(あやかし御用達)民泊始めます~巫女になれ?!無理です!かわりに一泊いかが?

岬野葉々

文字の大きさ
66 / 80

置いて行かないで……?!

しおりを挟む
「……ところで、君の能力について、二、三尋ねたいことがあるのだが――――」
「――――能力?何の能力についてでしょう?」

 きょとんと緑雨理事長を見返す美月は、自らの持つ力については、まだ何の自覚もない。

 それもそのはず、美月はこの騒動に巻き込まれるまでは、覚えているかぎり・・・・・・・・において、全くあやかし事とは無関係に生きてきたのだから…………。

 美月の表情からそれを読み取った緑雨理事長は、ほうっとため息を吐いて、質問の方向を変えた。

「……では、今まで君の祖先やその係累者に、神社仏閣に縁があったような話を聞いたことは――――?」

 歯切れが悪く、話の着地点のみえない美月は首を傾げ、ふと理事長の問いに既視感を覚える。

 …………そうだ。あの時、……テスト前の朝早く、学園のベンチで勉強していた時に会った彼に、同じようなことを聞かれたような――――?

「――――巫女の血筋……?」

 確か、そう言われたんだっけ…………?

 ぼんやりと記憶を辿っていた美月は、急に血相を変え、目の色の変わった緑雨理事長に両肩をがしっと掴まれ、我に返る。

「――そうなのか?!やはり、星野さんは巫女の血筋なのかね?!」
「ち、違います!わたしも祖母も、全くの無関係者です!ただ、……一度、前にそのようなことを聞かれたことがあったなあ、とふと思い出しただけです」
「……いつ?誰に――――?」
「それは、実力テストの日の朝、偶然出会った、……ええと?」

 美月はそこで口ごもった。

 ……あの時、つらつら~と紹介された筈だが、実は同性で比較的名前の憶えやすかった涙と澪の名前しか、美月の頭には残っていなかった。

 あれ程迫力のある美形の名すら覚えられない美月は、年頃の乙女として失格かもしれない……。

 けれども、元々人名を覚えるのが苦手な美月のこと、女の子二人の名前を憶えていただけで、上出来だったりする。

「あの、……その、狭間まで助けに来てくれた同学年の方です」
「……秋霖 湊くんか。そういえば、……彼は君のカバンに式を潜ませていたのだったか――――?」
「しき――――?」
「ああ、それは、……」
「いえ、もうそれは結構です。それよりも、……申し訳ないのですが、わたし、家に帰りたいので、交通費をお借り出来ますか?」

 いくら家に連絡がしてあったとはいえ、思いがけず一週間も家を留守にしてしまったのだ。
 入学取り消しの危機も去り、お腹も満たされ、休息も十分で身軽に動けるようになった今、美月の心を占めるのは、ただただお家に帰りたい、だった。

 星野家に関する詳細な報告書を読んでいた緑雨理事長にも、美月の心は手に取るように分かった。分かったのだが、…………

「心配しなくても、君は車で私が家まで送って行こう。だが、……」

 そこで、雲行きの怪しいことに気付いた、深山のあやかし達が騒ぎ出す。

(な、何と――!美月殿、今度はどちらへ行かれるのか?)
(我らを置いて?……そ、そんな)
(鬼どもが頼りにならなければ、今度はわしがずっとお傍についておりますから――!)
(何を申す!抜け駆けは厳禁じゃ――!……じゃが、美月様自身が望まれるのならば、仕方あるまい。美月様、我は非っ常にお買い得ですぞ?!)
(あ、これ!)(何を!)(いや、我こそが)
(美月殿!)(美月様!)(美月様~!)
(置いて行かれるのは、イヤじゃああああ~~~!!!)

 あっという間にその場はあやかし達がおいおい泣く、愁嘆場に…………。

「…………コレを、どうするつもりかね?」


   
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…

senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。 地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。 クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。 彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。 しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。 悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。 ――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。 謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。 ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。 この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。 陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...