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第1章 ー始まりー
2夢 *夢ではない何処かで*
しおりを挟む真っ白な世界に、水で出来た壁が2つ。
「ここ・・・は?」
夢なのか?
にしては意識がはっきりしている。
「・・・さん、・・・朝日奈さん、
・・・朝日奈 みはるさん!」
段々大きくなるその声が、夢ではないと確信させる。
何処かで聞いたことのある声。優しく、落ち着いた声だ。
「は、はい!
えっと・・・この声は?」
「はぁ、覚えていないとは・・・
フェリールです。フェリール・ミィ。
貴方を迎えに来ました。」
そうだ、思い出した。昨日変な奴に話しかけられて、夢の世界がどーのと言われ・・・
確か「行きます」と言ってしまったはずだ。
「あぁ昨日の!
でも、姿が見えませんけど・・・」
ここには私以外、誰もいない。ホコリさえ見当たらない。
「実は・・・
右手に桜色の水壁がありますよね?それを越えた、『夢癒』という世界にいます。 夢癒の住民は、水壁を越えることは出来ません。なので今は、簡単な魔法を使って話しています。」
水壁とはこの水で出来た壁のことであろう。
そしてこの水壁を越えると、別世界に通じている。簡単には信じられない話だ。
だが、ここには水壁が2つある。色は違うものの、どちらも水で出来ている。
ならば、もう1つの水壁の先には何が待っているのか?
「じゃあもう1つの、空色の水壁の向こうには・・・?」
「空色の水壁の向こうは、現実の世界です。普段貴方がいる所、と言えば分かりやすいでしょうか?
なので、今貴方がいる所は、夢癒と現実の狭間になります。」
これは・・・何か凄い所に来てしまったのか?もしかして、夢癒に行ったら一生帰れなかったり・・・
胸に不安が込み上げる。その不安を察したようにフェリールはこの狭間について話しだした。
「あーーー・・・少し説明が難しいのですが、一応話しておきますね。
ここは普段、1人1人がみたい夢の世界が広がっています。そして寝ている時、無意識の内にここに来ます。その状態のことを一般的に『夢をみている』といいます。ですが貴方は、ナチュラルな状態の狭間に連れてこられた。そして普段なら無い、夢癒への水壁があった。それだけです。」
「それだけ・・・まぁ大体は分かりました。
で、私のお手伝いって何ですか?」
この場所については把握した。そうなれば、さっさと手伝って私の名前を何故知っていたのか、聞き出さなければ。
「ご理解して頂けて良かったです。
お手伝いに関しては、夢癒に来てしてもらいます。なので桜色の水壁を通って下さい。」
「と、通るんですか!?
息とか大丈夫ですよね?」
「えぇ、もちろん。
息に関しては、貴方の周りにバリアが張られますので、大丈夫です。そもそも、濡れもしないです。
あと、真っ直ぐ歩いてもらえれば、10秒程で夢癒に着きますので。
それでは、頑張ってくださいね!」
そういえば子供の頃にやった鬼ごっこで、バリアー!って言ってたなー。まさか本当にバリアを使う日が来るとは・・・
なんてことを思いながら、気を引き締める。
「じゃあ・・・行きます!!」
大きな掛け声と共に、大きな1歩を踏み出した。
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