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落ちちゃう、一族 3
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「美月ちゃん?!どうしたの――?!今の音は……?」
車の近くで話していた祖母の呼ぶ声に、美月は慌てて答える。
「ご、ごめんね~~!ちょっと、ぶつかっちゃって…………」
「まあ――!大丈夫なの?」
と、心配そうにこちらへ来そうな祖母の様子に先んじて、美月は大声で
「大丈夫、大丈夫――!あ、もう、わたし、部屋に行くね~~!」
と、明るく言い切り、偽装でクロに部屋へ先に行くよう頼みつつも、玄関の引き戸の影に隠れて山姫と三つ目に話しかける。
「山姫さん!三つ目さん!これは、一体どういうこと……?」
「ううむ……!まさか、この妾を弾き出すとは――――ちょっと、待っていてくれ」
山姫は真剣な表情で右手を壁に当て、目を閉じて語りかける。
「――――妾は山姫。かつては山の女神でもあった、モノ。同じくかつては山に属するモノであった、其方に誓おう。妾は決して、其方が守り慈しむ此処に住まう者達を害さぬ、と。…………美月殿を助けるためなのじゃ。どうか妾を通しておくれ」
山姫の真摯な声が響き渡ると、しばらく経ってから、軽くパシーーーーーーーーンという音がして、山姫がおお分かってもらえたようじゃ、と呟きながら、美月の元へ入って来た。
そして、それを見た三つ目も張り切って、おお次は我の番ですな!と声を張り上げる。
(我、一角鬼の三つ目と申すモノ!身命を賭して、美月殿の身を守らんとするモノ!決して決して、美月殿を害したりはせぬ!それくらいなら、喜んで我が身の方を害そうぞ!我が名を以て、その旨を誓おう!)
言い切った感抜群に、どや顔でお家の許可を待つ、三つ目……。
けれども、……どれだけ待っても、何も起こらない。
焦れた三つ目が手を出せば、玄関先でカタカタカタッと威嚇される始末。
向こうであら?という祖母の声と、いや~今日は風が強いようですな、はっはっはっ!と必死でごまかす大森チーフの声を聞き、ついに山姫は三つ目に引導を渡した。
「――――時間のかかり過ぎじゃ。三つ目よ、其方はしばしそこで待っておれ。美月殿の用が済み次第、妾ももう一度お家殿に口添えしようぞ」
(………………その様だ。くっ、所詮神格化したこともない、唯のあやかし風情の我では、まだまだ信用ならぬというわけじゃな!あい、分かった。我の誠をお家殿に認めてもらえるまで、我はずっとずっと例え何年かかろうとも、屋外にて待つ!)
そ、そんな、それじゃあ、と言いかけた美月の口を塞ぎ、山姫は美月を急かしてその場から移動する。
背後からは、熱に浮かされたように饒舌に話しまくる、緑雨理事長の声が何処までも響いていた……。
「此処が美月殿のお部屋か~~!日当たりも良く、居心地の良いお部屋じゃな~~」
まるでログハウスの一角のような木に囲まれた空間の真ん中に、ちょこんと座って美月を待っているクロ。
それに駆け寄り労いながら、美月は嬉しそうに山姫を見て笑った。
「ありがとうございます!この家は、祖父が自分で祖母のために手ずから建てた家で、わたしも祖母もこの家が大好きなんです」
「…………通りでな。祖父殿の想いが結晶化して、見事にモノ化しておるわ」
ボソッと呟いた最後の言葉は美月には聞こえなかったらしく、何ですか?と問われても、山姫は曖昧に笑ってごまかし、さて始めるか、と目を閉じ集中し出した。
そして、何事かを呟きながら、両手を舞うように動かしていく――――
美月はそれをクロとツキと共に見守った。
しばらく経って、山姫は晴れやかに終わったぞ、と宣言する。
「――――美月殿のぷらいばしーとやらを守るため、繋ぎは最小限に、いわば空気穴のようなモノにしておいたぞ?昨今は、すとーかーとやらが怖いと聞く。あのモノ達の執着を思えば、自衛は必須じゃ!」
えっへんと胸を張る山姫に、美月は首を傾げながらも礼を述べた。
そのまま、連れ立って玄関へ戻る最中に、美月はツキに話しかける。
「……ツキ、後でクロと一緒に湯場へ行こうね?」
「風呂か、それは良いな。良かったな、ツキ?」
優しい眼差しで山姫に見つめられたツキは、ニャーと返事をする。
和やかに玄関まで戻った美月達は、山姫にしばらく待って欲しいと言われ、祖母に見えぬ廊下の端に座り込んだ。
美月達の見守る前で、山姫はまたもや目を閉じ、壁に右手を当てて集中している――――
途中、そんなことはない、アレは、とか、せめて半屋内でも……!などとぶつぶつ独り言を繰り返していた山姫だったが、突然、かっと目を見開き、美月に向き直った。
