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黄金の国
地下牢
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そうして、目を覚まし現在に至る。
石壁に囲まれた周りには一つだけガラス窓がはめられており、外には水が見える。
つまりここは、地下であり外には水が張られているということだ。
上にのぼれるような壁ではなく、出られるような隙間もない。
中は牢屋のようになっていて、横になるスペースと、それから小さな穴があった。
そこから風が吹いていて、どこかに繋がっているようだ。
ここを掘ってなんとか外に出ないと。
扉もないこの場所は、どこかを壊すしか出られない。
「処刑場所、みたい。」
「みたいじゃなくて、処刑場ですよ。」
そんな声が聞こえたのは、小さな穴だ。
「何十年も使われていない場所でした。グウル王が、この場所を使ったことは一度もない。だから、ここに落とすなんて考えもしませんでした。」
どこか冷めていて、どこか泣きそうなそんな声。
その、爽やかな声色に聞き覚えがあった。
「ローザさん、ですか。」
「・・・薬と食事をお持ちしました。手を、怪我されているでしょう。」
その小さな穴から、パンと薬が入れられる。
「こんなの、私にあげていいんですか?私、処刑されるんでしょ。」
「私は貴女に関してなんの命令も受けていない。それは、ここに落とした時点で処刑が始まっているからです。ここの処刑場所は、光の加護を強く受ける。つまり、この処刑方法は闇魔法のためにあるんですよ。」
壁の向こう側でローザの顔を見ることは出来ない。
だが、ローザが座る音が聞こえた。
「あの、光の加護を強く受けるってことは、私の魔力が失われるってことですよね?それって、魔力をすべて失ったら死ぬってことですか?」
「はぁ?そんなことも知らないんですか!?」
あり得ないという声のトーンで、ローザは冷たい声で続ける。
「この世界は魔力で満ちている。生きている全ての者は魔力を持っている。その持っている自分の魔力は免疫の役割も果たしているんです。自分の魔力が少しでもあれば、そこらじゅうにある魔力に負けることはない。ですが、その者の魔力がゼロの場合、周りの魔力に蝕まれ最終的に衰弱死します。」
「知らなかった、そうなんですね。」
「何を冷静に言ってるんです。貴女は今まさに、魔力が失われているんです。この光の加護を強く受ける場所では回復薬も意味を成さない。早くここから出ないと本当に死にますよ。」
私よりも、ローザの方が焦っていてなんだか変な空間だ。
「魔力がゼロになったら、もう戻らないですか?」
「戻った例など聞いたことがない。そうなる前に、ここから出られるようにあがいてください。」
「そう言われても、どうやって出ればいいのか。」
すると、ローザが立ち上がる音がする。
「私も何か方法を探します。貴女は魔力が出来るだけ減らないように魔法を使わないでください。」
「あの、いいんですか?私の脱出を手伝うなんてことをしたら、反逆罪なのでは。」
靴の踏みしめる音、それから服の擦れる音。
「黙って従うだけで、ここまで登り詰めたわけではありません。それに、今のグウル王は、いつものあの人ではないのです。」
それだけ言うと、足音が遠ざかる。
この石壁の反対側には、この地下牢におりるための通路があるということだ。
私は壁に背を預けて、手に薬を塗り始める。
貫通はしていないけど、手の甲に大きな刺し傷がある。
めちゃくちゃ痛い。
泣きそうになりながら、薬を塗って包帯を巻く。
いつものあの人ではない、か。
ローザの言葉を反芻して、私は一つの可能性を思いつく。
まさか、操られている?
