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短編向け
本編・上
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「おっはよー! あなた、朝だよ! 起っきてーー!」
巍の朝はこんな明るい声から始まる。
「んっ......おはよー、秋音」
「朝ご飯、出来たよ巍」
「うん。毎日ありがとう」
「いえいえ。これが私の仕事ですからっ!」
「そうだね、ありがとう」
彼の仕事は小説作家や漫画作家に俳優、そしてタレントなど、様々な仕事をしており、休日は月に一日あるか無いかという程の忙しい人生を送っていた。
妻である秋音は、正看護師の資格を持ち、大学病院に務めており、看護師長を務めている、巍の自慢できる妻だ。
巍たち二人は仲良く平和に過ごしていた⋯⋯あの事件が起きるまでは⋯⋯
━━某テレビ局の第三楽屋にて⋯⋯
「ふー、もうすぐインスタントラーメンのコマーシャルの撮影に入るな⋯⋯ちょっと今回ばかりは大手会社のコマーシャルだから、緊張するなぁ⋯⋯」
「巍さーん、もうすぐ撮影時間になりまーす!」
「はーい、すぐ行きまーす!」
それから間もなく、某テレビ局の二階廊下にて⋯⋯
カタ⋯⋯カタ⋯⋯
廊下を歩いてると、背後から何やら物音が聞こえてきた。
(何の音だ?)
と巍は思いながら、後ろへ振り向こうとしたが、その瞬間──
ブン! ⋯⋯ガン!
鈍い音と共に巍は後ろから何かに殴られた。
「ぐはぁっ! ⋯⋯」
そこから先には巍の記憶はなかった⋯⋯
━━三日後、某県大学病院 個室にて
「ん⋯⋯ここは⋯⋯?」
目が覚めるとそこは病院の一室だった。
巍は不思議に思い周りを目で見渡すと......
「あなた! 目が覚めたの・・・・・・? ここは病院よ・・・・・・」
「俺は・・・・・・何で?」
そこには秋音がいた。
「4日にインスタントラーメンのCMを撮りにテレビ局に行ったのは覚えてる?」
「あ、あぁ・・・・・・覚えているさ」
「撮影直前に、殺されかけたのよ・・・・・・あなたが・・・・・・!」
「な、なんで!? 何の目的で・・・・・・?」
『殺す』というフレーズに大きな衝撃を受けたのか、巍は目を見開いていた。
「犯人によると、巍さんの事が羨ましくて、つい襲ってしまいました──だそうよ」
「羨ましかった・・・・・・そうか、俺の才能が羨ましかったのか・・・・・・」
「その通りよ。小説を書けるし、漫画も描ける、その上テレビにも出れるし・・・・・・それこそ羨ましがられやすかったのよ・・・・・・」
「そうだったのか・・・・・・それでも、襲うのはお門違いだろ・・・・・・!」
「そうね、私もそう思うわ」
ガラガラ・・・・・・と音を立てて、病室の扉が開いた。
「こんにちは」
そこにいたのは、看護師と思われる女性と共に白衣を着た、医者らしき男性がいた。
「意識が戻ったようで何よりですが、記憶障害などの脳の後遺症状はありませんか?」
「いいえ、何も問題無かったです」
「そうですか、良かったです」
秋音と医者は二人で話していた。
「なにか、問題があったんですか?」
「いや、後頭部や、前頭葉などを殴られていましたので、記憶障害や、身体の麻痺などの後遺症が残る可能性があったんです・・・・・・」
「そっそうだったん・・・・・・ですか・・・・・・?」
「何も後遺障害が無くて良かったです」
それから間もなく裁判が開かれ、犯人は懲役10年の判決を受けた
ずっと隠れていたのか、巍は裁判後すぐに後遺症が現れてしまい、左対麻痺になってしまった。
だが幸い、巍の利き手と利き足は右だったからよかったが、もしも右半身を麻痺していたら、何も出来なくなり、あきねに生涯面倒を見てもらわなくてはならなくなってしまう・・・・・・
だが、犯人の動機が羨ましかったから...なんとも理不尽な動機なんだ。
俺は心の奥で怒りを燃やしていた。
そして麻痺が出てから、巍は当然ながらテレビに出られなくなってしまった・・・・・・
そして、漫画家も辞めなくてはならなくなってしまった・・・・・・
だが、小説家だけは辞めなくても大丈夫だった。
利き手が麻痺してなかったので、小説を書く事だけは出来た
しばらく休んでしまっていたので、次に出した書籍のあとがきに読者たちに謝罪と、復活の喜びを先頭に書き綴った。
今までファンレターが一気には来なかったのだが、事件後には数十枚・・・・・・いや、数百枚はファンレターが届いた、さすがに巍も秋音も驚いた。
こんなに多くの人に愛されていた事に夫婦共々涙が溢れてしまっていた・・・・・・
秋音と一緒にリハビリを続けていき、いつかは漫画家やテレビ復帰を果たしたいと巍は考えていた。
━━そして、この数年後。再び彼らに悲劇が起こることなど今は彼らが知る由はなかった・・・・・・
巍の朝はこんな明るい声から始まる。
「んっ......おはよー、秋音」
「朝ご飯、出来たよ巍」
「うん。毎日ありがとう」
「いえいえ。これが私の仕事ですからっ!」
「そうだね、ありがとう」
彼の仕事は小説作家や漫画作家に俳優、そしてタレントなど、様々な仕事をしており、休日は月に一日あるか無いかという程の忙しい人生を送っていた。
妻である秋音は、正看護師の資格を持ち、大学病院に務めており、看護師長を務めている、巍の自慢できる妻だ。
巍たち二人は仲良く平和に過ごしていた⋯⋯あの事件が起きるまでは⋯⋯
━━某テレビ局の第三楽屋にて⋯⋯
「ふー、もうすぐインスタントラーメンのコマーシャルの撮影に入るな⋯⋯ちょっと今回ばかりは大手会社のコマーシャルだから、緊張するなぁ⋯⋯」
「巍さーん、もうすぐ撮影時間になりまーす!」
「はーい、すぐ行きまーす!」
それから間もなく、某テレビ局の二階廊下にて⋯⋯
カタ⋯⋯カタ⋯⋯
廊下を歩いてると、背後から何やら物音が聞こえてきた。
(何の音だ?)
