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白銀の国2
好きな人
ボタンと夕食を買いに行き、部屋で食べることになった。
「ご一緒してもよろしいでしょうか」
「もちろんです、むしろ一緒に食べてください」
部屋のテーブルにサンドウィッチが並べられていく。
野菜やら肉やら卵やらが挟まっていて美味しそうだ。
食べ始めるとボタンから話し始めた。
「ヒサメ様とのお話は大丈夫でしたか」
「はい、色々分かったこともあったし、それに私の心も軽くなったので話せて良かったです」
私がヒサメと話す前と表情が全く違うと気付いたのか、ボタンは柔らかい表情を向けた。
「それは、良かったです」
温かいサンドウィッチを食べ進めるうちに、次第にヒサメの話になっていく。
「ヒサメ様って、女性に人気が高そうですよね」
「ええ、引く手あまたですよ。幼い時からそれはもうあらゆる女性を虜になさっては、フブキさんの話をして玉砕させていたんです」
ヒサメ様、ぶれないな。
「貴族や王族の娘に誘われても見向きもせず、平民の娘に告白されても鮮やかに躱してらっしゃる。結婚はどうするおつもりなのかと、上役が愚痴を溢しているのをよく耳にします」
「大変ですね・・・。やっぱりヒサメ様は階級の上の人と結婚することになるんでしょうか」
ボタンは食べかけのサンドウィッチをテーブルに置くと、何故か姿勢を正した。
「つかぬことをお聞きしますがリビさん。ヒサメ様のことをどう思っていますか」
「・・・え?」
「貴女はヒサメ様が認めている数少ない女性の一人です。貴女であれば、ヒサメ様からの信用を得られる上に、フブキさんのことも知っている。相性は悪くはないと考えているのですが」
「ま、待ってください。私には好きな人が・・・あっ」
慌てた上に口を滑らせて墓穴を掘っていく。
ボタンはニコッと微笑むと体をずいっとこちら側に近づけた。
「それはどなたですか?ヒサメ様よりも素敵な方だというのですか?」
「あ、あの、比較とかじゃ、なくて。私の闇魔法を肯定してくれた、人なんです」
ヴィントは魔法の種類なんて色違いみたいなものだと言ってくれた。
大事なのは魔法の使い方やその人自身だと。
そう思ってくれる人がいてくれるだけで私にとっては救いだった。
「出会ったばかりのころから、他人の私を心配してくれて。勉強にも付き合ってくれて優しい人なんです」
「それは確かに素敵な方ですね。ですが、ヒサメ様も負けていませんよ。階級を問わずヒサメ様は心を砕いて下さる。子供にも大人にもそれは変わらない。王として時に冷徹な判断を下すこともありますが、それは国民を守るためです。そんな孤高の存在のヒサメ様を支える方が必要です」
ボタンがそう言って真剣な眼差しを向けるので、私は手を挙げた。
「あの、ボタンさんはどうなんですか。ヒサメ様の事、そういう意味で好きになったことはないですか」
「私にとってヒサメ様は尊敬し憧れる存在です。かっこよくて素敵な男性ではありますが、あくまで兄のような人だと思っています。それに私にも好きな人がいますので」
「え!誰ですか!?」
「シグレさんです」
「えっ!!」
私の声が大きかったのか、ボタンの耳が折れ曲がる。
すみません、と謝ってから私は聞かずにはいられない。
「あの、どうしてシグレさんを?いつから好きなんですか」
「好きになったのは10年くらい前からですね。彼は周りから無理だ諦めろと言われていたのに騎士を目指し続けていました。そもそも彼は、幼い時から喧嘩もしたことなく、魔法も弱く、勉強だけが取り柄のようなそんな小さくて可愛らしい男の子でした。その当時私の方が強かったですし、私はシグレさんのことを守ってあげなきゃって思ってたくらいです。それが、15年前、フブキさんがこの国を追放されてから変わったんです。」
シグレは追放されたフブキの代わりにヒサメの隣に立つために弛まない努力を続けたと言っていた。
「毎日のように剣を振るい、魔法の練習を絶やさず、ヒサメ様にも稽古を付けてもらっていました。いつの間にか私なんかが追い付けないほど強くなってしまった。でも、シグレさんは騎士になったあの日、言ってくれました。“その日が必ず来るから待ってろ”って。ヒサメ様の約束のこともそうですが、シグレさんがそう言ってくれたから鍛錬を続けられたんです」
そう言ってほほ笑むボタンはほのかに頬を染める。
待てよ、ということはシグレさんって今、二人の女性にモテている!?
