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第二章
少年の我儘
しおりを挟む「ゴホッ、ゲホッ……」
「大丈夫? 萊……」
昨日の今日。俺は風邪をひいていた。
原因はおそらく、風呂場でぼーっと水を浴びていたせいだ。隼人のことを考えては打ち消すために少し温度の低い水を浴び、また考えては水を浴び……その繰り返しをしていたのがいけなかったんだろう。
そして、俺のそばには隼人がいる。
もうすでに学校は始まっているはずなのに行かなくていいのか、とは聞いたけど返ってきたのは穏やかな微笑と「萊のためだから。」という言葉だった。俺が風邪をひいたせいで隼人が学校を休むのは心苦しい。けど、独りぼっちは嫌なのもあって、隼人を学校に行くように注意することができなかった。
「ッケホ……」
「萊、水。飲んで?」
「っん……」
熱で視界がぼやける。ぐったりとしたままストローで水を飲んだ。
こういう時の隼人は本当に頼りになる。身の回りのことすべてに気を遣ってくれ、まるで自分が隼人の大切な人になっているみたいでうれしい。
「じゃあ、萊。
ちょっとご飯作ってくるから待ってて?」
ちょうど昼頃に差し掛かったとき、隼人が立ち上がった。思わず引き止めそうになるのをこらえて、頷いた。
隼人が出て、まだあまり時間は経っていないけど寂しくて涙があふれてくる。
呆然と、隼人が他の人と結ばれたらこんな感じなのかな、とも思って涙が全く止まらない。布団から抜け出して追いかけたくもなるけど、折角好きな人と結ばれたのに邪魔してはいけない、と想像と現実がごっちゃになる。
まだ、隼人は誰のものでもないのに。
「萊、できたよ。
……って、どうしたの!?」
「ぅ、ひぐっ……」
戻ってきた隼人が見えて、布団から這い出て近寄る。
隼人は手に持っていたお盆を近くの棚に置くと、俺を迎え入れてくれた。
「萊、萊?
どうしたの。」
「は、やとぉっ……うぇ、ひっ……」
「どうしたの、泣かないでよ萊。」
優しくポンポンと背中をたたいてくれて、とても安心する。
泣き止んだころには少し疲れて眠気が襲ってきたけど、ベッドに座って隼人にご飯をもらう。
「……ありがと。」
「どーいたしまして。
はやく元気になってね。」
食べ終わって横になると、うつらうつらと瞼が重くなり意識が遠のく。
そんな中、寝ぼけて呟いた言葉は隼人に届いたのだろうか……
「……はやと……そばに、いて……」
できることなら、これからもずっと。
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