と巍は思いながら、後ろへ振り向こうとしたが、その瞬間──
ブン! ⋯⋯ガン!
鈍い音と共に巍は後ろから何かに殴られた。
「ぐはぁっ! ⋯⋯」
そこから先には巍の記憶はなかった⋯⋯
━━三日後、某県大学病院 個室にて
「ん⋯⋯ここは⋯⋯?」
目が覚めるとそこは病院の一室だった。
巍は不思議に思い周りを目で見渡すと......
「あなた! 目が覚めたの・・・・・・? ここは病院よ・・・・・・」
「俺は・・・・・・何で?」
そこには秋音がいた。
「4日にインスタントラーメンのCMを撮りにテレビ局に行ったのは覚えてる?」
「あ、あぁ・・・・・・覚えているさ」
「撮影直前に、殺されかけたのよ・・・・・・あなたが・・・・・・!」
「な、なんで!? 何の目的で・・・・・・?」
『殺す』というフレーズに大きな衝撃を受けたのか、巍は目を見開いていた。
「犯人によると、巍さんの事が羨ましくて、つい襲ってしまいました──だそうよ」
「羨ましかった・・・・・・そうか、俺の才能が羨ましかったのか・・・・・・」
「その通りよ。小説を書けるし、漫画も描ける、その上テレビにも出れるし・・・・・・それこそ羨ましがられやすかったのよ・・・・・・」
「そうだったのか・・・・・・それでも、襲うのはお門違いだろ・・・・・・!」
「そうね、私もそう思うわ」
ガラガラ・・・・・・と音を立てて、病室の扉が開いた。
「こんにちは」
そこにいたのは、看護師と思われる女性と共に白衣を着た、医者らしき男性がいた。
「意識が戻ったようで何よりですが、記憶障害などの脳の後遺症状はありませんか?」
「いいえ、何も問題無かったです」
「そうですか、良かったです」
秋音と医者は二人で話していた。
「なにか、問題があったんですか?」
「いや、後頭部や、前頭葉などを殴られていましたので、記憶障害や、身体の麻痺などの後遺症が残る可能性があったんです・・・・・・」
「そっそうだったん・・・・・・ですか・・・・・・?」
「何も後遺障害が無くて良かったです」
それから間もなく裁判が開かれ、犯人は懲役10年の判決を受けた
ずっと隠れていたのか、巍は裁判後すぐに後遺症が現れてしまい、左対麻痺になってしまった。
だが幸い、巍の利き手と利き足は右だったからよかったが、もしも右半身を麻痺していたら、何も出来なくなり、あきねに生涯面倒を見てもらわなくてはならなくなってしまう・・・・・・
だが、犯人の動機が羨ましかったから...なんとも理不尽な動機なんだ。
俺は心の奥で怒りを燃やしていた。
そして麻痺が出てから、巍は当然ながらテレビに出られなくなってしまった・・・・・・
そして、漫画家も辞めなくてはならなくなってしまった・・・・・・
だが、小説家だけは辞めなくても大丈夫だった。
利き手が麻痺してなかったので、小説を書く事だけは出来た
しばらく休んでしまっていたので、次に出した書籍のあとがきに読者たちに謝罪と、復活の喜びを先頭に書き綴った。
今までファンレターが一気には来なかったのだが、事件後には数十枚・・・・・・いや、数百枚はファンレターが届いた、さすがに巍も秋音も驚いた。
こんなに多くの人に愛されていた事に夫婦共々涙が溢れてしまっていた・・・・・・
秋音と一緒にリハビリを続けていき、いつかは漫画家やテレビ復帰を果たしたいと巍は考えていた。
━━そして、この数年後。再び彼らに悲劇が起こることなど今は彼らが知る由はなかった・・・・・・
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