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お家に帰らなきゃ 4
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美月は突如始まった激しい言い争いについていけず、ポカンと口を開けてその様子を見守った。
(ええい、ごちゃごちゃとうるさいわ!美月殿は、お疲れの御様子。我らの棲みかで我らと共にゆっくりと休養して頂くのに、何の不都合がある――――?!)
(何の不都合だと――――?!大アリじゃ――――!)
(むしろ、不都合しかないわ!この大たわけモノ――――!)
一触即発で喧々諤々と美月の身柄を争う二大勢力――――異界の自分達の棲みかへ連れて行きたい深山のあやかし達と、それを絶対に阻止しようとする五月雨陣営。
半ば呆然とそれを見守っていた美月であったが、ようやく争点が自分の身柄だということに気付くと、慌てて声を上げる。
「三つ目さん、そしてそのお仲間?達。心配してくれて、ありがとう!でもね、わたし、お家に帰らなきゃ――――」
それを聞いた三つ目以下深山のあやかし達は、皆この世の終わりのような絶望感に満ちた表情をする。
(そ、……そんな、美月様)
(我らを置いて、何処へ行かれるのか?)
(家?……家ならば、我ら一同、すぐに美月様のご要望通りのモノを御用意致します故――――)
当然のように、美月に家まで与えようとする深山のあやかし達に驚いて、美月は懸命に首を振る。
「だ、ダメだよ?そんなの、絶対に受け取れない。それに、わたし、……クロとおばあちゃんの待ってるお家に帰らなきゃ――――!」
そのまま必死に言い募る美月の気持ちを汲んだのか、やがて、三つ目はがっくりと項垂れ、深く深~くため息を吐いた。
(やれ、……仕方がない。――――美月殿のお望みだ)
三つ目の言葉を皮切りに、周りのあやかし達も皆しょんぼりと項垂れながらも、諦めの言葉をつぶやく。
(……美月様、どうか、どうかお元気で)
(我らのこと、……忘れないで欲しい)
(偶にで良いから、我らのことを思い出して下され…………)
そして、段々とまるで今生の別れのような様を為してきたことに、美月は思いっきり狼狽え、うっかりと口走る。
「そんな――――?それはもう、……たとえ忘れたくても、忘れられないっていうか、……だから、…………お泊まりは無理だけど、またすぐに会いに来るから――――」
五月雨陣営が止める間もなく口走った美月に対し、今度は鬼の首でも取ったように、ハイテンションで約束を念押しする深山のあやかし達……。
(ほう――!またすぐに、とな!)
(約束ですぞ――――?!美月様!)
(すぐ、とは、どれ位かのう?いや、楽しみじゃ――――!)
(楽しみじゃ)(楽しみ)(楽しみ――!)
それを渋い表情で眺める、理事長の馴染みのあやかし達。
(……呆れた奴らじゃ。なりふり構わず、じゃな)
(……しっかり、言質を取りよって――――!)
しかし、山姫は何か思案気に彼らを見遣り、先程とは違いそっと庇うような発言をする。
「……まあ、そう言うてやるな……。あやつらにとっては、死活問題なのじゃろう。――――招かれもせずに、そう易々とはこちらへは来れぬだろうしな。美月なる女子をあやつらに任せ、この異界に置き去りにするのは断固反対じゃが、……また会いに行かせるくらいのお目こぼしは必要じゃろうて」
(それはまた、山姫とは思えんほどの慈悲溢れるお言葉じゃな)
意外そうに目を見開くあやかしに対し、山姫は物憂げに言い返す。
「……お主等には、分からぬのか」
それっきり山姫は口をつぐみ、深山のあやかし達を見つめるのみ。
深山のあやかし達は一部を除き、皆身体のあちらこちらが黒く染まり、リーダー格の三つ目に至ってはその身体の三分の二以上が黒く染まり、いずれも満身創痍の有様だ。
今はまだ美月を中心として、明るく張り切っているが、もし彼女がいなくなったら――――?
