俺のことだけを見てればいいのに。

とらまーる

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第二章

少年の安堵

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 翌日。俺は完全復活して登校した。

「おはよー、早乙女君。
あ、藤山君風邪治ったんだね!」
「おはようはぎちゃん。」
「……はよ」

 転校生のうれしそうな顔を見ると、一気に気分が沈む。
 いくら昨日俺が独り占めしたからと言って、今日は違う。どうしても気になるのだ。

「はよー藤山。
昨日はどうだったんだー?」
「早乙女も大変だろうなあ。」

 ニヤニヤと話しかけてくるクラスメイトがとてつもなくイラつく。
 思わず眉間に力が入るが、隼人に軽く眉間をつつかれて思わず見上げた。

「え? どういうこと?」
「あ、そっか。萩田さんは知らないよね。」
「ふふっ、教えてあげる―。」

 キョトンとしている転校生に数人の女子が集まり、こそこそと耳打ちした。
 その様子にまた眉間に力が入る。けど、そのこそこそ話はすぐに終わって転校生の驚きの声が上がった。

「ええっ!?
そうだったの!?」
「そうそう!
早乙女君ってばお母さんみたいでね。
昨日はずっとこの話だったでしょ?」

「俺が萊の面倒見るのは当然でしょ?
だって、萊がいないと俺生きてけないもん。」

 女子軍の話を聞いて、しれっとつぶやいた隼人の言葉に思わず顔が熱くなる。
 いや、自意識過剰かもだけど……その言葉って俺のこと好きみたいじゃん! 俺がいないと生きてけないとか!
  ふふふ、そこまでの存在になれていたとは……!

「――だって!
萩田さんとの噂ながしたのは誰かわかんないけどさ、むしろ藤山君とのほうが付き合ってそうだよね!」
「そうだったんだね!
いやあ、実は私彼氏いるから困ってたんだよね。」

 しばらく俺がにやけを隠せないでいると、転校生の口から衝撃の事実が出てきた。
 ――彼氏が、いる……!?

『ええええぇっ!!!?』
「マジで!? うわあ、ショック!」
「くっそー! 知る前にせめて告っとくんだった……!」

「っよしゃ……!」

 思わず安心による声が漏れるも、周りの歓声に埋もれて俺のつぶやきは聞こえなかったはず。にしても、転校生……いや、萩田さんに彼氏がいたとは!
 今まで気にする必要はなかったんだな! そしてこれからも!


「ふふっ。
萊、可愛い……」

 俺のつぶやきがほぼ掻き消されたのと同じように、隼人のつぶやきも歓声によって掻き消され、誰の耳にも届かなかった。
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