そんなことを考えながらも、体がだるい。
これは、頭を打ったせいなのかそれとも光の加護のせいなのか。
私はパンを食べながら、どうするか考えあぐねていた。
周りの石壁を見れば細かい傷がいくつも付いている。
暗いから水が見える窓から差し込む月明りだけが頼りだが、その石壁は所々色が違うように見えた。
赤黒い色。もしかしなくても血なのだろう。
登ろうとしたのか、それとも石壁を削ろうとしたのか。
失っていく体力と魔力。
そんな中で必死に抗って、でも、こんな小さな傷をつけることしか出来ない。
絶望の中で意識が薄れて、そうして。
そこまで考えて私は自分自身の頬を叩いた。
いけない、この環境の雰囲気に飲まれそうだ。
恐怖というのは際限がない。
考え出したらとことん落ちていくのだ。
パニックなっていいことなんて一つもない。
ヒサメ様が来てくれることは確定している。
だから私はそれまで生き残り、集められるだけの情報を集める。
できるなら、自分でここを脱出する。
そのためにはやはり、現状を知らなければならない。
私は立ち上がると落ちてきた穴を見上げる。
10メートルはないと思うが、それなりの高さだ。
あの高さから落ちたのに骨が折れてないのは上々だな。
頭はじんじんと痛んでいるが、大したことはないだろう。
そう思って、手で触ってみるとぬるっとしたものが手についた。
・・・血は出ているが噴き出してはいないからセーフだな。
とりあえず、ガーゼを当てて包帯でぐるぐる巻きにしておいた。
それからガラス窓を手でノックしてみる。
コンコンと響く音から、それなりの厚さのガラスだと分かるが頑張れば割れるか?
大きさからして私の体がぎりぎり入るか入らないかくらいだ。
ここから脱出するとして、外の水がどうなるか分からない。
それに、もし出られたとして水から陸に上がれるか不明だ。
城に入る時、周りをよく見ておくんだったな。
はじめから警戒していたのに、詰めが甘い。
白銀の国の部下としてちゃんとしろとシグレに怒られそう。
私は落ちた場所とは反対側、ボロボロの布切れが敷いてある場所を確認する。
おそらくこれは布団替わりなのだろうけど、埃がすごい。
随分長い間使われていないという話だったし、こうなっていても不思議ではない。
私はそのボロボロの布をめくってみる。
そこには古い紙が落ちていて、よれよれの字で何かが書いてあった。
英文で書かれたそれはおそらく、祈りの言葉だ。
出られないと悟った闇魔法の転移者が、祈りの言葉を書き記した。
何人もきっとこれを目にしたことだろう。
この祈りを読むことが出来る闇魔法の人が、ずっとずっとここに隠していたんだ。
私はその紙を手に取って鞄に入れた。
ここから、出よう。
ここに落とされる闇魔法は私で最後にするから。
私は壁に寄りかかり、窓から入る明かりを見上げていた。
石壁に囲まれた周りには一つだけガラス窓がはめられており、外には水が見える。
つまりここは、地下であり外には水が張られているということだ。
上にのぼれるような壁ではなく、出られるような隙間もない。
中は牢屋のようになっていて、横になるスペースと、それから小さな穴があった。
そこから風が吹いていて、どこかに繋がっているようだ。
ここを掘ってなんとか外に出ないと。
扉もないこの場所は、どこかを壊すしか出られない。
「処刑場所、みたい。」
「みたいじゃなくて、処刑場ですよ。」
そんな声が聞こえたのは、小さな穴だ。
「何十年も使われていない場所でした。グウル王が、この場所を使ったことは一度もない。だから、ここに落とすなんて考えもしませんでした。」
どこか冷めていて、どこか泣きそうなそんな声。
その、爽やかな声色に聞き覚えがあった。
「ローザさん、ですか。」
「・・・薬と食事をお持ちしました。手を、怪我されているでしょう。」
その小さな穴から、パンと薬が入れられる。
「こんなの、私にあげていいんですか?私、処刑されるんでしょ。」
「私は貴女に関してなんの命令も受けていない。それは、ここに落とした時点で処刑が始まっているからです。ここの処刑場所は、光の加護を強く受ける。つまり、この処刑方法は闇魔法のためにあるんですよ。」
壁の向こう側でローザの顔を見ることは出来ない。
だが、ローザが座る音が聞こえた。
「あの、光の加護を強く受けるってことは、私の魔力が失われるってことですよね?それって、魔力をすべて失ったら死ぬってことですか?」
「はぁ?そんなことも知らないんですか!?」
あり得ないという声のトーンで、ローザは冷たい声で続ける。
