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第1章~2人の奇妙な関係~
勘違いすんなよ
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「はぁー、なんか疲れたな」
家について、すぐにソファーにドサッと座る学くん。
市役所を出て、学くんの車でお昼ご飯を食べに行って。
すっごく素敵な時間だったのだけど、学くんにとっては親に言われて仕方なく結婚をした相手と行動をするのって非常に疲れることなのかもしれない。
「ありがとう。いろいろ」
「は?なにが?」
あたしのセリフに首を傾げる。
「好きでもない相手と結婚して、休日一緒に過ごして疲れるでしょ?」
「好きな相手とか好きじゃねーとかそんなのはとっくのむかしに諦めてる」
〝諦めてる〟
そう話す、学くんの瞳には少しも明かりが灯っていない気がした。
「好きな人いるの……?」
「それ聞いてどうすんだよ。そいつのとこにでも行くのか?言ったとこでお前が俺の嫁になった事実は変わんねーんだよ」
吐き捨てるように言う学くんに胸がきゅうっと痛くなる。
「あたしのこと好きになってもらえるように頑張る」
それくらいしかなかった。
学くんがこの結婚生活を楽しめるようになるには。
「は?お前のことを好きに……?俺が?」
ソファーから立ち上がってあたしの目の前に来る。
「その方が結婚したことに意味もできるし」
「ふーん。好きになって欲しいんだ?」
感情の読めないような笑顔。
そんな表情であたしの頬に手を触れる。
「そりゃ……好きになってもらえたら嬉しいよ」
「好きにさせろよ」
「え?」
「好きになってもらえるようにじゃねーよ、俺が欲しいんだったらお前が落とせよ」
自己中心的な発言に聞こえるけど。
でも、あたしはそれでも彼が好きだった。
「うん、そうする」
あたしを好きになってもらいたいなら。
あたしが彼を落とせばいい。
──ぷっ
あたしが笑顔で言ったあと、歪んだ笑顔のまま彼は吹き出す。
「……え?」
何がおかしくて笑われているのか分からなくて。
ただ、そう反応するだけで精一杯だった。
「お前も他に好きな人作れば」
「え?」
笑われたあとのその言葉。
正直よくわからなかった。
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
「え……だって」
〝よそ見するな〟って言ってたのに。
元々よそ見なんてするつもりないけど。
「勘違いすんなよ」
「え?」
「俺は親父が結婚しないと会社継がせねーとか言うから結婚相手を見つけただけ。別にその相手を好きになろうとか、一生一緒にいようとかそんなこと考えてもいねーから」
早口で言い放つ学くんに胸が締め付けられる。
学くん、すっごく冷たい目をしてる。
本当にあたしのことを何とも思っていない目をしてる。
「よそ見すんなって……」
「妻でいるうちはって言ったろ。別に他に好きなやつできたなら言ってくらたらいい。妻でいる間によそ見されたら世間体とかあるだろ。だからそうなったらすぐに離婚してやるから」
要はあたしがどうのではなく、会社のため。
自分のためというわけだ。
昨日〝妻でいるうちは〟という言葉に違和感があったけど、気にしないでいた。
でも、そういうことだったんだ。
「でも、あたしは……んっ」
気づいたら目の前にある整った顔。
ちょっと触れられた唇。
3度目のキスはほかの2回よりも冷たかった。
「俺はちとせのこと好きになることは2度とないよ」
「2度と……?」
それはまるで……。
「あの時、好きだったのはお前も知ってるだろ」
やっぱりあの時のこと。
でも、あの時の学くんの気持ちに嘘はなかった。
「……じゃあ、また」
「ないから。絶対にありえないから」
なんでここまで否定されてしまうのだろう。
だって、学くんは1度でもあたしのことを好きになってくれたのだ。
あの時のあたしたちは、両思いだったのだ。
教育実習生と生徒。
イケないことだけど、たしかにあそこにあたし達の思いはあった。
「なんでそんなに否定するの?」
「ありえないから」
「どうして?」
