(あやかし御用達)民泊始めます~巫女になれ?!無理です!かわりに一泊いかが?

岬野葉々

文字の大きさ
49 / 80

新たな芽生え 3

しおりを挟む
 殺伐とした闇の風景の中で香る、甘い、甘いイチゴのにおい――――その香りが広がるにつれ、闇の彼方から微かな羽音と共に、温かなオレンジ色に瞬く光の渦が近づいてくる。

「あれは――――、そして、この神気は」

 瞬き様々な形へと変化しつつ、段々とこちらへと近づいてくる光の帯に、皆が戸惑っている中、湊の呟きを聞きつけた霖雨教師が問いかける。
 
「あれが何か、分かっているのですか?」
「――――恐らく。あれは、たぶん…………」

 湊がその問いに答えかけたとき、光の帯がこの場へと到着した。

(山蛍じゃ――――!お、……大きいぞ?!)
(し、神気をまとっておる――――?!)
(と、いうことは……?か、神、なのか――――?)
(山蛍神――――?!)

 光の帯の先頭には、親指ほどの大きさでひと際大きな光を放つ山蛍がいた。
 そして、それは美月のカバンの上を旋回し、後続の山蛍達に何か指令を送っている様子だった。

 やがて、その山蛍の集団は全て美月のカバンの上へと集結し、一筋の光となって闇の鎖に覆われつつあるカバンの中へと入り込んでいく――――凝った闇の中でさえ、いや中だからこそ一層鮮やかに浮かび上がる、光の乱舞。

 その場にいる人モノ全てが目を奪われる中、乱舞する山蛍達から放たれ、カバンの上にしんしんと降り積もっていく神気を帯びた光の粒子――――それに引き寄せられたかのように、三つ目を縛る足元の闇の鎖は、一気に光の、カバンの方へと移動を加速させる。

 三つ目を縛る闇の鎖は、あと僅か――――それに伴い、三つ目の筋肉が盛り上がる。
 どうやら、力技でもって、一気にここから抜け出す模様だ。

(…………巫女殿、我にしっかりとつかまっていて下され)

 覚悟を決めたかのようなその言葉に、美月は何度も頷きながら、ツキと三つ目の首元をぎゅっと両手で抱きしめた。

 ――――そのとき、美月のカバンが眩い光を放つ。と、同時に、ざっと三つ目の足元を縛っていた最後の鎖がソレに巻き付く。
 その瞬間を見逃さずに、三つ目もまた一気に加速し、ついに闇の凝りの圏外へと躍り出た――――!

 おお~~~というどよめきは、そのことに対するものなのか、それとも、………… 

 三つ目に抱きかかえられたまま美月の視たモノは、鮮やかな光の放流――――美月のカバンから山蛍達が取り出したモノ達は、様々な色合いの光に包まれていた。

 ひと際強く光の中心で虹色に輝いているのは、――――あれは、眼鏡の欠片――――?
 お母さんのくれた、……わたしの、お守り眼鏡。

 虹色に輝く欠片の光を受けて、その他のモノ達も様々な色に輝いている。

 問題集は、まるでトルコ石のようにきらめいて。
 おばあちゃんのおにぎりは、おばあちゃんそのもののような温もりに満ちた暖色系の様々な色に。
 その他にもまるでそのモノ達に長年の想いが降り積もったかのように、それぞれに輝いていて――――

 その中でも、熱心に山蛍達が祝福のような光の粒子を贈っているのは、…………美月の食べ残したイチゴだった。

 やがて、渦巻く光の放流の中でそのイチゴ達は、艶々と緑色に輝く若葉を出す。
 美月のカバンの上を苗床に様々な光を吸収し、次々と芽生え、成長していくイチゴ達――――

(な、何と――――?!)
(この、荒れ果てた地に、新たな芽生えが――――?!)
(――――ということは、……次代は、イチゴ様?)
(――――あそこをよぉく視ぃっ!巫女様の居った辺りに浄化の泉が)
(本当じゃ!――――あれは、巫女様の涙の痕?)
(ありがたや、ありがたや――――)

 そうして新たな発見に驚き騒めくあやかし第十班に向かい、またもや三つ目の大音声が鳴り響く。

(何をしておる――――!狭間の次代が定まった今、あとしばらくで此処は閉じられるぞ?!皆のモノ、急げ!早う、此処から脱出するぞ!)

 
 
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…

senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。 地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。 クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。 彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。 しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。 悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。 ――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。 謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。 ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。 この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。 陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...