「この世界は魔力で満ちている。生きている全ての者は魔力を持っている。その持っている自分の魔力は免疫の役割も果たしているんです。自分の魔力が少しでもあれば、そこらじゅうにある魔力に負けることはない。ですが、その者の魔力がゼロの場合、周りの魔力に蝕まれ最終的に衰弱死します。」
「知らなかった、そうなんですね。」
「何を冷静に言ってるんです。貴女は今まさに、魔力が失われているんです。この光の加護を強く受ける場所では回復薬も意味を成さない。早くここから出ないと本当に死にますよ。」
私よりも、ローザの方が焦っていてなんだか変な空間だ。
「魔力がゼロになったら、もう戻らないですか?」
「戻った例など聞いたことがない。そうなる前に、ここから出られるようにあがいてください。」
「そう言われても、どうやって出ればいいのか。」
すると、ローザが立ち上がる音がする。
「私も何か方法を探します。貴女は魔力が出来るだけ減らないように魔法を使わないでください。」
「あの、いいんですか?私の脱出を手伝うなんてことをしたら、反逆罪なのでは。」
靴の踏みしめる音、それから服の擦れる音。
「黙って従うだけで、ここまで登り詰めたわけではありません。それに、今のグウル王は、いつものあの人ではないのです。」
それだけ言うと、足音が遠ざかる。
この石壁の反対側には、この地下牢におりるための通路があるということだ。
私は壁に背を預けて、手に薬を塗り始める。
貫通はしていないけど、手の甲に大きな刺し傷がある。
めちゃくちゃ痛い。
泣きそうになりながら、薬を塗って包帯を巻く。
いつものあの人ではない、か。
ローザの言葉を反芻して、私は一つの可能性を思いつく。
まさか、操られている?
そんなことを考えながらも、体がだるい。
これは、頭を打ったせいなのかそれとも光の加護のせいなのか。
私はパンを食べながら、どうするか考えあぐねていた。
周りの石壁を見れば細かい傷がいくつも付いている。
暗いから水が見える窓から差し込む月明りだけが頼りだが、その石壁は所々色が違うように見えた。
赤黒い色。もしかしなくても血なのだろう。
登ろうとしたのか、それとも石壁を削ろうとしたのか。
失っていく体力と魔力。
そんな中で必死に抗って、でも、こんな小さな傷をつけることしか出来ない。
絶望の中で意識が薄れて、そうして。
そこまで考えて私は自分自身の頬を叩いた。
いけない、この環境の雰囲気に飲まれそうだ。
恐怖というのは際限がない。
考え出したらとことん落ちていくのだ。
パニックなっていいことなんて一つもない。
ヒサメ様が来てくれることは確定している。
だから私はそれまで生き残り、集められるだけの情報を集める。
できるなら、自分でここを脱出する。
そのためにはやはり、現状を知らなければならない。
私は立ち上がると落ちてきた穴を見上げる。
10メートルはないと思うが、それなりの高さだ。
あの高さから落ちたのに骨が折れてないのは上々だな。
頭はじんじんと痛んでいるが、大したことはないだろう。
そう思って、手で触ってみるとぬるっとしたものが手についた。
・・・血は出ているが噴き出してはいないからセーフだな。
とりあえず、ガーゼを当てて包帯でぐるぐる巻きにしておいた。
それからガラス窓を手でノックしてみる。
コンコンと響く音から、それなりの厚さのガラスだと分かるが頑張れば割れるか?
大きさからして私の体がぎりぎり入るか入らないかくらいだ。
ここから脱出するとして、外の水がどうなるか分からない。
それに、もし出られたとして水から陸に上がれるか不明だ。
城に入る時、周りをよく見ておくんだったな。
はじめから警戒していたのに、詰めが甘い。
白銀の国の部下としてちゃんとしろとシグレに怒られそう。
私は落ちた場所とは反対側、ボロボロの布切れが敷いてある場所を確認する。
おそらくこれは布団替わりなのだろうけど、埃がすごい。
随分長い間使われていないという話だったし、こうなっていても不思議ではない。
私はそのボロボロの布をめくってみる。
そこには古い紙が落ちていて、よれよれの字で何かが書いてあった。
英文で書かれたそれはおそらく、祈りの言葉だ。
出られないと悟った闇魔法の転移者が、祈りの言葉を書き記した。
何人もきっとこれを目にしたことだろう。
この祈りを読むことが出来る闇魔法の人が、ずっとずっとここに隠していたんだ。
私はその紙を手に取って鞄に入れた。
ここから、出よう。
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私は壁に寄りかかり、窓から入る明かりを見上げていた。
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