6 / 14
6 和茂の願望
しおりを挟む弥生は和茂を捨てるつもりなど全くなかったが自分の欲求も捨てられなかった
田口との情事が続く日々
スーパー「サンキュー」
従業員通路で田口とすれ違うと
「弥生さん、僕、今度、大阪に移動になるんです」
弥生を呼び止めて言った
「えっ?随分急じゃないの?もしかして栄転?」
弥生が聞き返すと
「そうなんです。大阪本店の店長です」
職場では標準語で話す田口が複雑そうな顔で言う
「よ、良かったわね」
弥生も自分の感情を押し殺して田口の肩をポンポンと叩いて励ますと
「何も良いことないですよ」
田口が沈んだ面持ちで言う
「何でよ?栄転だもの良いじゃない?」
弥生がわざとらしく言うと
「弥生さんと離れ離れになるじゃないですか。いっそのこと一緒に行きません?大阪」
突拍子も無い事を言い出す
「行っちゃおうかしら」
弥生は笑いながら冗談で返した
「冗談じゃないですよ。ホンマに考えといて下さいね」
田口は真剣な顔つきで念を押して去って行った
和茂と弥生の家のリビング
プロシュートをつまみに赤い水を呑んでいる和茂
「なぁ、弥生ちゃん。子供、子供欲しくない?」
和茂が唐突に言った。
「何よ?突然?」
驚く弥生
「弥生ちゃんに似た女の子だったら凄く可愛い子だろうなぁ。まー、今更無理な話だけどな…」
無邪気に和茂が言う
「そうね…女の子だったら名前何にする?」
と弥生が茶化して言うと
「そうだなぁ、今年はオリンピックだし、五輪の輪(りん)に心で『輪心(わこ)』だな」
和茂が言うので弥生も調子に乗って
「じゃあ、男の子だったら?」
「世界(せかい)!」
和茂が即答した。
が話を反らすかの様に
「それよりさ、これ何て読むと思う?昼からやってんだけど全くわかんねぇんだよな。この大教授の原稿、字が汚すぎて校正が超難関でさ。解読するのに科捜研並みだよ」
和茂がワイングラスをテーブルに置き弥生を自分の仕事用のパソコンの前に座らせる
パソコンの画面には確かにミミズが這ったような文字が並んでいた
「そおね、前の文章からの続きだとしたら『め』じゃないの?」
弥生が画面に顔を近づけて解読する
「そうだよなぁ?『ぬ』じゃないし『な』じゃないし『め』であってるよな?本当に読めないだろ?この人の文字」
和茂は何度も念をおしながら首を傾げニタニタ笑って言うので
「本当に科捜研ね。沢口靖子さんもビックリだわ」
弥生も笑った
弥生はそんな他愛もない日常に幸せを感じていた
にもかかわらず、田口に言われた「大阪行き」の誘いも何処か心の中で引っ掛かっていた
全く持ってクズ女である
0
あなたにおすすめの小説
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
一条さん結婚したんですか⁉︎
あさとよる
恋愛
みんなの憧れハイスペックエリートサラリーマン『一条 美郷(※超イケメン)』が、結婚してしまった⁉︎
嫁ラブの旦那様と毒舌地味嫁(花ちゃん)....とっ!その他大勢でお送りしますっ♡
((残念なイケメンの一途過ぎる溺愛♡))のはじまりはじまり〜
⭐︎本編は完結しております⭐︎
⭐︎番外編更新中⭐︎
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。
その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。
全15話を予定
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる