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4 奇妙な生活
しおりを挟む「葵(ひとみ)っ!」
「弥生っ~」
葵(ひとみ)が半べそをかきながら言う
「今まで何処にいたの?」
弥生が言いながら葵(ひとみ)がブラブラ持って要る360°君のケージを奪い取ると葵(ひとみ)を連れてマンションのエントランスに入る
「ずぶ濡れじゃないかっ、葵(ひとみ)ちゃん。とにかく家においで」
和茂が言う
3人でエレベーターに乗り込んで7階で止まる
弥生がドアの鍵を開けながら
「良くここ分かったわね?」
と言うと
「うん。年賀状転送で届いてた」
葵(ひとみ)はペロッと舌を出しながら無邪気に言った
「だったら連絡してよ」
「だってバツ悪いじゃん」
葵(ひとみ)が申し訳なさそうに言う
「あ~あ、360°君もずぶ濡れじゃないの?」
「あ~、こいつ大丈夫。雨に濡れて縮んでるけどそのうち元に戻るから」
葵(ひとみ)はケージを受けとると大きなスーツケースと共に狭い玄関に置いた
部屋に上がるといきなり
「シャワー借りていい?」
弥生に言ってズカズカとシャワールームを探す
「うん。良いわよ」
弥生が言うのもつかの間、さっさとシャワールームに行き和茂の目も気にせず服を脱ぎそうになったので流石の和茂も
「俺、こっちにいた方が良いみたいだな」
と言ってリビングに逃げ込む
シャワールームから葵(ひとみ)の声
「弥生~、スーツケースからTバックとバスローブ取って~」
弥生は玄関に置いてあるスーツケースを開けると中をガサゴソとあさる。
中からTバックとバスローブを見付けてシャワールームの前にそれを置く
「葵(ひとみ)、ここに置いておくわよ。タオルもね」
「うん。有り難う!」
バスルームに葵(ひとみ)の声が響いた。
リビング
何事も無かったかの様に
「呑み直し呑み直し」
と和茂が赤い水を呑み始めていた
そこへ
「あ~生き返った」
と、濡れた髪を巻いたバスタオルの端っこで揉み上げ当たりを拭きながらバスローブ姿の葵(ひとみ)が現れた
「葵(ひとみ)ちゃん、もしかしてその下Tバックだけ?」
と和茂
「そうですけど?」
ケロッと葵(ひとみ)が言うと
「エッロィ~」
と鼻の下を伸ばして言う和茂
何だか嫌な予感がする弥生
「それよりもその節はどーも」
葵(ひとみ)が急にかしこまって言う
「葵(ひとみ)ちゃん、やってくれちゃったね~。僕の息子放ったらかしにして」
と茶化す様に和茂が言う
「まさか拓也が乗り込んで来るとは思ってもみなかったんです。私も何が何だか分からない間に連れて行かれちゃって…」
「あの後大変だったんだぜ」
和茂が冗談混じりに言うと
「すみませんっ」
葵(ひとみ)も悪びれる様子もなく肩をすぼめた。
透かさず和茂の赤い水を見つけると
「あっ、私も呑みた~い」
と言うので、和茂が慌ててキャビネットからワイングラスを取り出して葵(ひとみ)の為にワインを注いだ。
3人でテーブルに付きやっと落ち着くと弥生が
「どういう事なの?葵(ひとみ)?」
と、少し窘める様に言う
すると葵(ひとみ)が
「それがさぁ、あの後拓也の実家がある沖縄に行ったの。そこまでは良かったんだけど私がマッチングサイトにハマっちゃて…それが拓也にバレて大喧嘩。で飛び出して来ちゃった」
と何とも言い訳がましく言った
弥生と和茂は呆れて顔を見合せる
「今更何処も行くとこ無いから弥生っ、お願い泊めて。そうそうお土産有るの」
と弥生を拝むと、スーツケースの中から泡盛と黒砂糖を持ってきた
「これ、沖縄のお土産です」
黒砂糖を弥生に、泡盛を和茂に渡しながら
「ねっ、和茂さんもお願いします」
と2人を拝む。
「いいじゃんないか?なっ?」
和茂が弥生を見て言った
「まぁ、良いけど…」
弥生は少し戸惑ったが仕方ない
気付くと
「あら大変。もう1時よ」
弥生が驚いて言った
葵(ひとみ)をソファーに連れて生き
「ここでいい?」
と言うと
「十分」
葵(ひとみ)が言うので、和茂と弥生は隣の部屋にスゴスゴと移動して3人の奇妙な同居生活が始まった
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