気になるあの子は隅っこに

こあむあむ

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第4節: 放課後の二人

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放課後の教室。クラスメートたちが次々と帰っていく中、
教室の隅には颯太と文也が残っていた。ふたりきりで話せる時間だ。

普段、本を読むことなんてほとんどない颯太だけれど、
文也が勧めてくれた本は特別だった。
おすすめの本を通して文也のことをもっと知りたいという気持ちが自然と湧いてくる。

文也は颯太に貸す歴史小説の内容を楽しそうに話している。

「それでさ、この主人公、戦国時代にタイムスリップするんだけど、
最初は全然活躍できなくてさ…」

颯太も、読み終えた本の感想を話したくてたまらなかった。

「それで、その戦いのシーンなんだけどさ、めっちゃ迫力あるよな!
歴史ってこんなに面白いって初めて知ったわ!」

颯太は身振り手振りを交えて興奮気味に話し続ける。
文也は静かに聞きながら、時々小さく頷いている。

初めの頃は颯太が一方的に話すことが多かったが、
今では文也も少しずつ話してくれるようになった気がする。
はじめて話しかけたときはかなり警戒している様子だったなと
文也の変化をうれしく思う。

「君、楽しんで読んでくれたんだね」
文也が少し驚いたように、けれどどこか嬉しそうに言った。
その柔らかい声に、颯太は思わずドキッとした。

――うわ、今の笑顔…やっぱり文也って、なんか、やっぱり優しいな…。

颯太は、最初の頃の無口でミステリアスな文也とは違う、
少し柔らかくなった表情にますます惹かれていく自分を感じていた。
こうして毎日、放課後に教室の隅で二人きりで話す時間が、
颯太にとってどんどん大切なものになっていく。

一方で文也も、颯太との時間が今や日課になっていた。
話しやすいし、何より颯太といるときは自然体でいられる。
こんなに誰かと話して笑うことが、こんなに楽しいものだなんて知らなかった。

「ねえ、颯太。君って、なんでそんなに歴史が好きじゃなかったのに、
僕に付き合ってくれるの?」
文也が不思議そうに尋ねた。

颯太は一瞬言葉に詰まる。理由なんて…
本当は、ただ文也ともっと一緒にいたいから。
でも、そんなことを言ったら、さすがに文也も引くだろう。

「え、いや、なんかさ…お前が勧めてくれたから面白く感じたんだよ!
俺、あんまり歴史とか得意じゃないけど、お前の話を聞くと、
すごく引き込まれるっていうか…」
颯太はちょっと照れくさそうに頭をかきながら答えた。

文也はその言葉を聞いて、少しだけ目を丸くした。
そして、ふっと微笑んだ。「それなら、よかった」

颯太はその微笑みに心臓が跳ねるのを感じた。
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