「あの…ビルさんをご存知ですか?今、シグレさんが護衛してる」
「ええ、もちろんです。彼女もどうやらシグレさんに想いを寄せているようですね。見れば分かります」
知ってたか。
私はとりあえずお茶を飲む。
「誰がシグレさんを想っていようと関係ありません。私の心は揺るがないので」
「かっこいい…」
私もこのくらい自信満々にヴィントさんが好きって言いたい。
ビルのこともあってボタンのことだけを応援するわけにはいかないが、この真っ直ぐな想いがシグレに届けとも思ってしまう。
「それから、リビさんがヒサメ様に傾いて下さるように頑張ります」
「え、それは、ちょっと…」
「だって、自信がなさそうなので」
見抜かれてる、さすが騎士。
私は精一杯自信のあるフリをして宣言する。
「私も揺るがないです、ヴィントさんへの気持ち!」
「ヴィントさんと仰るのですね、少し調べてみましょうか」
「勘弁して下さい…」
こうして久々にした女子らしい会話は懐かしくもあり、楽しい時間は過ぎていった。
「ご一緒してもよろしいでしょうか」
「もちろんです、むしろ一緒に食べてください」
部屋のテーブルにサンドウィッチが並べられていく。
野菜やら肉やら卵やらが挟まっていて美味しそうだ。
食べ始めるとボタンから話し始めた。
「ヒサメ様とのお話は大丈夫でしたか」
「はい、色々分かったこともあったし、それに私の心も軽くなったので話せて良かったです」
私がヒサメと話す前と表情が全く違うと気付いたのか、ボタンは柔らかい表情を向けた。
「それは、良かったです」
温かいサンドウィッチを食べ進めるうちに、次第にヒサメの話になっていく。
「ヒサメ様って、女性に人気が高そうですよね」
「ええ、引く手あまたですよ。幼い時からそれはもうあらゆる女性を虜になさっては、フブキさんの話をして玉砕させていたんです」
ヒサメ様、ぶれないな。
「貴族や王族の娘に誘われても見向きもせず、平民の娘に告白されても鮮やかに躱してらっしゃる。結婚はどうするおつもりなのかと、上役が愚痴を溢しているのをよく耳にします」
「大変ですね・・・。やっぱりヒサメ様は階級の上の人と結婚することになるんでしょうか」
ボタンは食べかけのサンドウィッチをテーブルに置くと、何故か姿勢を正した。
「つかぬことをお聞きしますがリビさん。ヒサメ様のことをどう思っていますか」
「・・・え?」
「貴女はヒサメ様が認めている数少ない女性の一人です。貴女であれば、ヒサメ様からの信用を得られる上に、フブキさんのことも知っている。相性は悪くはないと考えているのですが」
「ま、待ってください。私には好きな人が・・・あっ」
慌てた上に口を滑らせて墓穴を掘っていく。
ボタンはニコッと微笑むと体をずいっとこちら側に近づけた。
「それはどなたですか?ヒサメ様よりも素敵な方だというのですか?」
「あ、あの、比較とかじゃ、なくて。私の闇魔法を肯定してくれた、人なんです」
ヴィントは魔法の種類なんて色違いみたいなものだと言ってくれた。
大事なのは魔法の使い方やその人自身だと。
そう思ってくれる人がいてくれるだけで私にとっては救いだった。
「出会ったばかりのころから、他人の私を心配してくれて。勉強にも付き合ってくれて優しい人なんです」
「それは確かに素敵な方ですね。ですが、ヒサメ様も負けていませんよ。階級を問わずヒサメ様は心を砕いて下さる。子供にも大人にもそれは変わらない。王として時に冷徹な判断を下すこともありますが、それは国民を守るためです。そんな孤高の存在のヒサメ様を支える方が必要です」
ボタンがそう言って真剣な眼差しを向けるので、私は手を挙げた。
「あの、ボタンさんはどうなんですか。ヒサメ様の事、そういう意味で好きになったことはないですか」
「私にとってヒサメ様は尊敬し憧れる存在です。かっこよくて素敵な男性ではありますが、あくまで兄のような人だと思っています。それに私にも好きな人がいますので」
「え!誰ですか!?」
「シグレさんです」
「えっ!!」
私の声が大きかったのか、ボタンの耳が折れ曲がる。
すみません、と謝ってから私は聞かずにはいられない。
「あの、どうしてシグレさんを?いつから好きなんですか」
「好きになったのは10年くらい前からですね。彼は周りから無理だ諦めろと言われていたのに騎士を目指し続けていました。そもそも彼は、幼い時から喧嘩もしたことなく、魔法も弱く、勉強だけが取り柄のようなそんな小さくて可愛らしい男の子でした。その当時私の方が強かったですし、私はシグレさんのことを守ってあげなきゃって思ってたくらいです。それが、15年前、フブキさんがこの国を追放されてから変わったんです。」
シグレは追放されたフブキの代わりにヒサメの隣に立つために弛まない努力を続けたと言っていた。
「毎日のように剣を振るい、魔法の練習を絶やさず、ヒサメ様にも稽古を付けてもらっていました。いつの間にか私なんかが追い付けないほど強くなってしまった。でも、シグレさんは騎士になったあの日、言ってくれました。“その日が必ず来るから待ってろ”って。ヒサメ様の約束のこともそうですが、シグレさんがそう言ってくれたから鍛錬を続けられたんです」
そう言ってほほ笑むボタンはほのかに頬を染める。
待てよ、ということはシグレさんって今、二人の女性にモテている!?
「あの…ビルさんをご存知ですか?今、シグレさんが護衛してる」
「ええ、もちろんです。彼女もどうやらシグレさんに想いを寄せているようですね。見れば分かります」
知ってたか。
私はとりあえずお茶を飲む。
「誰がシグレさんを想っていようと関係ありません。私の心は揺るがないので」
「かっこいい…」
私もこのくらい自信満々にヴィントさんが好きって言いたい。
ビルのこともあってボタンのことだけを応援するわけにはいかないが、この真っ直ぐな想いがシグレに届けとも思ってしまう。
「それから、リビさんがヒサメ様に傾いて下さるように頑張ります」
「え、それは、ちょっと…」
「だって、自信がなさそうなので」
見抜かれてる、さすが騎士。
私は精一杯自信のあるフリをして宣言する。
「私も揺るがないです、ヴィントさんへの気持ち!」
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