そのことにやっと思い至った理事長の馴染みのあやかし達は、皆はっと理事長の方を振り返った。
(ええい、ごちゃごちゃとうるさいわ!美月殿は、お疲れの御様子。我らの棲みかで我らと共にゆっくりと休養して頂くのに、何の不都合がある――――?!)
(何の不都合だと――――?!大アリじゃ――――!)
(むしろ、不都合しかないわ!この大たわけモノ――――!)
一触即発で喧々諤々と美月の身柄を争う二大勢力――――異界の自分達の棲みかへ連れて行きたい深山のあやかし達と、それを絶対に阻止しようとする五月雨陣営。
半ば呆然とそれを見守っていた美月であったが、ようやく争点が自分の身柄だということに気付くと、慌てて声を上げる。
「三つ目さん、そしてそのお仲間?達。心配してくれて、ありがとう!でもね、わたし、お家に帰らなきゃ――――」
それを聞いた三つ目以下深山のあやかし達は、皆この世の終わりのような絶望感に満ちた表情をする。
(そ、……そんな、美月様)
(我らを置いて、何処へ行かれるのか?)
(家?……家ならば、我ら一同、すぐに美月様のご要望通りのモノを御用意致します故――――)
当然のように、美月に家まで与えようとする深山のあやかし達に驚いて、美月は懸命に首を振る。
「だ、ダメだよ?そんなの、絶対に受け取れない。それに、わたし、……クロとおばあちゃんの待ってるお家に帰らなきゃ――――!」
そのまま必死に言い募る美月の気持ちを汲んだのか、やがて、三つ目はがっくりと項垂れ、深く深~くため息を吐いた。
(やれ、……仕方がない。――――美月殿のお望みだ)
三つ目の言葉を皮切りに、周りのあやかし達も皆しょんぼりと項垂れながらも、諦めの言葉をつぶやく。
(……美月様、どうか、どうかお元気で)
(我らのこと、……忘れないで欲しい)
(偶にで良いから、我らのことを思い出して下され…………)
そして、段々とまるで今生の別れのような様を為してきたことに、美月は思いっきり狼狽え、うっかりと口走る。
「そんな――――?それはもう、……たとえ忘れたくても、忘れられないっていうか、……だから、…………お泊まりは無理だけど、またすぐに会いに来るから――――」
五月雨陣営が止める間もなく口走った美月に対し、今度は鬼の首でも取ったように、ハイテンションで約束を念押しする深山のあやかし達……。
(ほう――!またすぐに、とな!)
(約束ですぞ――――?!美月様!)
(すぐ、とは、どれ位かのう?いや、楽しみじゃ――――!)
(楽しみじゃ)(楽しみ)(楽しみ――!)
それを渋い表情で眺める、理事長の馴染みのあやかし達。
(……呆れた奴らじゃ。なりふり構わず、じゃな)
(……しっかり、言質を取りよって――――!)
しかし、山姫は何か思案気に彼らを見遣り、先程とは違いそっと庇うような発言をする。
「……まあ、そう言うてやるな……。あやつらにとっては、死活問題なのじゃろう。――――招かれもせずに、そう易々とはこちらへは来れぬだろうしな。美月なる女子をあやつらに任せ、この異界に置き去りにするのは断固反対じゃが、……また会いに行かせるくらいのお目こぼしは必要じゃろうて」
(それはまた、山姫とは思えんほどの慈悲溢れるお言葉じゃな)
意外そうに目を見開くあやかしに対し、山姫は物憂げに言い返す。
「……お主等には、分からぬのか」
それっきり山姫は口をつぐみ、深山のあやかし達を見つめるのみ。
深山のあやかし達は一部を除き、皆身体のあちらこちらが黒く染まり、リーダー格の三つ目に至ってはその身体の三分の二以上が黒く染まり、いずれも満身創痍の有様だ。
今はまだ美月を中心として、明るく張り切っているが、もし彼女がいなくなったら――――?
そのことにやっと思い至った理事長の馴染みのあやかし達は、皆はっと理事長の方を振り返った。
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