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ルワーネ王国 王都にて

女神の涙(1)

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それから俺は王子の行動には注意を払うようにした。俺のせいで何かあったら…例え殺したい相手でもそれは目覚めが悪い。それが理由だった。二日目の夜。やっと王子に動きがあった。そっと王子のあとをつけると、向かった先はやはりあの神殿だった。息をゆっくりと吸い込んで王子に声をかける。

「王子、こんな夜中に何してるんですか?」

王子はゆっくりとこちらを振り返った。

「また眠れないのか?それとも、俺の後を付けてくるくらい俺が好きなのか?」

「気色悪いですよ。はぐらかさないでくれませんか?」

王子は気まずそうにこちらを見て、

「何でもないから早く寝ろ。明日も早いだろ?」

まるで駄々をこねている子供をあやすかのような声で告げた。

「はぐらかすなっていってるでしょう?それともはっきりうなじの契約印が見えたと言ったほうがいいですか?」

「てめぇ、見たのか?」

そう言って王子はうなじを手で隠す。俺の中の疑いは確信に変わった。

「やっぱりそうですか。」

俺がそう呟くと、王子が目を逸らした。俺は怒りが収まりきらず、怒鳴った。

「あんた、バカじゃないんですか?」

「てめぇ、どういう意味だ!!」

王子はバカ呼ばわりされたのがよっぽど気に入らなかったのか鋭い目で俺を睨み付ける。

「言葉通りですよ。俺なんかのために一国の王子が危ない真似して!!」

「おまえが俺を庇って死にそうになってたからだろ!」

「俺の代わりはいくらでもいるからいいんですよ。でも、あんたの代わりはいないんです!!」

俺がそう言うと、王子はふいに悲しそうな顔をして、

「誰にも代わりなんていねえんだよ」

と呟くように言った。暫くの沈黙ののち、俺ははあ、とため息をついて、

「あんた大バカだな」

と言って神殿の扉を開け、中に入ろうとすると、王子が止めにかかった。それを無視して、中に押し入ると、そこには女神そっくりの女が立っていた。
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