「美月殿――!!この家には、いや此処に温泉があるというのは、本当か?!」
車の近くで話していた祖母の呼ぶ声に、美月は慌てて答える。
「ご、ごめんね~~!ちょっと、ぶつかっちゃって…………」
「まあ――!大丈夫なの?」
と、心配そうにこちらへ来そうな祖母の様子に先んじて、美月は大声で
「大丈夫、大丈夫――!あ、もう、わたし、部屋に行くね~~!」
と、明るく言い切り、偽装でクロに部屋へ先に行くよう頼みつつも、玄関の引き戸の影に隠れて山姫と三つ目に話しかける。
「山姫さん!三つ目さん!これは、一体どういうこと……?」
「ううむ……!まさか、この妾を弾き出すとは――――ちょっと、待っていてくれ」
山姫は真剣な表情で右手を壁に当て、目を閉じて語りかける。
「――――妾は山姫。かつては山の女神でもあった、モノ。同じくかつては山に属するモノであった、其方に誓おう。妾は決して、其方が守り慈しむ此処に住まう者達を害さぬ、と。…………美月殿を助けるためなのじゃ。どうか妾を通しておくれ」
山姫の真摯な声が響き渡ると、しばらく経ってから、軽くパシーーーーーーーーンという音がして、山姫がおお分かってもらえたようじゃ、と呟きながら、美月の元へ入って来た。
そして、それを見た三つ目も張り切って、おお次は我の番ですな!と声を張り上げる。
(我、一角鬼の三つ目と申すモノ!身命を賭して、美月殿の身を守らんとするモノ!決して決して、美月殿を害したりはせぬ!それくらいなら、喜んで我が身の方を害そうぞ!我が名を以て、その旨を誓おう!)
言い切った感抜群に、どや顔でお家の許可を待つ、三つ目……。
けれども、……どれだけ待っても、何も起こらない。
焦れた三つ目が手を出せば、玄関先でカタカタカタッと威嚇される始末。
向こうであら?という祖母の声と、いや~今日は風が強いようですな、はっはっはっ!と必死でごまかす大森チーフの声を聞き、ついに山姫は三つ目に引導を渡した。
「――――時間のかかり過ぎじゃ。三つ目よ、其方はしばしそこで待っておれ。美月殿の用が済み次第、妾ももう一度お家殿に口添えしようぞ」
(………………その様だ。くっ、所詮神格化したこともない、唯のあやかし風情の我では、まだまだ信用ならぬというわけじゃな!あい、分かった。我の誠をお家殿に認めてもらえるまで、我はずっとずっと例え何年かかろうとも、屋外にて待つ!)
そ、そんな、それじゃあ、と言いかけた美月の口を塞ぎ、山姫は美月を急かしてその場から移動する。
背後からは、熱に浮かされたように饒舌に話しまくる、緑雨理事長の声が何処までも響いていた……。
「此処が美月殿のお部屋か~~!日当たりも良く、居心地の良いお部屋じゃな~~」
まるでログハウスの一角のような木に囲まれた空間の真ん中に、ちょこんと座って美月を待っているクロ。
それに駆け寄り労いながら、美月は嬉しそうに山姫を見て笑った。
「ありがとうございます!この家は、祖父が自分で祖母のために手ずから建てた家で、わたしも祖母もこの家が大好きなんです」
「…………通りでな。祖父殿の想いが結晶化して、見事にモノ化しておるわ」
ボソッと呟いた最後の言葉は美月には聞こえなかったらしく、何ですか?と問われても、山姫は曖昧に笑ってごまかし、さて始めるか、と目を閉じ集中し出した。
そして、何事かを呟きながら、両手を舞うように動かしていく――――
美月はそれをクロとツキと共に見守った。
しばらく経って、山姫は晴れやかに終わったぞ、と宣言する。
「――――美月殿のぷらいばしーとやらを守るため、繋ぎは最小限に、いわば空気穴のようなモノにしておいたぞ?昨今は、すとーかーとやらが怖いと聞く。あのモノ達の執着を思えば、自衛は必須じゃ!」
えっへんと胸を張る山姫に、美月は首を傾げながらも礼を述べた。
そのまま、連れ立って玄関へ戻る最中に、美月はツキに話しかける。
「……ツキ、後でクロと一緒に湯場へ行こうね?」
「風呂か、それは良いな。良かったな、ツキ?」
優しい眼差しで山姫に見つめられたツキは、ニャーと返事をする。
和やかに玄関まで戻った美月達は、山姫にしばらく待って欲しいと言われ、祖母に見えぬ廊下の端に座り込んだ。
美月達の見守る前で、山姫はまたもや目を閉じ、壁に右手を当てて集中している――――
途中、そんなことはない、アレは、とか、せめて半屋内でも……!などとぶつぶつ独り言を繰り返していた山姫だったが、突然、かっと目を見開き、美月に向き直った。
「美月殿――!!この家には、いや此処に温泉があるというのは、本当か?!」
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