デキナイ男と病気の女3

Yachiyo

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7 抗がん剤

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「都立完治病院」看板

今日は月1回の弥生の抗がん剤治療の日だ

自動ドアの入口を抜けると病院特有の消毒液の臭いがする

『ウワーもう気持ち悪くなる』

弥生は抗がん剤治療を始めてからこの臭いが超苦手である

自動受付機に診察券を通す

受付をすると2階の採血室で採血を済ませ呼吸器内科の待合室で待つ

呼び出しは携帯電話位の「自動呼び出し機」が鳴るのだ

ここからが長い

弥生は本を読む訳でもなく携帯で何かする訳でもなくボーッと、その「呼び出し機」がなるのを長椅子に座ってひたすら待つ

1時間程すると待望の呼び出し音が鳴る

ボタンを押して音を止めると診察室に入る

中に入ると座って居ても分かる程長身でスラッと細身の30代後半の目のクリッとしたイケメンドクターが

「どう調子は?」

弥生は椅子に腰掛けながら

「こんにちは。まあまあです」

「採血結果問題無いよ。今日も抗がん剤やりますからね」

とイケメンドクター

「はい。分かりました。有り難うございました」

診察室を出て呼吸器内科の反対側にある抗がん剤室に向かう

入口に置いてある血圧計で血圧を計り中に入って体温を測る

何時もの事だが面倒である

【待ち人数100人】

【待ち時間1時間30分】

の張り紙が扉に貼ってある

(100人?ガン患者ってそんなにいるんだ)

弥生は驚いていた

ここでも「呼び出し機」が鳴ってくれるので院内なら何処に行っても構わない

弥生は何時も3階の売店に行き、おにぎり一個とミネラルウォーターを買って、その階にあるテラスで食べる

抗がん剤をやった後だと気持ちが悪くて食べられ無いからだ

ウーロン茶では無くてミネラルウォーターにしたのは、抗がん剤治療の直前に看護師から渡される吐き気止めを呑む為だ

おにぎりを食べ終わると又2階の抗がん剤治療の待合室に戻る

やっと「呼び出し機」が鳴る

受付窓口に行くと看護師がフルネームを聞く

「橘 弥生です」

看護師が例の吐き気止めの錠剤1カプセルを手渡し、手首にネームバンドをはめる

弥生はさっき買って置いたミネラルウォーターをバッグから取り出し、その吐き気止めをやっとの思いで飲み込む

「うゎー気持ち悪ぃー」

結構大きめのそれを飲むのも弥生は苦手だった

それを飲み終わると

「今日は8番です」

看護師が言う

抗がん剤治療室は広く、ズラリとベッドが並んでいてカーテンで仕切られている。そのベッドの1つ1つに番号が付いているのだ

弥生は看護師に案内されながら8番ベッドに行く

すると、パソコンのモニターの付いたスタンドの前に防護衣を身にまとった看護師がいる

「左でお願いします」

弥生が言う

抗がん剤の点滴を流す腕の事だ

すると、その看護師がベッドを少し右側にずらす

弥生はベッドに横たわる

防護衣の看護師が来て点滴を流す為の注射を打つ

点滴が正常に体内に流れている事を確認するとその場を離れた

点滴は30分程で終わる

頭はふらつき、案の定かなり気持ちが悪い

散々待った会計を済ませると出口に向かう

「はぁーやっと解放されたわ」

気持ちは悪いが、ひと仕事終えた後の様な清々しさを感じるのだった

タクシー乗り場看板

タクシーに乗り込む
抗がん剤の後はいつもそうだ

5分程走ると携帯が鳴る

気持ち悪い思いを殺して電話に出る

「弥生?久しぶり!」

葵(ひとみ)だった








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