「はぁ……うるせーマジで。出かける」
壁にかかった上着を手にして、ドアを開ける。
家について、すぐにソファーにドサッと座る学くん。
市役所を出て、学くんの車でお昼ご飯を食べに行って。
すっごく素敵な時間だったのだけど、学くんにとっては親に言われて仕方なく結婚をした相手と行動をするのって非常に疲れることなのかもしれない。
「ありがとう。いろいろ」
「は?なにが?」
あたしのセリフに首を傾げる。
「好きでもない相手と結婚して、休日一緒に過ごして疲れるでしょ?」
「好きな相手とか好きじゃねーとかそんなのはとっくのむかしに諦めてる」
〝諦めてる〟
そう話す、学くんの瞳には少しも明かりが灯っていない気がした。
「好きな人いるの……?」
「それ聞いてどうすんだよ。そいつのとこにでも行くのか?言ったとこでお前が俺の嫁になった事実は変わんねーんだよ」
吐き捨てるように言う学くんに胸がきゅうっと痛くなる。
「あたしのこと好きになってもらえるように頑張る」
それくらいしかなかった。
学くんがこの結婚生活を楽しめるようになるには。
「は?お前のことを好きに……?俺が?」
ソファーから立ち上がってあたしの目の前に来る。
「その方が結婚したことに意味もできるし」
「ふーん。好きになって欲しいんだ?」
感情の読めないような笑顔。
そんな表情であたしの頬に手を触れる。
「そりゃ……好きになってもらえたら嬉しいよ」
「好きにさせろよ」
「え?」
「好きになってもらえるようにじゃねーよ、俺が欲しいんだったらお前が落とせよ」
自己中心的な発言に聞こえるけど。
でも、あたしはそれでも彼が好きだった。
「うん、そうする」
あたしを好きになってもらいたいなら。
あたしが彼を落とせばいい。
──ぷっ
あたしが笑顔で言ったあと、歪んだ笑顔のまま彼は吹き出す。
「……え?」
何がおかしくて笑われているのか分からなくて。
ただ、そう反応するだけで精一杯だった。
「お前も他に好きな人作れば」
「え?」
笑われたあとのその言葉。
正直よくわからなかった。
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
「え……だって」
〝よそ見するな〟って言ってたのに。
元々よそ見なんてするつもりないけど。
「勘違いすんなよ」
「え?」
「俺は親父が結婚しないと会社継がせねーとか言うから結婚相手を見つけただけ。別にその相手を好きになろうとか、一生一緒にいようとかそんなこと考えてもいねーから」
早口で言い放つ学くんに胸が締め付けられる。
学くん、すっごく冷たい目をしてる。
本当にあたしのことを何とも思っていない目をしてる。
「よそ見すんなって……」
「妻でいるうちはって言ったろ。別に他に好きなやつできたなら言ってくらたらいい。妻でいる間によそ見されたら世間体とかあるだろ。だからそうなったらすぐに離婚してやるから」
要はあたしがどうのではなく、会社のため。
自分のためというわけだ。
昨日〝妻でいるうちは〟という言葉に違和感があったけど、気にしないでいた。
でも、そういうことだったんだ。
「でも、あたしは……んっ」
気づいたら目の前にある整った顔。
ちょっと触れられた唇。
3度目のキスはほかの2回よりも冷たかった。
「俺はちとせのこと好きになることは2度とないよ」
「2度と……?」
それはまるで……。
「あの時、好きだったのはお前も知ってるだろ」
やっぱりあの時のこと。
でも、あの時の学くんの気持ちに嘘はなかった。
「……じゃあ、また」
「ないから。絶対にありえないから」
なんでここまで否定されてしまうのだろう。
だって、学くんは1度でもあたしのことを好きになってくれたのだ。
あの時のあたしたちは、両思いだったのだ。
教育実習生と生徒。
イケないことだけど、たしかにあそこにあたし達の思いはあった。
「なんでそんなに否定するの?」
「ありえないから」
「どうして?」
「はぁ……うるせーマジで。出かける」
壁にかかった上着を手にして、ドアを開ける。
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