今度は口に出し、小腹の空いていた美月は、ご機嫌で翠の後を歩き出した。
澄んだ鈴の音のように心地よい声が美月の耳に広がっていくと同時に、美月の視線はもう彼女に釘付けで、うっとりとただ彼女を見つめ続けた。
先程のどよめきは嘘のように辺りはしんと静まり返り、周りは美月同様、麗しき生徒会長に夢中となっている模様だ。
一方、新入生達の熱い眼差しをものともせず、紅雨会長は涼やかに学園生活のすすめ等を語っていく――美月は先輩の言葉を一言も聞き逃すまいとさらに身を乗り出したが、その時、ふと静かなはずの講堂内にぼそぼそと話す声に気がついた。
もうっ先輩の声が聞こえないじゃない!
美月の視線は紅雨会長に釘付けのままだが、一度ぼそぼそ声が気になると、何故か聞きたくもないその話のみが耳に飛び込んでくる。
(ちっ今年度の会長は、女か)
(……と、なると、この後は期待できないな)
(あ~あ、僕、肉ががっつり食べたかった……)
(おーおー、張り切って……××××××……、使ってんな!)
(今年度は、……×××……系?ま、彼女もお披露目と力試しを兼ねてるんだから、仕方ないね)
(おー、かもな)
美月はイライラして、私語に興ずる不届き者達を睨みたいと思ったが、何故だか視線は紅雨会長に固定されたまま――すぐに先輩を見つめ続けたい欲求に負ける。
うん、そうよね。せめて先輩の姿をこの目に焼き付けなくっちゃ。
……謎の欲求である。しかも、不届き者達の私語の一部がよく聞き取れないのも、美月のイライラが増す原因だった。
本当に聞きたいはずの紅雨会長の話は聞けず、延々と続く一部欠けた意味不明の私語を強制的に聞かされるストレス――己の訳の分からない状態に、表面上は静かなまま、美月のイライラがマックスになったとき――
(おっ!やっと終わるか?)
この言葉と共に全てが唐突に終わった。
美月は気がつけば、熱狂的に拍手する周りと同じく、紅雨会長に拍手を送っていた……。
身体の主導権?を取り戻した、と無意識化でほっとした美月は、本能的に周りを見回す。
すると、美月の周りは皆未だうっとりと壇上の紅雨会長を見つめ熱心に拍手を送っている中、席の最後尾に固まっている妙に目立つ連中がいた。
彼らは会長の話に感銘を受けた風もなく、冷めた態度で早々と席を立ち上がり、どこかへと移動を始めている。
その様子は、各々伸びをして欠伸をしたり、お互い話し合ったり、とまさに自由気まま。
そして、そんな彼らを彼らの近くに座った者達はちらちらと気にして囁き合っている。
やがて、美月の周りの者達にも彼らを気にしだす者達が現れ、口々に話し出した。
「見て、神立家と飛雨家の方々よ」
「秋霖 湊様もいらっしゃるわ!」
「きゃーっ!天泣 涙様、澪様まで」
「あそこを見て?時雨家や氷雨家の方々まで……!」
……どうやら、彼らはかなりの有名人らしい。
あっという間に広がっていく囁きに美月が呆気に取られていると、隣から袖を引かれた。
「何、ぼーっとしてるの?ほら、行くよ」
「翠ちゃん。……行くって、どこに?」
美月の問いに、翠はくわっと目を見開いた。
「何?あの麗しの紅雨会長のお話を聞いてなかったの?!先輩がおっしゃってたでしょ?私達新入生入学のささやかなお祝いに、隣の迎賓館でイレブンシス、だっけ……?とにかく!軽食を準備してあるって」
「そうなの?!全員分の軽食を用意してくれるなんて、何って太っ腹!流石、五月雨学園様~早く行こう、行こう!」
もう何度目になるか分からない流石、を今度は口に出し、小腹の空いていた美月は、ご機嫌で翠の後を歩き出した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる