バージン・クイーン -強面のイケメンのところに、性欲解消目的で呼ばれるデリヘル嬢の話-

福守りん

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7.スイート・キング3

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「祐奈?」
「ううん。なんでもない……」
 声が、ふるえてしまった。抱きよせられて、「あっ」と声がでた。
「かわいい」
 そうでもないです。
 かわいく見えるように、がんばってるだけ。きっと……。
 言えなかった言葉たちが、わたしから抜けだしていって、ゴンドラの外に出ていく。そのまま、きらきらした遊園地の上にある夜空に、吸いこまれていった。
 星になっちゃったんだ、と思った。

 もう、キスはしなかった。ただ、黙って、二人で見つめあっていた。
 言葉は、いらなかった。
 今が、永遠みたいに感じられる。そんな時間だった。


 帰りの車の中で、礼慈さんが「祐奈」と呼んできた。
 いきなり、甘い声で呼ばれて、どきっとした。
「帰りは、どうする?」
「どうする、って?」
「このまま、帰ってもいいけど。ホテルとか」
「……したいの?」
「うん」
「すました顔してるのに。そういうこと、考えてるんですね」
「いつも考えてる。今だけじゃない」
「あのね。『残念なイケメン』っていう言葉が、頭に浮かびました」
「俺はイケメンじゃないし、世の中の人たちがイケメンに求めるスペックが高すぎると、常々感じてる」
「イケメンですよ……」
 礼慈さんが言ってるホテルは、ふつうのホテルじゃなくて、ラブホテルのことなんだってことは、わかっていた。
 少し考えてみたけど、行きたいとは思えなかった。
「いや?」
「ホテル、こわいです。行ったことないから」
「そうなんだよな」
「帰ろう? うちに」
「はい。そうします」


 帰ってきてから、夕ごはんを食べた。
 もう、冷凍のピザでいいよねって、お互いに言いあって、トースターで冷蔵タイプのピザを焼いた。
 半分ずつ食べたら、お腹がいっぱいになった。
「足りました?」
「うん。野菜を食べよう」

 礼慈さんがトマトを切ってくれた。レタスと一緒に食べた。
 おいしかった。


 お風呂に入った後で、寝室に行った。
 足がぱんぱんになってて、痛い感じだった。手で、マッサージしてるところに、礼慈さんが入ってきた。
「どうしたの?」
「足が、いたくなっちゃった。ヒールが、高すぎたかも」
「五センチもないように見えたけど。靴ずれした?」
「ううん。三センチでも、ふだん、履かなくなったから、いたくなっちゃうみたい……。
 仕事の時は、履いてたのにな……」
「マッサージしようか」
「いいの?」
「うん」
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